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●『本田宗一郎との100時間 燃えるだけ燃えよ』読了

2009年10月01日 07時57分01秒 | Weblog

『本田宗一郎との100時間 燃えるだけ燃えよ』、9月に読了。城山三郎著。講談社文庫。1988年2月刊(1993年12月第12刷)。

 「それはまた、十年前、本田と副社長の藤沢の二人が、会長にも相談役にもならず、一気に最高顧問まで引き退った鮮やかな姿を思い出させる」(p.21)。「代々きれいな社長交代」(p.48)。

 ストップ・ウォッチ。「「・・・よく考えなくちゃ。ストップ・ウォッチで動けるほど、人間は働けませんよ。それでは、人間が参ってしまう」/人間本位という考えは、いまも生きている。/・・・フリー・フロー・システムといい、コンベア・ラインは一律のスピードでは流れない。/・・・人間がまいることはないし、おそいところへは助け合いに走ったりして、人間的なつながりも深まる。/それでいて、この人間的なラインのスピードは、これまでの一律のコンベア・ラインの流れに負けない、という」(p.79)。トヨタや、小泉改革なるものにおいてそれを郵便局などに持ち込んだことへの痛烈な批判になっていることが面白い。
 「本田は、投資のために土地を買ったことはない。・・・/その本田技研もまた本業一筋で、土地ブームなどですすめられても、ついぞ土地へ手を出さなかった」(p.108)。

 佐橋滋通産次官との対立(pp.114-115)。

 「社宅はできるだけ作るべきではないし、・・・/「社宅は城下町の遺物だ」/と本田はいう。/・・・むしろ、社員にとって有害である。・・・企業といっても、人間が主体です。・・・それには平等感というか、一人一人が大事にされているという認識がないと・・・。その点では、世界中でうちぐらい人間を考えている企業はない、と思います」(pp.123-124)。

 「「例えばトヨタ・日産クラスが七〇〇〇部買い上げてくれたとすると、本田さんを書いたとき、ホンダがどれだけ買い上げたと思う」/・・・「桁ちがいに少ないでしょうね」/三鬼は大きくうなずいた。/「桁ちがいどころか、三桁もちがう。つまり、たった七冊なんだよ」/本田とはそういう人ホンダとはそういう会社なのである」(pp.140-141)。

 本田宗一郎と藤沢武夫、トヨタとは明らかに違うその思想と文化。「・・・何よりもその私心私欲の無さである。・・・/二人は公私混同もきびしく戒め、ついぞ、その会社を私物化することなく、同族化することもなかった。/・・・二人とも金には潔癖だった・・・」(pp.236-237)。「金もうけとは別のものを―――。それを思想というのか、文化というのか。/・・・「トヨタが新しいものを生み出してるって、あんまり聞かねえな。お金持ってるとか、利益生みだしてるとか、たいへんなものらしいが、金融業ならいいけど、生産企業が・・・」」(pp.244-245)。

 「―――仮に息子さんがホンダに入りたいといったら。/「入れないね、わたしは。」・・・」(p.288)。

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