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●消費税…《自分よりも弱い立場の取引先に負担を回し、そうされた者はさらに弱い取引先に……最も弱い者が破滅する》…

2019年11月06日 00時00分22秒 | Weblog

[※ 斎藤貴男著『決定版 消費税のカラクリ』(ちくま文庫) 筑摩書房(http://www.chikumashobo.co.jp/photo/book/large/9784480436023.jpg)↑]



斎藤貴男さんによる、WebRonzaの記事【結局、弱い者が負担を強いられる弱肉強食の消費税/デフレ経済で崩れた消費税は消費者が負担するというストーリー。しわ寄せはどこに?】(https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019092900001.html)。

 《泣かされたままでは潰れるしかない仕入れ業者は、自分よりも弱い立場の取引先に負担を回し、そうされた者はさらに弱い取引先に……。そして結局、もう誰にも負担を押し付ける先がない、最も弱い者が破滅する。この繰り返しで30年が過ぎた。弱い者いじめができなければ生き残れない社会は消費税によっても形成されたのである》。

   『●《消費税が抱える根源的な問題》はなにか? 《常に弱い
       立場の側がより重い負担を強いられる》最悪な消費税制…
    「斎藤貴男さん…【政府やメディアが刷り込んだ“消費税の目的”
     の嘘/“社会保障の充実と安定化”のための増税という
     謳い文句とは正反対の現実】」

 《泣かされたままでは潰れるしかない仕入れ業者は、自分よりも弱い立場の取引先に負担を回し、そうされた者はさらに弱い取引先に……。そして結局、もう誰にも負担を押し付ける先がない、最も弱い者が破滅する》。斎藤貴男さんのWebRonzaの最初の記事でも指摘。《消費税が抱える根源的な問題》はなにか? 《常に弱い立場の側がより重い負担を強いられる》最悪な消費税制…。《弱い者いじめができなければ生き残れない社会は、消費税によっても形成されたのである》《弱肉強食の化身のような税》。
 消費税制を廃止しよう!

   『●『消費税のカラクリ』読了
   『●あとの《増税》祭り…《家計に痛みを強いる施策が続々と動きだす》
                   …自民党議員全員が第Ⅳ象限なのでは?
   『●薔薇マークキャンペーン《消費税増税凍結
     (むしろ…5%に減税することを掲げる…)》…むしろ消費税制廃止を
   『●《むしろ「自民、単独過半数割れ 安倍一強に赤信号」
        でしょーよ。》と報じられない…ズルズル消費増税か?
   『●あとの《増税》祭り…《家計に痛みを強いる施策が続々と動きだす》
               …自民党議員全員が第Ⅳ象限なのでは?
   『●《巻き上げられた消費税は…土建屋政治や大企業の減税や、
      近年では軍事費などなど、権力の金儲けや戦争ごっこに乱費》
   『●《常に弱い立場の側がより重い負担を強いられる》最悪な
     消費税制…《これほど不公平かつ不公正なイカサマ税制もない》
   『●悍ましき《大増税か安楽死の推進か…「尊厳死」の議論の
     本質が、社会保障費の削減に他ならない》(斎藤貴男さん)
   『●斎藤貴男著『決定版 消費税のカラクリ』…消費税制は
     《いかに不公正で…「魔法の杖」》かを指弾した《警世の書》

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https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019092900001.html

結局、弱い者が負担を強いられる弱肉強食の消費税
デフレ経済で崩れた消費税は消費者が負担するというストーリー。しわ寄せはどこに?
斎藤貴男 ジャーナリスト
2019年09月29日
増税|消費税|益税|脱税|軽減税率

10月1日から消費税が8%から10%に上がります。長年、消費税のあり方を追及してきたジャーナリストの斎藤貴男さんが、消費税の根源的な問題について考えるシリーズ。今回は消費税が抱える構造的な矛盾について論じます。(論座編集部)


税率が違うのにどうして同じ価格?

