

つづき。「「この人と出会ったばかりに、私の人生は狂ってしまいました」/小さなつどいでの自己紹介で、彼がそういって爆笑を誘ったことがある。この人というとき」に「私と出会った人」こと梶原得三郎さんの手はセンセを指していた。「・・・逮捕され起訴される。その獄中で職も喪ったのだから、私との出会いでまさに人生を狂わされたことになる。/大損をしたのは彼であり、一方私はこの弾圧をテーマにして『明神の小さな海岸にて』というドキュメントを発表しているのだから、彼を踏み台にしたという辛辣な見方をされてもしかたないのだが、二人の間にいささかのひびも入らずにきているのは、ひとえに彼の希有な人格によっているのだろう」。今宿在住の、野枝の母 (つまり祖母) ウメに育てられた「大きな瞳を輝かせた人」伊藤ルイさん。被告席の本人の「胸に刻み込む〝友情の言葉〟として語」らせ「私に証言させた人」鎌田俊彦さん、そして「あの証言の日の私の友情は、今も変わらないことを」。最後に、講演依頼に「はがきいっぱいに豪快な筆致で「快諾」とあった。千言にもまさるこの簡潔豪毅な返事に」センセを唸らせた「私を演じた人」緒形拳さん。「緒形拳さんから突然電話をもらった・・・。/「君の『怒りていう、逃亡には非ず』を読んだら、興奮してしまって一睡もできなかったよ」という。/・・・泉水博の、数奇な運命をたどったノンフィクションである。「これを映画にできたら」という熱い思いを、拳さんは電話で伝えた。/「君はいい仕事をしているねえ」といわれて、・・・拳さんがこうして遠くから見ていてくれたことを知って嬉しさもこみあげていた」。室原翁の役とともに、実現してほしかった。

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