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●《浴田由紀子さん…自分たちは暴力ではなく、考えを広めるために、平和的に仲間を増やすべきだった。そうすれば社会は変わるだろう》

2021年04月18日 00時00分33秒 | Weblog

[※ ↑ 映画『狼をさがして (【映画『狼をさがして』公式WP】、http://eaajaf.com/)]


(2021年04月06日[火])
根岸恵子氏による、レイバーネットの記事【自らの国の奢った姿がみえてくる〜ドキュメンタリー映画『狼をさがして』】(http://www.labornetjp.org/news/2021/0403eiga)。

 《『狼をさがして』を観た。この映画は70年代中頃、「連続企業爆破事件」を引き起こした 「東アジア反日武装戦線」の首謀者とそれを取り巻く人々を捉えたドキュメンタリー映画 である。監督のキム・ミレは、「土方(ノガタ)」(2005)や「外泊」(2009)といった韓国の 労働者の現状を描いたことで有名だ。韓国人の監督が日本の「東アジア反日武装戦線」に 関心を持ったのは、どうしてだろうか。キム監督が「東アジア反日武装戦線」を知ったのは、釜ヶ崎の野宿者からだった。野宿者の多くは戦後の高度成長期に日雇い労働者として搾取され、オイルショック以降の景気後退で社会的棄民となった。彼女はその事実から、日本国内で差別される人々に関心を持ち、強制労働で命を奪われた朝鮮人徴用工の虐殺現場を訪ね、そこがかつてアイヌ人々の土地であったことを知った。日本の植民地主義はアジアの人々や被差別者、貧困者を踏みつけて成り立っていることを、キム監督は問題意識として持ち続けた。(根岸恵子)》。

   『●《「冷酷非情の狼」という印象》…でも彼らがなぜ「その闘争」を
     やらなければならないと思ったのか?、には耳を傾ける必要がある

 《「冷酷非情の狼」という印象》…でも彼らがなぜ「その闘争」をやらなければならないと思ったのか?、には耳を傾ける必要がある。
 引用させていただいた記事のこの部分が印象に。《浴田由紀子さん…が裁判の最終陳述で語ったことは、心に沁みた。自分たちは暴力ではなく、考えを広めるために、平和的に仲間を増やすべきだったそうすれば社会は変わるだろうと。》

 《何もしないわれわれが、やったがゆえに死傷者を出してしまった彼らを、裁くことができるのか》(松下竜一さん)。松下竜一さん、本当にすごい人だ。『狼煙を見よ ―――東アジア反日武装戦線狼部隊』を、是非、読んでみてほしい。もう何十年も前、当時の『草の根通信』の読者にしても、そうだった。《…拒絶反応だと断じざるを得ない。/…私は暗然とする。信頼してきた『草の根通信』の読者にしてこうなのかと思う。/一度焼きつけられた「冷酷非情の狼」という印象は消えることなく、大道寺将司という名だけで、もう拒絶反応が起きてしまうことになる。知ろうとする心を閉ざして拒絶する壁をめぐらせてしまうことほど、危険なことはないのだが》。

   『●『佐高信の新・筆頭両断』読了(2/2)
   『●『死刑弁護人 ~生きるという権利~』読了(4/4)
   『●『創 (12月号)』読了 (2/2)
   『●『松下竜一未刊行著作集2/出会いの風』読了(4/9)
   『●『松下竜一未刊行著作集3/草の根のあかり』読了(2/2)
   『●『抵抗人名録 私が選んだ77人』読了(2/2)
   『●『冤罪File(2009年12月号)』読了(1/2)
   『●『日本の公安警察』読了(2/2)
   『●『東京番外地』読了
   『●『松下竜一未刊行著作集5/平和・反原発の方向』読了(後半)
   『●死刑囚・大道寺将司さんのこと
   『●「O・ストーン&P・カズニック 戦争と歴史を語る」
             『週刊金曜日』(9月6日、958号)
   『●《われわれは大きな不正を正すために何をしたというのか。
     何もしないからこそ、彼らのように重大な失敗を招くこともなかった》