 「吉野家」の牛丼は店内で食べるか、お持ち帰りかで値段が違います。でも、「松屋」や「すき家」だと、どちらでも同じ。ハンバーガーはと言えば、「モスバーガー」と「ロッテリア」が別価格派で、「マクドナルド」が統一価格派なんだって! ――

 最近の新聞やテレビでは、こんな話題がしばしば取り上げられている。消費税率が10%に引き上げられる10月1日には、同時に“軽減税率”なる制度も新設され、飲食料品は8%のままに据え置かれるのだが、レストランなどでの飲食には適用されない。そこで、テイクアウトも可の外食店の対応に関心が集まった。

 というわけで議論は沸騰。「店の中でも外でも料金が同じなのはシンプルでいい」、逆に「チェーンごとにバラバラなのはわかりにくい」などといった声が、メディアの世界ではことのほか喧(かまびす)しい、のだが……。

 なんだか変だ。いや、軽減税率の発想そのものや、その適用対象(飲食料品の他に週2回以上発行される新聞の定期購読)が決定された経緯などに関する疑問については、とりあえずおく。本稿が指摘したいのは、かの牛丼店やハンバーガーショップが、売り方によって異なる税率の商品を、どうして同じ価格で販売することができるのか、ということなのである。

 実は、そのことは自体は別段、おかしな話ではない。どこまでも企業内部における会計の問題だ。彼らはまず統一した販売価格を設定し、そこから2通りの本体価格を割り出していく。ごく単純化して言えば、店内消費の利益率を低く、テイクアウトの利益率を高く見積もればよい理屈だ。

 ただ、こうした考え方は、従来の通俗的な理解とはかけ離れている。政府やマスコミが繰り返し強調し、一般に深く刷り込まれてきたのは、もともとコスト+利益で決定されていた本体価格に、5%や8%の消費税分を乗せて売る、という手順ばかりだった。だからこそ、時に「10%のほうが計算がしやすくなっていい」などと言い出すトンチンカンなメディアや、それに感化された消費者が現れる

 だが、実際は違う。もちろん事業者なら誰だって、そうやって売りたい。が、そう簡単にはいかない、できないのが商売の現実だ。

 牛丼店やハンバーガーショップの動きは、はからずもそうした実態の一端を垣間見せてくれた。私たちはこの機に、今度こそ、消費税という税制の本質を思い知らねばならない。


消費税は消費者が負担しない場合もある

 ここまでの記述を、もしかしたら難しく感じられた読者も少なくないかもしれない。消費税は消費者が負担する税なのに、事業者だの商売の現実だのと何の関係があるのか、などというふうに。

 だが、そこからして間違いなのだ。負担の主を言うならば、消費税は消費者が負担している場合もあるが、そうでない場合もある、というのが正解である。これは消費税の「イロハのイ」であると承知しておこう。

 関連法規によれば、消費税とは、①原則すべての商品・サービスのあらゆる流通段階で課せられ、②年商1000万円超の事業者を納税義務者とする税である。つまり小売り段階だけでなく、商取引のことごとく(医療や福祉サービス等の例外はある)で発生し、消費者には納税義務がない。

 もっとも、②のタテマエは、納税義務のある事業者が、商品やサービスの販売価格に消費税分を上乗せ(転嫁)し、その金額を顧客から預かって、しかるべき計算を施して税務署に納める、というストーリーだ。消費税増税に賛成か否かにかかわらず、多くの人々は、このシナリオと現実とを混同してしまっている。

 ところが、日本は自由主義経済の国である。電力や水道、鉄道のような公共料金はともかく、普通の商品やサービスの価格は市場原理によって形成される。景気がよくて売り手市場、しかも競争も激しくなければ、負担は相対的に弱い買い手側に押し付けられてシナリオ通りになるのだが、現在は、というより過去20数年間は、消費税導入当時のバブル経済とは正反対の、デフレ経済下にあり続けてきた。

