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チラシの裏

チャイナ蜜柑の謎

2015年02月16日 | Eクイーン
トリックについては解説に図入りで説明されています。
これが坂田靖子のマンガみたいでけっこう笑えます。
これから毎巻ごとに付けてくれませんかネ。

本編にも現場と部屋の見取り図くらいは欲しかったところ。
しかし図があるとネタが割れてしまうし、分かりにくい文意だからこそ
読者をケムにまける、という点はあるかも。
密室殺人ではないけれど、密室殺人の状況を逆手にとった不可能犯罪、
という解説での指摘に目ウロコでした。
なるほど。
不可能犯罪の必要性もいちおう納得できます。

が。
エラリーの推理に憶測と決め付けが多く、説得力がまるでない。

そのかわりと言ってはナンですが、今作のエラリーは積極的な単独行動も辞しません。
これ、なにかを思い出すなと考えてみたら、
ハードボイルドの主人公にそっくりじゃありませんか。
魔性の女役のシューエル嬢の寝室へ忍び込むときは、
ハードボイルド探偵へのあてこすりなセリフもあり、
相当にハードボイルドを意識しているように読めます。
とくにハメットについては2度も言及されています。
P282で「ハメットとホイットフィールド」と書かれているホイットフィールドは
雑誌ブラック・マスクの人気作家です。

密室(のような)殺人、宝物、異国趣味(中国)、妖艶な美女など、
読者サービスにつとめた作品でした。
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