Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

ピアノ奏法―音楽を表現する喜び

2016-05-25 07:33:43 | 新音律
井上直幸 春秋社 (1998/11).

古書店で綺麗で安かったので購入.著者は物故された元東大教授の弟さんという噂を聞いたことがある.嘘かもしれないが,本当の方が楽しいと思うから確かめないでいる.

ピアノは我流で叩いて音を出しているだけだが,そういう自分のような人が「弾けずに一席ぶつ」ためにも最適.

ジャズピアノでは「どういう音符を出すか」で終わってしまう.でもクラシックでは音符は与えられていて,そこから先にどう進むかが問題だと教えてくれる本.最近の週刊朝日の,ジャズ・クラリネットの北村英治さんが,「100歳まで吹き続けるには基礎から学ぶ必要がある」と,年下のクラリネット奏者村井祐児に弟子入りしたときの回顧談を思い出した.
.....『蝶々(ちょうちょう)』を吹かされました(笑)。アタマの『ソミミ ファレレ』だけですよ。『発音が悪い。音が崩れている』と言われて、次のフレーズの『ドレミファソソソ』までいくのに3カ月以上掛かりました。.....

ピアノは押せば音符の音が出るが,普通の楽器ではそうはいかない.その分ピアノという楽器は音楽から遠くなりがちだと著者はいう.また,ピアノ以外の楽器をイメージしてピアノを弾くことを勧めている.逆に小澤征爾は,「ここにはこういう音が欲しい」というのをピアノで弾いて聞かせることがあって,彼の意図がとてもよくわかったというくだりもある.

目次は「第1章 良い演奏とは? 第2章 練習はどんなふうに? 第3章 表現のためのテクニック 第4章 ペダルの使いかた 第5章 演奏の基本感覚」.春秋社編集部の女性との対談...というより,質問に答えるという体裁をとっている.図も楽譜も豊富で読みやすい.

特に 第3章には,腕で弾くか指で弾くか.タッチの種類と方向などが詳しく説明されている.「重力奏法」には巨漢ブラームスがピアノを弾いている写真.第4章では右のペダルだけでも9種類の奏法が紹介されている.ソステヌート・ペダルあたりは,知らないことばかり.

ピアノという楽器をもっと奏者の意向を反映するように作り変えたらどうなんだろうという気もする.
デジタルピアノなんてダメ,という気分になる反面,意のままになる楽器ならデジタルに可能性がありそうという妄想も湧く...もう誰かが考えているかもしれないけれど.

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