 近隣に“価格破壊”を謳(うた)う家電量販店を建てられた電器店や、納品先の大手メーカーに頭が上がらない町の下請け工場が、利益を出したうえ、さらに相手から消費税を預かる値決めなどできるはずがない。だからといって、納税義務が免除されるわけでもないので彼ら弱い立場の事業者は、借金してでも消費税を納めさせられる羽目になる。

     (拡大酒類が軽減税率の対象外だと知らせる案内。
      この店では消費税の税率が10%になる商品には新しい
      税込み価格をすでに明示している=2019年9月25日、前橋市元総社町)


弱いものに負担を回す社会をつくった

 苦しいのは競争が激しい都市部のスーパーも同じだ。増税即値上げでは客が離れる。やむなく価格を据え置いて、ただし人員削減や時給のカットなどによる人件費の削減、あるいは仕入れ価格に増税分を乗せさせないなどの方法によるコストダウンも可能な場合がある。後者は強要すれば公取委に摘発されかねないが、ビジネスのおける力関係が、法律だけで説明できるとは限らない。

 泣かされたままでは潰れるしかない仕入れ業者は、自分よりも弱い立場の取引先に負担を回し、そうされた者はさらに弱い取引先に……。そして結局、もう誰にも負担を押し付ける先がない、最も弱い者が破滅する

 この繰り返しで30年が過ぎた。弱い者いじめができなければ生き残れない社会は、消費税によっても形成されたのである


消費税につきまとう「損税」という現実

 消費税ほどミスリードがはびこる税もない。

 以上のような、納税義務者が価格に消費税を「転嫁」できない状態を「損税」というのだが、そう書くと必ずいちゃもんをつけてくる人々がいる。利益を削ってでも、借金をしてでも、結果的に納税できたからには帳簿上、“転嫁できた”形になるわけだ。だから、「転嫁できないなんてあり得ない」という理屈だそうである。物は言いようだと呆れるしかない。私は商売というものの実質を語っている。

 8年ほど前、NHKのニュース解説番組で消費税増税反対論をぶった私は、終了後の楽屋で、さっきまでスタジオで論争していた元大蔵官僚に、まさにそう言われたことがある。「帳簿の上では、ですね」と返した記憶があるが、彼はその数年後、大学教授および政府税制調査会専門家委員会特別委員の肩書で著した啓蒙書で、次のように述べていた。

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 好ましいことではありませんが、転嫁できない場合もあるでしょうから、家計の負担の最大額も少なくなるはずです。「1980円の商品の価格を、消費税が上がったからといって2000円超にはできない」などといった事業者や企業の声が出ていますが、そうなれば実は家計にとっては好ましい話なのです。
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 あるいはまた、

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 消費税率の引き上げ分の消費者への転嫁をなるべく少なくする、という事業者の努力には大きなメリットがあります。それは消費者にとってそれほど価格が上がらない、物価が上がらないことを意味するからです。事業者にとっては大変でしょうが、前の章で書いたような物価への影響は減り、景気への短期的な悪影響も弱まる方向に働きます。ただ事業者が価格に転嫁しない代わりに人件費などを削減すると、今度はそれが消費者の給与や雇用に跳ね返ってきて、困ることになるかもしれません。(いずれも森信茂樹『消費税、常識のウソ』(朝日新書、2012年)
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 弱い事業者の負担を好ましいと言ってみたり、転嫁できない理不尽を筋違いにも努力と呼んでみたり。あくまでも消費者の増税に対する警戒心を和らげる目的で書かれた文章で、それだけに他への配慮が著しく欠落しているのは確かだけれど、法律がでっち上げたシナリオとは異なる実態を、元大蔵官僚が公に認めた事実は大きい。この本を見つけて読んだ時、素直に嬉しいと思った。


問題は「益税」なのか?

