Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

畳に団扇

2024-07-13 15:13:38 | エトセト等
NHKラジオ文芸選評 7/18 での 東京都 湯口 昌彦さん 89 の一句.

  蝉よ鳴け畳に団扇ある限り

選者 : 井上弘美 によれば,これは三橋敏雄の
  戦争と畳の上の団扇かな
が下敷きになっている.戦争の頃を考えると、畳の上に団扇が転がっている光景はなんと平和であることか と解釈するらしい.1989 蛇笏賞 受賞作だそうだ.
そう言われてぼくが想像するのは,畳の上に団扇が転ってはいるけれど,誰もいない.みんな防空壕だから,という光景.

「蝉よ鳴け...」は 89 歳湯口さんの平和への祈りなんだろう.

でも予備知識を与えられる以前にこの句を聞いて,作者の7歳年下の 16 トンが思ったのは,別な意味での,家で寝転んで蝉が聞けるありがたさだった.去年の夏は入院していた.冷房完備で団扇なんか思い出したことがない.ベッドには蝉なんか聞こえてこない. 

(入院していなくても) 人工的な環境下では,畳もうちわも遠い昔のことだなぁ,聞こえないけど蝉よ勝手に泣いてくれ というセンチメンタルな解釈しかできないのでした.

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ハリー・パーチ「手紙」 | トップ |   
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

エトセト等」カテゴリの最新記事