NPO法人体験型安全教育支援機構 (旧ステップ総合研究所子どもの安全教育グループACE ニュース

犯罪・災害から自分で自分を守る力をつける体験型安全教育プログラム・実践の記録等の情報をお伝えします

朝霞市防犯パトロール講演会

2010-02-27 09:13:53 | 子どもの安全
先日、朝霞市の防犯パトロールの皆さんとお話をする機会がありました。

そんな中で、朝霞市は、自治体と、警察、そして地域の皆さん、PTAなどが
うまく連携をとりながら防犯パトロールをしているということが
わかりました。

同じ場所を時間を変えて、それぞれ都合のよい時間にパトロールしており
犯罪発生率も非常に低いそうです

犯人を見つける、とか捕まえる、というのではなく、
いつも元気なお年寄りが今日は元気がないな、とか、
今日も子どもたちが元気だな
あそこの新聞受けがたまっているけど大丈夫かな
など、普段とはちょっとちがうことを感じ、見守る。

そういう「地域を見守る」という地域の人しかできないパトロールを
朝霞の皆さんは、行っています

日本女子大学市民安全学研究センター
ACE楊

バンクーバー冬季五輪にちなんでーカナダのFirst nationsの子育て~危険の教え方③~

2010-02-16 11:13:05 | 日記
文化人類学者原ひろ子さんによると、
カナダのヘアー民族と暮らしていて、
「こんな小さいこともが、こんな危ないことをしているなんて!」
と驚かされることの連続だったそうです。

ところが、逆に、「こんなことをさせないなんて!」
と思ったこともあるそうです。
ヘアー民族の住む地域には、大小無数の川や湖があり、
夏の午後一時ごろ、気温が30度前後に上ったりすると、
原さんは水浴びをしたい!という気持ち地に駆られたそうなのですが、
しかし、ヘアーの人々は、絶対に泳がないのだそうです

わずかに10歳以前の子どもたちが水の浅いところで、
くるぶしまでつかって小さい魚を網ですくうくらいです。
それ以上、水の深いところへ行って入っていくと、
水の中にいる怪物が、生きている人間の霊魂をうばってしまうと考えています。
だから、泳ぐなどということは、彼らの想像を絶することでもあるのです


誰も泳げないのですから、カヌーで湖や川を渡っているときにカヌーが
転覆すれば、必ず溺死者が出ます。
すると、「ああ、怪物が霊魂を奪ってしまった。
だからあの人は溺れて死んだのだ」
ということになり
水中に怪物がいるという信仰がますます強められることになるのです。

人間が子どもを育てるというのは、
文化や環境に左右され、
赤ん坊の持って生まれた可能性を特定の方向に伸ばすこともできるし、
ある種の可能性を抑えてしまうことでもあるのですね。


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バンクーバー冬季五輪にちなんでーカナダのFirst nationsの子育て~危険の教え方②~

2010-02-15 22:44:44 | 日記
「人間の子どもというのは、恐ろしく幅広い能力と可能性を持っているのだ」と
原さんのフィールドワークの感想をよんで、しみじみ自分と子どもと、
自分の子育てを振り返る今日この頃。

今日コメントいただいた「原さん」の娘さんは、
エレベータの扉に挟まれ、心底怖い体験をしたそうです。
でも、彼女はこの経験からたくさんことを学び、
他の人にも危険を知らせるほど成長したとのこと
うちの子たちはそのような経験がないので、はさまれたら怖いということも知らないし、
想像もできないし、人にも教えられないだろうな、、、。


危険を学ぶ、といっても、たとえばいくらなんでも交通事故を体験させることはできないですよね
でも、ナイフの使い方とか、火の使い方とか、階段、坂道、
エスカレーター、エレベータ、など身近な危険、
そして知らない人に話しかけられたり、、などの体験は、
体験しながら教える必要があると思います


昨日お話ししたヘアー民族。勇敢に小さいころから火や斧の使い方を教えてました。
が、実は、彼らにも、苦手なことがあったのです!

それは水泳。
こちらからみれば「これぐらいおぼれないから大丈夫よ」
とおもう深さでも、ものすごく警戒して泳がせないようにするのだそうです。

無敵に見えるヘアー民族。実は水が怖かったのです!

