行程: 高瀬ダム~烏帽子岳~野口五郎岳~水晶岳~雲ノ平~湯俣温泉~高瀬ダム
真砂分岐からの竹村新道、意外と手強いぞ
正面は南真砂岳、そしてお花畑一杯の裏銀座だった
14日、諏訪湖SAで食事中、TVでは高校野球をやっている。そう云えば山に入っている間の、甲子園や株はどうなったかとかが気になる。俗世間へ身も心も戻って来たようだ。山に在る間はその結果を全く気にすることはなかったし、頭にも浮かばなかったんだが。14日の新聞を見ると株が大幅に下がっている、こりゃまずい。広島はいい加減に調子はいいし、西武はこのまま行ってくれ。
以前、メンバーのAさんに山の魅力って何だろうって聞かれたとき、即 “非日常性ですよ” って答えたことがある。そして今、ああ本当にそうなんだなあーって、しみじみと感じている。
3年前、燕岳から大天井岳への表銀座から見た裏銀座、あれだけのものを目の前にしたらぜひ一度は行かなくてはと思っていた。鷲羽岳の重厚感や、黒い姿の水晶岳と野口五郎岳を踏みに。
事前の天気予報は曇りに雨と、余り良くない。さあ、快方を祈って登山開始。
初日(高瀬ダム~烏帽子小屋)、夜半来の雨も起床前には上がり、まずまずの天候が期待できたんだが。
七倉に駐車、メンバー6人。これから更にタクシーで高瀬ダムまで
高瀬ダムから登山開始。100mくらいある吊り橋はよく揺れる
ブナ立尾根登山口近くにある追悼の碑、花は替えたばかりかまだ新しい
ブナ立尾根は北アルプス三大急登と云うだけあって、きつい登りが続く。霧雨の中、樹林帯の所為もあり雨具を付けることはないが、展望の楽しみもなくただただ登るのみ。
途中のタヌキ岩
そして、ミヤマキンバイやタテヤマリンドウも
烏帽子小屋前にはイワギキョウの花園、この先のテン場に向かうも もう100張くらいで満杯に近い。単独行の人に場所を代わって貰い、ぎりぎりのタイミングで大型テントのスペースを確保。
烏帽子小屋です
小屋前にあるイワギキョウの花園
小屋から幕営地に向かう、奥は明日の縦走路
詰めに詰めたテン場
幕営後、烏帽子岳へ行く元気は残っていない。それよりも早くビールが呑みたく、烏帽子組と残り組(アルコホル組)に分かれる。
烏帽子組は烏帽子岳へ
そして、烏帽子岳山頂
明日は暗い中での出発、為 夕方でもルート確認中のAさんとHさん
二日目(烏帽子小屋~野口五郎岳~真砂分岐~水晶岳~祖父岳~雲ノ平)、コースタイム9時間半もあり未明のスタート。三ツ岳北峰稜線への登りは、暗くてよく見えない。が、砂礫地帯はコマクサがまだ残っていた。
カメラのフラシュに浮かび上がるコマクサ
明るくなって景色も見渡せるようになる。上左は唐沢岳、下は高瀬ダム
野口五郎岳に向かう縦走路
途中見える野口五郎岳の雄大さは格別のものがある。また、そのモルゲンロートに輝く姿を見るとここまで苦労した甲斐があると云うものだ。
朝日に輝く野口五郎岳
お花畑ルートを行く
花の後の果穂、ピンクのチングルマ
道標多く、道迷いの心配はない
北東方向の雲海
二重山稜の稜線を行くAさん、野口五郎小屋まであと100m
野口五郎小屋前にてトウヤクリンドウの群生を楽しんでいると、会員のSさんに似た人(後でSさん本人と分かる)がパーティーを率いている。
トウヤクリンドウの群生、花冠は晴れてないと開かないと云う
野口五郎小屋前にて休むメンバー
小屋前から野口五郎岳へ向かう稜線
廻りはガスの野口五郎岳
野口五郎岳より石くずの斜面を下る
竹村新道の稜線の向こう、硫黄尾根に陽が差している
真砂分岐に向かうAさん
真砂分岐下のコルから硫黄尾根、その奥 槍ヶ岳は雲の中
いつも写真で見る山容と違って、鋭角的な鷲羽岳。後ろ姿はAさん
東沢乗越手前ピークから見上げる水晶小屋までのやせた尾根道、こんなとこ登って行けるのかと思いながらも気持ちを引き締めて行く。