 それでも多くの人々は、「損税」など存在しないと言いたがる。消費税に矛盾があるとすれば、それは「益税」という名のネコババではないか、と。

 「益税」とは、年商1000万円未満の「免税事業者」が商品やサービスの価格に消費税分を上乗せして販売し、とはいえ納税義務がないので、その分を合法的に利益にできてしまうことをいう。実際、政府は消費税導入に臨んで、政府が中小零細事業者らの反対を抑えるため、彼らにさまざまな“アメ”をしゃぶらせた経緯がある。納税義務の有無を分ける「免税点」も、当初は年商3000万円と、かなり高く設定されていた。

 「益税」とはいっても、免税事業者とて仕入れや必要経費には消費税を上乗せされた金額を支払うのだから、“ネコババ”とまで言われるほどの儲けにはならない。いずれにしても、彼らへの“アメ”はこの間にずいぶん小さくなり、免税点も2003年には1000万円へと引き下げられて、大方の事業者が納税義務を負った。その一方で、デフレ・スパイラルが深まって、「益税」ならぬ「損税」が常態化した。

 手元に興味深い判決文がある。1990年3月26日、東京地裁。元参院議員で「サラリーマン新党」の最高顧問だった青木茂氏(故人)ら20人が、消費税法は消費者を「納税者」、事業者を「徴税義務者」だと想定しているとの解釈を前提に、「益税」のような不合理を許した諸制度は法の下の平等を定めた憲法14条などに違反しているとして起こした国家損害賠償請求訴訟で、鬼頭季郎裁判長が原告請求の「棄却」を言い渡したものである。

 すなわち消費税は憲法に違反していない。合憲であるとされたわけだが、私たちが深く考えてみるべきは、この判断が導かれた論理だ。

 判決理由は次のように述べていた。

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 税制改革法一一条は、「事業者は、消費に広く薄く負担を求めるという消費税の性格にかんがみ、消費税を円滑かつ適正に転嫁するものとする」と抽象的に規定しているに過ぎず、消費税法および税制改革法には、消費者が納税義務者であることはおろか、事業者が消費者から徴収すべき具体的な税額、消費者から徴収しなかったことに対する事業者への制裁等についても全く定められていないから、消費税法等が事業者に徴収義務を、消費者に納税義務を課したものとはいえない。
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 さらに、

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 先に述べたように、消費税相当分の転嫁の仕方は、事業者の対価等の決定如何に委ねられており、その運用如何によっては、消費者に対する実質的な過剰転嫁ないしピンハネが生じる可能性もなくはない。この点において、消費税負担者である消費者側から見れば、消費税分につき、自己の負担すべき額の決定が恣意的に行われるように見える余地はある。
 しかしながら、消費者が消費税相当分として事業者に支払う金銭はあくまで商品ないし役務の提供の対価としての性質を有するものであって、消費者は税そのものを恣意的に徴収されるわけではない。そして、法律上の納税義務者である事業者が、恣意的に国から消費税を徴収されるわけでもない。したがって、消費税法は、租税法律主義を定めた憲法八四条の一義的な文言に違反するものではない。
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などともある。


弱肉強食の化身のような税

 消費税とは、小売商と消費者の間(事業者と顧客の間)における、要するに物価以外の何物でもない。転嫁できるもできないも、とどのつまりは売る側の腕と状況次第。力関係で勝れば転嫁に加えて便乗値上げもできようが、劣れば自分で引っ被るしかなくなる弱肉強食の化身のような税。問題だらけでないとは言わないが、税とは取れさえすればよいのであって、実質的に誰が負担させられていて、誰が死のうと一家心中しようと知ったこっちゃないという政府の論理司法も支持する。だって、だってだってお国のためなんだもん♪ とだけ、この判決は言っていた。

 「益税」を俎上に載せるための提訴ではあったが、結論は今日に至る「損税」についてもそのまま使われている。倫理や人道に照らした善悪を棚に上げておく限り、この判決は消費税の核心を抉(えぐ)ってあまりあった。