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カナダのFirst nationsの子育て~危険の教え方①~

2010-02-14 16:52:06 | 子どもの安全
バンクーバー冬季五輪にちなんだ第二弾。

昨日の開会式の主役だったカナダの先住民の皆さん
(カナダではFirs nationsと呼んでいます)
のカラフルな衣装、とても素敵で印象的でしたね

カナダの北西部、北極に近いタイガの林の中で暮らしている
ヘアー民族と延べ11か月(1961~1963年)暮らしたことのある人類学者の
原ひろ子さんによると、
ヘアーの大人たちは、火や、刃物に非常に小さいころから子どもに触れさせ、
危ないことも含めて教え、使いこなすよう教育するそうです

夏でも寒いカナダの北西部は、
夏でも冬でもストーブを焚くそうなのですが、
よちよち歩きの幼児がストーブに興味を示し始めると、
少しあつくなりかけたストーブをわざと触らせるそうです
肌が少し水ぶくれになることもありますが
そういうふうにしておけば、大やけどしないで、
ストーブを避けて体を動かすようになるのだ、とおとなたちはいうそうです。


また、原さんは、4歳4カ月の女の子が小さい斧を振り上げて、
短い丸太を割ろうとしている場面に出くわします
「危ないッ!」と叫びそうになりましたが、
しかし思い直し、見守っていると、
小さな女の子は斧をふりおろし、
丸太を見事に二つに割っていました



ナイフの次は斧、斧の次はのこぎりと、
次々に刃物に親しんでいく子どもたちを見ながら、
原さんは「ここの子どもたちの世界では’ものを切る’とかものを’割る’
ということは’創る’ということにつながっている」
ということに気づきます。

また、ヘアーの子どもたちは、
10歳くらいの子どもでもちょっとしたキズの応急処置ができ、
鋭い刃物で切った傷は治りが早いけど、
鈍い刃物やさびのついたもので切った傷は恐ろしい、
ということを知っているのだそうです。

自分を傷から守るのは、親や年上の誰でもなく、
自分しかいないのだ、ということを肝に銘じて知っているのです。


ヘアーの子どもたちは小さい時から自分個人の責任において判断し、
行動するといった点で徹底している、と
原さんは著書「子どもの文化人類学」の中で述べています


このヘアーの子どもたちが刃物を使いこなすさまを見ながら、
次第に原さんは「人間の子どもというのは、恐ろしく幅広い能力と可能性を持っているのだ」と感慨を抱くようになったそうです。

次回、またこの興味深い子育てについて続けます。

参考・引用文献 原ひろ子「子どもの文化人類学」晶文社 1979年


楊 奈穂










バンクーバーオリンピックにちなんで

2010-02-13 22:14:52 | 子どもの安全
バンクーバーオリンピック、はじまりましたね!
うちの子どもたちも開会式と、ジャンプの予選を見て
盛り上がりすぎ、ジャンプのまねを椅子から飛び降りてしていた息子は、
鼻血を出してしまいました

今日は、オリンピックにちなみ、
カナダやアメリカなどのスキー場で使われている、FLaikというGPSの話題。

ウィスラーでは今シーズンからGPSによるトラッキングシステムが
スキーレッスンプログラムに導入されたそうです。その名もFlaik。

まず、足の膝の部分にサポーターのようになっているGPSを巻きます。
そして一日の終わりにサイトにログインして子どもの滑りを振り返ると、
どこを滑ったかが早送りでアニメーションで見ることができるそうです。

位置情報だけでなく、滑走時間、滑走距離、
平均速度、滑走高度まで全て知る事ができるのだそうです

ひろーい、ウィスラーのこと、迷子になる子どもも多いらしく、
すかさず位置を知る事ができるので、安全のためにも役立つとのこと。

ただ位置がわかるだけでなく、子どものスキーの滑走速度!までわかるっておもしろいですね!
詳しくは⇒http://www.flaik.com/

ACE深見

~子どもの安全を科学する~セコムの「子どもの防犯」ブログから

2010-02-13 09:51:13 | 日記
今日も小雪がちらほらしましたね。
寒い時は、チョコレートが無性に食べたくなる私
皆さんは、寒い時、何が食べたく(飲みたく?)なりますか?

