アルパインクラブ モルゲンロート

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八ヶ岳 赤岳鉱泉から硫黄岳 (2016.1.9~10)

2016-01-14 07:31:01 | 会山行(2015~2022年度)

雪不足でスキー場が困っているって、ニュースで聞いているが、来てみると確かに今年の雪は少ない。去年のこの時期、八ヶ岳登山口標識手前の坂道では圧雪された雪が凍り、多くの車がスリップして前に進めず止まっているし、制御し切れない車は路面より下の方へズリ落ちていた。今年は、美濃戸口やその先の美濃戸山荘前ゲートまでも積雪はなく、やまのこ村まで車で行くことになる。そして、ここまでくれば赤岳鉱泉までは2時間と少しだ。



 赤岳鉱泉にテントを張り、午後はTさんとNさん指導の下、2組に分かれての雪上トレーニング。アイゼンワークや滑落停止法に確保技術のスタカットやコンティニュアスを学ぶ。そのあと中山尾根展望台に行くと、大同心~小同心~横岳~赤岳~中岳~阿弥陀岳が目の前に在る、良い眺めだ。雲ひとつない青い空に風もなく、ちょうど 陽を背に受けて、まるで春のような暖かさの中に居る、そんな初日だった。



 二日目は、大同心稜(5名)と硫黄岳(7名)の二組に分かれて行く。我々、硫黄岳組は高さ540mを登るだけの冬山行。気温はこの厳冬期にしては高めで、樹間の踏道は風もなくそんなに寒くない。赤岩ノ頭手前の風除け地にて、これからの稜線上の風に備えてマスクを被り防風防寒仕度を整える。
 赤岩ノ頭から、見上げる硫黄岳はガスっている。



50mくらい登ると急に風が強くなる。積った雪は舞い上げられて、予報通りの風速二十数メートル/秒の強風であることが窺える。リュックに風がまともにぶつかり、体が煽られて一瞬フラッとし耐風姿勢をとったりの登りとなる。そんな中でも途中のブロッケン現象に向かって手を振るもすぐに消える。



着いた硫黄岳山頂には30~40名は居たようだが、狂ったような風の中ではたちまち人も疎らになる。風除けにロボット雨量計(?)の小屋前に集合していると、また再びのブロッケン現象に素早くカメラを手に取りパチリとするが、またもすぐ消えうまく撮れず。



あまりの風にそんなに長居することなく、山頂をあとにしながらTさんのカメラに1人ずつ納まりながら下山する。
 
帰りの赤岩ノ頭は風もなく陽も射し、先ほどの強風下とは別世界。見上げる硫黄岳の上にある空は真っ青だし、横岳~赤岳~阿弥陀岳が雪粉を舞い上げながらも凛としている。もう一方の組が登っている大同心稜へのルートは、登攀の大変さとは違って、なだらかな稜線を描いている。これらは、今日一番の展望を呉れている。



 山を語る時、僕のような凡人は達成感や頂に在ることの満足感に加えその展望を口にする。でも、春の陽だまり感とその対極にある冬山登山の厳しさの一旦を垣間見ることのギャップとの対比性(=非日常性)も、今回はその一つとして体験できた。
 小淵沢インターまでの帰りの道順、普段見る甲斐駒ヶ岳とは違い、岩稜に付いた雪があの尖ったゴツゴツ感だけでなく優美な白と黒のコントラストにて、今までで最高の姿を見せてくれている。そして、ただ見せてくれているだけでなく呼んでもいる。
 帰り着いた今、ぬくぬくとした部屋の中で 山から一緒に戻ってきたパンを齧りながらのキャンティーが心地よい(=酔い)。


メンバー:
【硫黄岳】河(記)、鈴、田(SL)、浜、長、小g、小b 
【大同心稜】中(L)、井、會、片、川


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