NPO法人体験型安全教育支援機構 (旧ステップ総合研究所子どもの安全教育グループACE ニュース

犯罪・災害から自分で自分を守る力をつける体験型安全教育プログラム・実践の記録等の情報をお伝えします

イギリスの安全教育(2)

2009-06-26 21:11:57 | 日記
こんにちは、深見です。

前回までは英国の市民教育の哲学を少し紹介しました。

きょうは、市民化教育の目的と、具体的にどのように行われているか、そして安全教育がどのようにその中に組み込まれているかお話しましょう。

イギリスでは、市民化教育の教育目標として、

■「道理に適った主張を書いたり話したりできる能力」をつける
■「他者と協同し、効果的に働く力」を養う
■「他者の視覚や経験を評価し考慮する力」をつける
■「他者の視点に対する寛容の能力」をつける
■「社会的、道徳的、政治的な状態や挑戦に対して、識別し、応答し、影響を与える能力」をつける
(qca 2000)
以上の5項目を掲げています。

具体的に市民教育とは、人権や、男女の役割、政治への参加、人種差別、環境問題などに関して、市民として生きてく上で持っているべき知識と問題解決への意欲促進させる教育です。
そんな中に、安全教育も組み込まれているのです。

市民として生きていくうえで持っているべき知識の中に、安全教育が組み込まれているということは、つまり、市民=大人になるときに、安全教育というものが必要不可欠であるということなのです。

私がイギリスに滞在しているときに、安全教育に関する授業を小学校で拝見したことがあります。
子どもたちは、まず何を習うと思いますか?
子どもたちは、まず。安全教育を学ぶ前に「哲学」の授業を受けるのです。
物を見るとはどういうことか、人とはどういうものなのか、自分とは?といった疑問を少人数で話し合うことから、安全教育を始めるのです。

イギリスでは0歳から市民化教育が必要とされ、少しずつ少しずつ、低年齢からこのように、自分で考える力をつける授業がなされています。

色々な人がいること、そしてそれぞれの違いや考えを認めること、
そして社会に積極的にコミットしていくこと。
人間として、大人として、市民として生きていく基礎を低年齢から学ぶことがイギリスでは重要視されています。

生きていくための哲学を学びながら、安全教育も行われているのです。

次回は、もう少し具体的に市民化教育と安全教育に関して書いていきます。
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イギリスの安全教育(1)

2009-06-12 22:13:31 | 日記
ACEの深見です
ちょっと20メートルのお話から話題は変わりますが、
きょうは、イギリスの市民教育について少し書いてみたいと思います。


イギリスと聞いて、バッキンガム宮殿、ロンドン塔、美しい公園など非常に優雅なイメージが浮かぶかもしれませんが、実は多民族国家で格差社会でもあり、さまざまな子どもの問題がおきています。
私は、日本の教育問題や犯罪防止論などのほかに、イギリスの教育問題、特にいじめや少年非行等に関しての研究もしてまいりました。そんななかで、1999年夏にロンドン大学を訪れ、教育学の教授と話している際に「Citizenship Education(市民教育)」が始まろうとしているというお話を聞きました。

英国では、2000年から本格的に、子どもを社会的に大人にする教育「市民教育」が始まっています。
その背景としては、80年代から90年代にかけてサッチャー政権の教育改革により、より教育格差が生じその結果子どもたちが荒れ、社会への関心が希薄化し非行に走る少年が増えたことがあります。
1999年に政権をとったトニーブレアは教育大改革をおこし、その大きな礎として、「市民教育」の義務化を策定しました。

市民教育の哲学として
「自分に自信を持ち、健康で、独立心のある大人になるように、そして豊かな知識をもち、行動的で、責任感のある大人の市民になるために必要な知識や技術を子どもに持たせるために重要な科目。この科目で得られた能力は、大人になるときに直面するであろう、精神的、道徳的、社会的文化的問題に取り組むときに、助けになる。」 (QCA 2000)(訳:楊奈穂 日本女子大学GP研究シンポジウム ポスターセッション資料 2008年3月)
というものを打ち立て、大きな教育の柱として、国全体で市民教育に取り組み始めました。

次回は、市民教育の内容に関して、少しお話したいと思います。
(写真撮影:楊 奈穂 2007年10月イギリス・サウスケンジントンの登校風景)

走ってみよう! その3

2009-06-08 12:57:49 | 日記
ACEの鈴木です

今まで、20m逃げきることが大切!と書いてきましたが、

「じゃあ、20m逃げきれなかったらもうダメってこと

と不安になってしまったかもしれません。

でも、大丈夫です

20m逃げきれそうになかったら、すぐ近くのお店やお家に駆け込んで助けてもらえばいいんです

必ず助けてくれる人はいる、ということを子ども達に伝えていきましょう

走ってみよう! その2

2009-06-04 22:02:07 | 日記
ACEの鈴木です

前回の「走ってみよう!」の記事の続きです。
走って逃げるとき、手に荷物を持っていたら走りにくいですよね

そんなときは、持っている荷物をその場に捨てる
または相手の向かって(できれば顔に向けて)投げて走り出すと効果があります。

そのカバンを悪用されたら…と思うかもしれませんが、緊急事態では、カバンより命のほうが大切です。
あとでお家の人と拾いに行けばいいのです。

とにかく思いっきり走って逃げましょう。