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チラシの裏

伝道の書に捧げる500マイル

2015年02月22日 | SF
ロジャー・ゼラズニイがフルタイムの作家になる前、
フォーク歌手ヘイデイ・ウェストと婚約していた、という驚愕の事実を
「500マイルのwiki」で知りました(周知のことなのでしょうか。私は初耳でした)。
読んだときには腰が抜けましたヨ。

1961年から62年にかけての数ヶ月、ということだそうですが、
婚約期間はゼラズニイが専業作家になる前の、社会保障局に勤めていたころのことのようです。
大学を出たばかりの作家青年と、
かたやピート・シーガーのカーネギーホールコンサートに呼ばれるようなバンジョー弾きのお姉さんと、
どんなかかわりと別れの葛藤があったのでしょうね。

ゼラズニイとアメリカンルーツとのつながりを考えると思い出すのは、まず「Eye of Cat」という長編作品。
最後期の作品ということでやや地味な扱いをされた作品だったような気がします(創元文庫で出ていました)。
さらにネイティヴアメリカンの神話を使うという手法は、
発表年(1982年)を考えるとやや手垢のついたテーマだったかもしれません。
※昔読んでいるとき途中で寝てしまいました

アメリカ(といっても並行世界や過去)を舞台にしている「ロードマークス」(1979年)は、
ディレーニイの「エンパイア・スター」を思わせる実験的な時間述式を駆使して、
ゼラズニイの自伝的要素が織り込まれた傑作だと思うのですが、
創元あたりで復刊してくれませんかネ。
※乱暴に言えば1冊に収まったアンバーシリーズみたいな。



主人公の一人は「草の葉」(本の型をしたAIで会話による意思疎通可。あだ名はleaves)、
もう一人の主人公は「悪の華」(こちらも本の型をしたAIで会話による意思疎通可。あだ名はflowers)
を持っているなんてカッコイイ。
声はどちらも女性です(映像化の場合は二階堂有希子さんの声で希望)。
脇役もサド侯爵からひっとらあ叔父さんにドク・ホリディ(ノンクレジット)という有名人から、
時をあやつるドラゴンまで、多士済々。
解説を読むと当時の「ヘヴィ・メタル誌」のレヴュワーが絶賛したらしく、
たしかにシリアスアメリカンコミックのような世界が展開します。
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