 〝殺人〟、人を殺めることは絶対に否定されなければならない…でも彼らがなぜ「その闘争」をやらなければならないと思ったのか?、には耳を傾ける必要がある。

 『松下竜一未刊行著作集5/平和・反原発の方向』から、再々度、引用。
 「…拒絶反応だと断じざるを得ない。/…私は暗然とする。信頼してきた『草の根通信』の読者にしてこうなのかと思う。/一度焼きつけられた「冷酷非情の狼」という印象は消えることなく、大道寺将司という名だけで、もう拒絶反応が起きてしまうことになる。知ろうとする心を閉ざして拒絶する壁をめぐらせてしまうことほど、危険なことはないのだが」。
 「…つい感情を昂ぶらせてしまった。/「あなたは、なんでそんな第三者的な質問をするのか。死傷者を出したことで一番苦しんでいるのは、彼らではないか。われわれは大きな不正を正すために何をしたというのか。何もしないからこそ、彼らのように重大な失敗を招くこともなかった。何もしないわれわれが、やったがゆえに死傷者を出してしまった彼らを、裁くことができるのか」」。
 「そのことで彼らを無差別大量殺人者として糾弾することはたやすい。だが、時代の痛みにも気づかず、あるいは気づいても知らぬふりをしていた者が(行動しなかったがゆえに失敗しもしなかっただけのことで)、行動を起こしたがゆえに大きな失敗をしてしまったものを威丈高(いたけだか)に指弾できるだろうかという思いは、『狼煙を見よ』を書き進むにつれて私の中でつのっていった。なによりも、そのことで一番苦しみ抜いているのは獄中の〝狼〟たちなのだ。/荒井まり子は、企業爆破事件の実行犯ではない。謀議にすら関与してはいない」。

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http://www.labornetjp.org/news/2021/0403eiga

自らの国の奢った姿がみえてくる/ドキュメンタリー映画『狼をさがして』

自らの国の奢った姿がみえてくる〜ドキュメンタリー映画『狼をさがして』
根岸恵子

 『狼をさがして』を観た。この映画は70年代中頃、「連続企業爆破事件」を引き起こした 「東アジア反日武装戦線」の首謀者とそれを取り巻く人々を捉えたドキュメンタリー映画である。監督のキム・ミレは、『土方(ノガタ)』(2005)や『外泊』(2009)といった韓国の労働者の現状を描いたことで有名だ。韓国人の監督が日本の「東アジア反日武装戦線」に関心を持ったのは、どうしてだろうか。

 キム監督が「東アジア反日武装戦線」を知ったのは、釜ヶ崎の野宿者からだった。野宿者の多くは戦後の高度成長期に日雇い労働者として搾取され、オイルショック以降の景気後退で社会的棄民となった。彼女はその事実から、日本国内で差別される人々に関心を持ち、強制労働で命を奪われた朝鮮人徴用工の虐殺現場を訪ね、そこがかつてアイヌの人々の土地であったことを知った。日本の植民地主義はアジアの人々や被差別者、貧困者を踏みつけて成り立っていることを、キム監督は問題意識として持ち続けた。そして金儲けのために人々や他国を蔑ろにし、搾取の元凶である企業に対し爆破事件起こした「東アジア反日武装戦線」に焦点を当て、関係者へのインタビューを行ったのである。

 そこから見えてくるのは、関わった人たちの健全さだ。服役した支援者のある家族は、事件後、娘を通して多くの本当の友人を得たと語っていた。亡くなった父親の遺影には「秩父事件」の碑がある。また出所した浴田由紀子さん(写真右)が裁判の最終陳述で語ったことは、心に沁みた。自分たちは暴力ではなく、考えを広めるために、平和的に仲間を増やすべきだったそうすれば社会は変わるだろうと

 この映画を観て思ったことはいろいろあるが、多くの日本人は自らの国の奢った姿を知らないのではないかということだ。だからこそ日本人には観てほしい映画である。


・上映館 http://www.imageforum.co.jp/theatre/

・また、新宿のIRA (Irregular Rhythm Asylum) では11日まで「東アジア反日武装戦線関連資料展」をやっています。http://ira.tokyo/


Last modified on 2021-04-04 20:37:16
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