 その内容が当時から広く伝えられ、真っ当な議論が積み重ねられてきていたとしたら、消費税が時の政権によって魔法の杖”か“打ち出の小槌”のようにして使われる無残もなかったに違いない。だがこの間、マスメディアはほとんど何も報じてはこなかった――

 これは一体、どういうことなのだろう。ここまでいいかげんな税制が、いつまでも存在を許されたままでよいものなのか。

 よいはずがない、と私は確信している。


消費税の滞納者が多いわけ

 国税庁はさる8月、2018年度の「租税滞納状況」を発表した。それによれば、同年度中に新たに発生した「新規発生滞納額」は、国税全体だと約6143億円で、前年度比0.2%減。この間の法人税減税や所得税の累進性の緩和、それら直接税のデフレによる税収減および税務当局の徴収強化などの理由から、最も多かった1992年度(約1兆8903億円)のわずか32・5%にまで減少したが、税目別を見ると、消費税だけが約3521億円と、当時よりも新たな滞納を増やした例外的な現象を起こしている。

 新規発生滞納額全体の、なんと57・3%を占めたというのだから驚きだ。と思いきや、これでも60%を軽く超えていた2015年度と比べたら、まだしも少しは改善された姿だとの由。

 

 国税収入の6割が消費税だとでもいうのなら、滞納もそれに見合った数字になるのは仕方がない。だが実際は、目下のところ、国税収入に占める消費税の割合は、せいぜいが30%程度に留まっている。

 とすれば、消費税の新規発生滞納額が多すぎる状況は異常ではないか。考えられる原因はただひとつ。利益に対して課せられる法人税や所得税とは違い、消費税は利益があってもなくても、たとえ大赤字であろうとも、何らかの取引を行った納税義務者には課されるという、他に例を見ない特性だ。

 滞納には重い処罰が待っている。初めのうちは分納などの相談にも応じてももらえるかもしれないが、たび重なれば税務署員に、「そこらへんのサラ金で借りてこいとすごまれるし、期限を過ぎて差し押さえをくらえば、破滅に追い込まれるのが常である。商売をする人間の常識だ。

 だから事業主たちは、「死」にさえ一本道で通じている滞納など、滅多なことではしたくない。それでもしてしまうしないわけにはいかないのが、消費税の滞納なのである。


■無理がありすぎる税制

 無理がありすぎる税制。それが消費税だ。社会保障を充実させるためには“尊い犠牲”も必要だようんぬんと、訳知り顔は言う。だけれども、時の政権が重ねてきたその種の公約が、ことごとくウソであり続けている倒錯は、すでに前回の記事で見た通りである。

 にもかかわらず、新聞もテレビも、肝心なことは絶対に伝えない。8月の国税庁発表がまともに取り上げられなかったのは例年と同様。わずかに報じたマスコミも、見出しを挙げると、こんな具合だ。

 〈税滞納、20年連続減=ピーク時の3割以下に――国税庁〉
                (時事通信8月7日付配信)
 〈財産隠しなど国税告発最多〉(朝日新聞8月8日付東京本社版朝刊)
 〈10月消費増税/確定申告、納付額に注意、国税庁、資金確保補呼びかけ〉
                    (日刊工業新聞8月14日付)――。

 報道というより、あえて問題の本質を外した、税務署の礼賛かキャンペーンだ。そんなことですまされてよいなら、記者など必要ない。税務署に原稿を書いてもらえば、よほど“目的”に適った、正確な記事に仕上げられるものだろう。

 少々長くなってしまった。さて、次回は何を書こうか……。
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コメント
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●投票者自身の首を絞めてはいけない: 「格差是正のための税制を求め、豊かな層に多く課税すべき」

2015年03月07日 00時00分48秒 | Weblog


マガジン9』の記事【雨宮処凛がゆく!: 第327回/ピケティ・ブームと税制。の巻』(http://www.magazine9.jp/article/amamiya/17757/)。

   『●「政権にとって「白紙委任状」ほど好都合なものはありません」: 
                      2014年12月衆院選に是非行こう!