ところで、「子どもの安全を科学する」について昨日ちょっと書きましたが、
子どもとはどのような能力をそもそも持っているのか、
子どもの視界とは、子どもの体力とは?そんなことも考えながら
ACEは体験教育プログラムを立てています

そんなACEのコンセプトをみなさんに簡単に分かっていただくために、
今日はセコムのブログをご紹介します

『「不審者を見たら逃げろ」という曖昧な指示も科学的にきちんとしようじゃないか』
ということからはじまった私たちのプログラム。詳しくはこちらをご覧ください。

http://www.cocobouhan.com/blog/c/10003314.html

ACE深見


研究者の倫理

2010-02-11 22:12:00 | 日記
寒い日が続いていますね。
私は今ストーブに張り付いてこの文章を書いているのですが、
寒くてくじけそうになると思い出す、素敵な研究者がいます。

私がイギリスで出会った女性の研究者で、
とてもチャーミングな方です。もうお年は今年で70歳になります。
犯罪社会学、法学が専門で、イギリスの内務省にお勤めでした。

彼女は、いつもおしゃれで常にユーモアを忘れず、
「人間は逆境にあればある程、微笑みを絶やしてはいけない」、
をモットーにしていました。

彼女のご自宅の暖炉にあたりながら、面白い話をうかがうのが、
、私にとって宝物のような時間でした。

そんな、ほとんど他人に怒りを見せたことのない彼女が一度、
とても悲しそうに、怒っていたことがあります。
彼女の師の研究を、彼女の同僚が勝手に
自分の研究として発表した、ということを知った時です。

「(師が)血がにじむような努力で生み出した言葉を使い、簡単に、
さも自分が思いついたように発表するほど彼に力がなかったとは、、。
彼は研究者として浅はかであり、そして彼の行為は泥棒です」
「研究とは、一人の思い付きではできず、様々な人とともにできるもの。
だからと言って、たとえ自分が末端であってもその場所にいたからといって、
それを勝手に使う権利はありません。知を侮辱する行為です」

私は初めて彼女が静かに怒るのを見て、研究者としての倫理を学びました。

研究者とは、謙虚であり、つねに学ぶ姿勢を忘れないこと。
そして簡単に人の成果を盗まないこと。
彼女の言葉をいつも思い出し、いつも毅然としていたいな、と日々思っています。

日本女子大学市民安全学研究センター 楊奈穂



「子どもの安全を科学する」

2010-02-11 21:43:17 | 子どもの安全
研究というのは、一人ではできません
様々な発見は、色々な人々が一つの課題を探求し、かかわってできるものです。
でも、ケースバイケースですが、やはりリーダーの存在というものは重要です

私が今かかわっている研究も、様々な方が加わっており、
それぞれが知恵を出し合い、日々研究しています

そんな中で研究がぶれないでいられるのは、
中心になる人物とコンセプトがあるからです
今私たちの中心にいるのが、日本女子大学の清永賢二教授です。
清永先生は、「犯罪からの安全・安心な日本づくり」を求め、
警察庁の科学警察研究所で犯罪学の研究を40年前にスタートしました。

清永先生は多くの事件現場に赴き、特に子どもの犯罪被害事件、
青少年が犯した凶悪事件の現場に立ち、
「なぜこの事件が起きてしまったのか」
「なぜこの犯罪を防ぐことができなかったのか」
「なぜこの子がこの場所で被害に遭ったのか」
を研究してきました。

これらの研究から、「子どもたちの明日を確かなものにするために」、
曖昧な安全教育ではなく、
「科学的に」
そして「発達段階に沿った」
「安全教育」が必要と考え、
いまそのためにさまざまな
研究を続けているのです

この考えに共感し、一緒に研究を行い、巣立っていった研究者がたくさんいます
ブログなどで、まさに今日のタイトルの「子どもの安全を科学する」をテーマに綴っている方もいらっしゃいます。この言葉は、私たちが研究会で使っていた言葉で、
清永先生から教わった言葉です