正面頂上には水晶小屋、この稜線を登って行くんです
水晶小屋までの最後の登りにあった、ヨツバシオガマとウサギギク
水晶小屋前では霧に加えて雨もポツリとあったが、荷物をデポし水晶岳に向かう。水晶岳は狭い山頂である。ガスの中、展望も利かず4~5分で去る。水晶岳は、そんな山だった。
水晶岳山頂には数人の人、これから向かう
水晶岳山頂
水晶小屋からワリモ北分岐方面に向かうAさん、左から鷲羽岳にワリモ岳と祖父岳
今回の山行では真砂岳から東沢乗越、そして水晶小屋に向かうルートが好きだ。ゴツゴツの岩稜が少しの山岳技術を求めて来るし、その場その場でこの先の縦走路が見て取れる。ただ残念なのは、表銀座方面や読売新道方面など廻りの山々は曇って見えず。まして、目の前の槍ヶ岳さえも。でも、その代わりと云っては何だが祖父岳ではライチョウ親子が出迎えて呉れた(このライチョウ親子、帰りの見送りもして呉れたんだ)。
祖父岳への稜線
祖父岳山頂手前でライチョウさんのお迎え
広い山頂の祖父岳
雲ノ平のテン場、祖父岳から見るとすぐそばだがぐるっと廻って1時間掛かった。
祖父岳下りから望む、雲ノ平。溶岩台地の上に建つ雲ノ平山荘(左上、見づらい)と中央少し右よりにはテン場
ここもテントは満杯状態、穴ぼこのある場所に仕方なく幕営。夜半はペルセウス流星群を望めるまでもなく、土砂降りの雨。
満杯のテン場、空いている様に見えるが大きな石で幕営できる場所は限られる
三日目(雲ノ平~祖父岳~水晶小屋~真砂分岐~湯俣温泉)も長丁場でやはり未明スタート。雨の中、ヘッドランプを付けての歩きだが、足元は暗くて段差のある木道を何度も踏み違える。
雨とガスで視界のあまり利かないなか、祖父岳山頂付近にて グーグー グゲーグゲー と鳴き声がする。近寄ってみると、昨日のライチョウ親子のようだ。今日はお見送りをして呉れるのか。
雨とガスの中、鳴き声でライチョウ親子に気づく
水晶小屋までは横殴りの雨と風、素手ではかじかんでしまう。体力を奪う雨と風には、夏山でも気を付けねばならない。
あと少しで東沢乗越。岩稜帯を抜けての Tさん、Hさん、Mさん
大きな岩の続く縦走路を行くAさん
真砂分岐手前の Tさん、Hさん、Iさん
真砂分岐から竹村新道に入る。この竹村新道、結構厳しい。下りなのに登り返しがきつく、やせ尾根に道も疲れているし、急な下りが多い。そして、雨中の根っこの所為で疲れた果てた体は滑っての転倒が甚だしい。でも急な下りや、やせ尾根での転倒がなくて、湯俣温泉に着いた時には本当にホッとした。
竹村新道、正面は通行止め、先導Aさんは間違って右の花脇を降りかけた
竹村新道、トラバース道も傷んでいる
振り返っての竹村新道、やせ尾根を下ってきた。落ちたら最後か
濡れた根っ子、本当によく滑る
ガマも登場、このガマさんの所為で一人転倒
湯俣温泉までもうすぐ、赤い土は硫黄の所為か、臭いもきつくなる
四日目(湯俣温泉~高瀬ダム)未明、オリオン座近くを数分ほど見上げていたが、流れ星は確認できず。ピークの13日を一日過ぎていてもまだと、期待したが残念。でも、満天の星々は大きく明るい。そして、湯俣温泉を5時に立ち、高瀬ダムには8時前着。
湯俣温泉を後に
途中に見えるには、船窪岳か(ズーム)
高瀬ダムから望む裏銀座縦走路、左寄りにポツンとニセ烏帽子岳が
この4日間、天候には恵まれない山行だったが、天も配慮して呉れたのか、お盆期間中にも拘らず渋滞もなく帰れたのは有り難い。ただ困ったことには、入浴前の体重計はいつもより1~2キロ多めになっている。初日5時間、二日目11時間、三日目12時間、四日目3時間と行動したのにそれ以上のエネルギーを供給できていたんだ。
メンバー:田(L)、浜、井、會、宮(SL)、河(記)