 「もうひとつは、「公正な税制を求める市民連絡会(仮称)準備会」。こちらの呼びかけ人は弁護士の宇都宮健児氏、反貧困ネットワーク世話人の赤石千衣子氏、奨学金問題対策全国会議幹事の水谷英二氏、ブラック企業被害対策弁護団副代表の新里宏二氏、そして私だ。どちらの団体も、格差是正のための税制を求め、豊かな層に多く課税すべき、という点では一致している」。

 小泉純一郎氏や竹中平蔵氏らの新自由主義・市場原理主義によって再分配機能が壊れた社会。大資本・大企業が潤い、中小企業・個人が貧しく、そして分断されるような社会ではいけない。内橋克人さんの本を読みつつ、つくづくそう思った。
 話は横道に。その本には、宇沢弘文さんも出てきます。日刊ゲンダイからの再引用「 宇沢氏は40年以上前、ベトナム戦争を批判された米国防長官が経済効率性を理由に胸を張ったことに愕然とし、「言葉に言い尽くせない衝撃を受けた」と語っている。以後、平等・公正・正義ではなく「稼ぐ」ことだけを目的とした経済学に批判を投げかけてきた。人材派遣大手・パソナの会長として、巨額の報酬を得ながら、産業競争力会議のメンバーにもなって、パソナが得をする雇用改革を推し進めている竹中氏などは、宇沢氏にしてみれば論外蛇蝎のごとく嫌う存在だったのである」(【●「大切なものは決してお金に換えてはいけない」: 「宇沢弘文氏が蛇蝎の如く嫌った新自由主義」】)。東京新聞「経済とは、経世済民。世をおさめ、民をすくう。言葉の本来の意味の経済学者だった」(【●「大切なものは決してお金に換えてはいけない」: 「宇沢弘文氏が蛇蝎の如く嫌った新自由主義」】)。
 

   ●アベ様は「株価さえ上がれば
      何をやっても許されると思っているのだろうか」?

   『●斎藤貴男さん「庶民から取れるだけ取ろうとしているのが安倍政権」
   『●「財政危機を叫び、国民に大増税を強行しながら、
                この財政規律の欠如は何なのか」!?

   『●「年功序列賃金見直し」: 正義面でアベ様は庶民から
           搾り取れるだけ搾り取り、「ドアホノミクス」を推進

   『●格差社会を助長するトンデモな「ト」理論=トリクルダウン理論
   『●アベ様達の「政(まつりごと)」、
        この現状の虚しさよ・・・・・・本当にこのままで良いんですか?

   『●衆院選の酷い結果: 本当に、
       「「眠り猫」は眠っているように見えて実は起きている」のか?

   『●格差社会を拡大する「トリクルダウン理論」:  
       「したたり落ちているのは、若い世代の悔し涙なのか」?
   『●「トリクルダウン理論」: 
        「貧しい者」ではなく「アベ様の自民党」に「お零れ」が!
   『●「大切なものは決してお金に換えてはいけない」:
            「宇沢弘文氏が蛇蝎の如く嫌った新自由主義」

   『●所得再分配機能が破壊:
      「眠り猫」はアベ様を「支持」することで自分の首を絞めている

   『●「弱者に厳しく、強者に優しい」ドアホノミクスは
       「一番大切なものをないがしろにしているのです」

   『●「アベハラスメント」(©やくみつる氏): 
       こういう社会を目指してるんだ自公投票者達は?

   『●どちらの国に生まれた子どもが幸せだろうか?
   『●子どもたちが「キチンとした教育」を受けることができ、
                        平和に暮らせる世の中に

   『●「生まれた環境に縛られる、子どもたちの夢」
               (『カナエール福岡応援ページ』)

   『●石坂啓さん「道徳心とか愛国心とかが
      コドモたちにとって安全かどうか、なぜ疑ってかからない」

   『●「道徳」を説く文科相がソレってOKなの? 
       「道徳心とか愛国心とかがコドモたちにとって安全」??