たとえば
Q.「変な人」といいますが、具体的にどんな人が「変な人」ですか?
Q.「危ない場所はだめ」といいますが、「具体的にはどんな場所ですか」
Q.「危険な人」から子どもが逃げ出すのは「何メートル手前」から?
(以上『防犯先生の安全マニュアル』東洋経済出版社 清永賢二より抜粋)

いかがですか?子どもに尋ねられたらきちんと答えてあげられるでしょうか

子どもが犠牲になる事件が相次ぐ中、もちろん、子どもの安全を守るための
注意は欠かせません。しかし基本的なポイントを理解しないまま注意しても、
子どもたちはおびえるばかりです。

そこで、清永先生は「子供の安全を科学する。科学的に子どもに具体的におしえなければならない。誰を見ても逃げだす子どもや、どんな場所にも怖くて行けない子どもが育ってしまったら、私たちの社会はどうなるのだろう。」

と考えたのです。

この清永先生のコンセプト「子どもの安全を科学する」
をもとに、いま、私たちは文科省の研究を行っています。

ACE深見

恵那市防犯まちづくり講演会(2)

2010-02-11 21:24:45 | 日記
恵那市には前回ここで述べたように、すばらしい防災センターがあります。
ほとんどが、地元の方々の手作りで創られており、工夫に富んでいます。

センターの中は主に4つのブースに分かれています。
1.阪神大震災の体験をもとに、地震が起きたときの状態を再現している部分と、
2.実際に地震が起きたら、どのように行動したらよいかが学べる部分、
3.DVDを使って防災を学ぶ部分
4.防災グッズを紹介する部分

私が特に「面白い!」と思った部分は、
1.と2.です。
1は、地震が起き、タンスが倒れ、食器棚から食器が飛び出し、人が倒れている状態を細かく再現しています。地震がお起きたら部屋の状態がどのようになってしまうのか、
子どもも大人も非常に想像しやすく展示してあります。
2はトンネル状になっていて、地震の揺れを体験してからガスの火を消し、
倒れた人を助けて、ブレーカーを落として外へ出る、という一連の流れが体験できるようになっています。
音、光なども非常に工夫されていて、臨場感あふれる仕組みになっています。

どれも、お金をかけず、知恵と工夫で展示されているのがまたすばらしく、
しかも、怖いだけでなく、楽しめるような工夫がされています。

恵那市の皆さんの知恵が学べる施設です。

*ここでお知らせです。
大学に、「日本女子大学GP研究会編でだされている『上越市における子どもの危機遭遇体験調査報告書』 日本女子大学GP研究委員会編2009.3 について教えて下さい」とのお問い合わせが多数ございましたが、このような報告書は出しておらず、間違った情報です。ご注意ください。

日本女子大学市民安全学研究センター 楊 奈穂

恵那市防犯まちづくり講演会

2010-02-08 08:00:47 | 子どもの安全
昨日岐阜県の恵那市に参りました。
恵那市は歴史のある古い街で、美しい田園風景も広がる、とても豊かな街です。

東京から名古屋に新幹線ででて、
そこから中央線で恵那市まで約一時間
思ったよりも東京から近く、それでいて、
古い日本にタイムスリップしたような、不思議な気持ちになれる場所です

そんな素敵な場所で、「防犯まちづくり講演会」が開催されることになり、
少しだけ私も「地域で守る子どもの安全~犯罪からの子どもの安全~」
と題し、お話ししてきました

恵那では、街ぐるみで、様々な年齢の方々が、様々な方法で
パトロールや青色灯パトカーによる防犯活動を行っています
たとえば、山岡町の方々は老人会の皆さん、主婦の皆さんが子どもの登下校の時間に
自宅の前に立って子どもを見守ったりしています。働いているお父さん方は、
夜8時くらいから青色灯パトカーで街中を一時間半くらいかけてパトロールしています

このような熱心な活動が認められ、岐阜県で表彰もされました。
一見安全な街でも、いつ何時子どもたちが被害に遭うかわからない、
でも、私たちの町ではそういった犯罪は起こさせない、
そういう熱意を感じました。


明日は、恵那の防災センターについてお話しします。

ACE楊