バンクーバー冬季五輪にちなんだ第二弾。
昨日の開会式の主役だったカナダの先住民の皆さん
(カナダではFirs nationsと呼んでいます)
のカラフルな衣装、とても素敵で印象的でしたね
。
カナダの北西部、北極に近いタイガの林の中で暮らしている
ヘアー民族と延べ11か月(1961~1963年)暮らしたことのある人類学者の
原ひろ子さんによると、
ヘアーの大人たちは、火や、刃物に非常に小さいころから子どもに触れさせ、
危ないことも含めて教え、使いこなすよう教育するそうです
。
夏でも寒いカナダの北西部は、
夏でも冬でもストーブを焚くそうなのですが、
よちよち歩きの幼児がストーブに興味を示し始めると、
少しあつくなりかけたストーブをわざと触らせるそうです
。
肌が少し水ぶくれになることもありますが
、
そういうふうにしておけば、大やけどしないで、
ストーブを避けて体を動かすようになるのだ、とおとなたちはいうそうです。
また、原さんは、4歳4カ月の女の子が小さい斧を振り上げて、
短い丸太を割ろうとしている場面に出くわします
。
「危ないッ!」と叫びそうになりましたが、
しかし思い直し、見守っていると、
小さな女の子は斧をふりおろし、
丸太を見事に二つに割っていました
。
ナイフの次は斧、斧の次はのこぎりと、
次々に刃物に親しんでいく子どもたちを見ながら、
原さんは「ここの子どもたちの世界では’ものを切る’とかものを’割る’
ということは’創る’ということにつながっている」
ということに気づきます。
また、ヘアーの子どもたちは、
10歳くらいの子どもでもちょっとしたキズの応急処置ができ、
鋭い刃物で切った傷は治りが早いけど、
鈍い刃物やさびのついたもので切った傷は恐ろしい、
ということを知っているのだそうです。
自分を傷から守るのは、親や年上の誰でもなく、
自分しかいないのだ、ということを肝に銘じて知っているのです。
ヘアーの子どもたちは小さい時から自分個人の責任において判断し、
行動するといった点で徹底している、と
原さんは著書「子どもの文化人類学」の中で述べています
。
このヘアーの子どもたちが刃物を使いこなすさまを見ながら、
次第に原さんは「人間の子どもというのは、恐ろしく幅広い能力と可能性を持っているのだ」と感慨を抱くようになったそうです。
次回、またこの興味深い子育てについて続けます。
参考・引用文献 原ひろ子「子どもの文化人類学」晶文社 1979年
楊 奈穂
昨日の開会式の主役だったカナダの先住民の皆さん
(カナダではFirs nationsと呼んでいます)
のカラフルな衣装、とても素敵で印象的でしたね

カナダの北西部、北極に近いタイガの林の中で暮らしている
ヘアー民族と延べ11か月(1961~1963年)暮らしたことのある人類学者の
原ひろ子さんによると、
ヘアーの大人たちは、火や、刃物に非常に小さいころから子どもに触れさせ、
危ないことも含めて教え、使いこなすよう教育するそうです

夏でも寒いカナダの北西部は、
夏でも冬でもストーブを焚くそうなのですが、
よちよち歩きの幼児がストーブに興味を示し始めると、
少しあつくなりかけたストーブをわざと触らせるそうです

肌が少し水ぶくれになることもありますが

そういうふうにしておけば、大やけどしないで、
ストーブを避けて体を動かすようになるのだ、とおとなたちはいうそうです。
また、原さんは、4歳4カ月の女の子が小さい斧を振り上げて、
短い丸太を割ろうとしている場面に出くわします

「危ないッ!」と叫びそうになりましたが、
しかし思い直し、見守っていると、
小さな女の子は斧をふりおろし、
丸太を見事に二つに割っていました

ナイフの次は斧、斧の次はのこぎりと、
次々に刃物に親しんでいく子どもたちを見ながら、
原さんは「ここの子どもたちの世界では’ものを切る’とかものを’割る’
ということは’創る’ということにつながっている」
ということに気づきます。
また、ヘアーの子どもたちは、
10歳くらいの子どもでもちょっとしたキズの応急処置ができ、
鋭い刃物で切った傷は治りが早いけど、
鈍い刃物やさびのついたもので切った傷は恐ろしい、
ということを知っているのだそうです。
自分を傷から守るのは、親や年上の誰でもなく、
自分しかいないのだ、ということを肝に銘じて知っているのです。
ヘアーの子どもたちは小さい時から自分個人の責任において判断し、
行動するといった点で徹底している、と
原さんは著書「子どもの文化人類学」の中で述べています

このヘアーの子どもたちが刃物を使いこなすさまを見ながら、
次第に原さんは「人間の子どもというのは、恐ろしく幅広い能力と可能性を持っているのだ」と感慨を抱くようになったそうです。
次回、またこの興味深い子育てについて続けます。
参考・引用文献 原ひろ子「子どもの文化人類学」晶文社 1979年
楊 奈穂