   ●「弱者に厳しく、強者に優しい」ドアホノミクスは
          「一番大切なものをないがしろにしているのです」

   『●残酷な現実・・・自公支持者や「眠り猫」の皆さんのお好きな「格差社会」

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http://www.magazine9.jp/article/amamiya/17757/

雨宮処凛がゆく!
第327回
ピケティ・ブームと税制。の巻

 昨年から、世の中は「ピケティ」ブームだ。

 持ち歩くだけで筋トレになりそうな分厚い本の値段は5940円。それが飛ぶように売れていると聞くと、思わず印税を計算したくなってくる。しかも、1月に来日してからは様々なメディアで目にしない日はないというほどの露出度だ。

 そんな『21世紀の資本』、あなたは既に読んだだろうか?

 私はまだ読んでいない。あの分厚さを前に、心は折れかけている。が、様々なメディアで、ピケティは格差社会に警鐘を鳴らし、富裕層への課税を訴えているということくらいは知っている。そんなざっくりしたイメージで、私はざっくりピケティを支持しているという、この国に数十万人くらいはいそうな人間の一人だ。

 そんなピケティ・ブームを受け、にわかに「税制」に注目が集まっているが、2月、「税制」をメインテーマとした2つの団体が発足したことをご存知だろうか?

 ひとつは民間税制調査会。エコノミストの水野和夫氏、民主党時代に政府税制調査会専門家委員会委員をつとめた三木義一氏らが呼びかけ人となって設立された。

 もうひとつは、「公正な税制を求める市民連絡会(仮称)準備会」。こちらの呼びかけ人は弁護士の宇都宮健児氏、反貧困ネットワーク世話人の赤石千衣子氏、奨学金問題対策全国会議幹事の水谷英二氏、ブラック企業被害対策弁護団副代表の新里宏二氏、そして私だ。

 どちらの団体も、格差是正のための税制を求め、豊かな層に多く課税すべき、という点では一致している。

 さて、2月15日、そんな「公正な税制を求める市民連絡会(仮称)準備会」によって緊急シンポジウムが開催され、会場のキャパを上回る300人以上が詰めかけた。

 この日のシンポジウムのタイトルは「税金を払わない巨大企業〜公正な税制で社会保障の充実を〜」。

 基調講演をしてくれたのは、昨年秋、文春新書から『税金を払わない巨大企業』を出版した富岡幸雄氏だ。

 今年で満90歳という富岡氏は、19歳で学徒動員によって戦地に赴き、戦後は国税庁の職員として徴税の現場や税務行政の管理をしてきたという人だ。退官後は中央大学教授として税務会計学を創始し、また多くの会社の顧問も経験してきたという。いわば70年間にわたって「税を知り尽くしてきた」生き証人のような存在なのである。

 そんな富岡さんの『税金を払わない巨大企業』、私は出版されてすぐに読んでいたのだが、同書には衝撃の数字がずらりと並ぶ。

 例えば、実効税負担率の低い大企業の1位が三井住友フィナンシャルグループで、純利益は1479億8500万円なのに納税額は300万円、負担率は0.002%。2位はソフトバンクで純利益788億8500万円なのに納税額500万円、負担率は0.006%――などなどだ。

 「日本の法人税は高い」とはよく言われる言葉だが、本書を読むと、様々なからくりがあり、多くの巨大企業が税逃れしているという現実が見えてくる。

 そんな富岡さんの話をぜひ聞きたいと思っていたのだが、お年もお年だし、難しいのでは、と思っていた。しかし、今回の緊急シンポジウムの企画が立ち上がり、準備会が依頼してみたところ、すぐに快諾して頂いたのだ。そうして2月15日、初めてお会いできたのである。

 富岡さんは、90歳とは思えないよく通る声で、1時間以上立ちっぱなしでパワフルな講演をしてくださった。時に大企業のみを優遇する政策への怒りから机を叩き、時に声を荒らげて「現在の理不尽な税制」を訴える姿は、迫力に満ちていた。

 いろんなことが語られた。今の日本の負担構造は、「巨大企業が極小の税負担」で、「中堅中小企業が極大の税負担」になっていること。「社会保障のため」と言われる消費税収入が法人税減税の穴埋めとなっていること。そして様々な大企業からの政治献金によって、政策が大企業に都合のいいように「買収」されていること。様々なデータから立証される不公平な税制の実態が次々と明らかになった。

 富岡さんはこの日、著書『税金を払わない巨大企業』を「命がけで書いた」と述べた。この本では、大企業が実名で書かれ、「避税」の実態が隅々まで暴かれている。おそらく、各方面から相当な圧力もあるだろう。実際、出版したことによって、様々な誹謗中傷に晒されているとも語っていた。それでも、書かないではいられなかったのだ。

 この本のあとがきで、富岡氏は戦地に行ったまま母国の土を踏めなかった同窓生、戦争の犠牲となった多くの兵士や民間人について触れ、そのあとにこう書いている。

 「日本を戦争に駆り立てた原因のひとつに、国家財政のもろさや脆弱さがあげられます。日本の財政や経済の弱さを補うためにも、他国に侵略を企んだのです。

 ――こんな悲惨な戦争を二度と起こさないためにも、日本を内側から強くしなければならない。そうしなければ、戦争で亡くなった人たちに申し訳ない。

 私が、戦後、国税庁に奉職したのは、こんな決意もありました」

 そうして氏は、税に携わってきた70年間を振り返る。そうして、以下のように述べるのだ。

 「その結果、現在の日本の財政が著しく弱いのは、税の不公正さに起因することに気がつきました。とくに、大企業を優遇し、その財政面での“帳尻合わせ”をさせられているのが、一般国民や中小企業だったことが明らかになりました。

 かつては、国が栄えるためには、まず大企業が潤ってから、しだいに中小企業も活況になり、多くの労働者の賃金も上がって、内需が拡大するという波及効果が考えられていました。しかし、1980年頃から、大企業が盛んにグローバル化した結果、国を棄てて、無国籍としか言いようのない形態に変わっていきました。同時に、短期にできるだけ多くの利益を得ようとするアメリカナイズした経営方針が浸透して、大企業は、その利益をタックス・ヘイブンと呼ばれる税率がきわめて低い国々に蓄積するようになってしまいました。つまり、大企業が儲かっても、国や国民は潤わないようになってしまったのです。

 それにもかかわらず、政府は大企業を優遇するような税制を推し進めています。その結果が消費税の増税です。もし、大企業に、法が定めた税率に基づいて適正に納税させていれば、消費税を増税しなくてよかったばかりか、これほど財政赤字に苦しむ必要もなかったのです」

 今年1月、貧困撲滅に取り組む国際NGOオックスファムは、2014年の時点で富裕層上位1%が所有する富が48%になり、2016年までには半分を超えると指摘した。世界でもっともお金持ちの1%が、世界全体の富の半分を独占するという事態が今この瞬間、既に起きているのだ。

 何かおかしい。この20年くらい、日本に住む人々だけでなく、世界中の先進国の人々が思ってきたはずだ。だけど、何がおかしいのかよくわからない。格差を問題にすれば「自分が努力して這い上がれと言われるし、貧困を問題にすれば「自己責任」と突き放される。だけど、そもそも、この構造自体がおかしいのではないか? 個人の努力ではいかんともしがたい領域に、既にずーっと前から突入しているのではないか

 そんな中で起きた世界的なピケティ・ブームと、「税制」を問い直す動き。

 私たちは、自分たちの手で「公正な税制」のプランを作り、提示すべき時が来たのだと思う。みんなで一緒に、議論しながら作っていきたい。税制を考えることは、社会の在り方をイチから作り変えるような作業である。今から、楽しみでワクワクしているのだ。
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