Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「ピアノの物理」という本

2011-06-19 10:39:26 | 科学
友人 Y 氏がつくばからこちらへ出張の際,わざわざ持って来てくださったので,ありがたく借用した.彼は Physics Today の書評でこの本
Nicholas J. Giordano "Physics of the Piano" Oxford University Press (2010/08)
を知ったとのこと.著者は Indiana の Purdue University の物理の先生.

著者が手を下した研究というより,今までの研究の歴史的集大成という印象.
大学の図書館に揃えて貰いたい本.

もちろん私ごときが今までニンシキしていなかった事実も多数.
たとえば,このグラフは,our standard piano (原文のまま) の中央 C の下の A 音 220Hz の高調波の周波数.
理想化された弦の振動なら,第2高調波周波数/2=220,第2高調波周波数/3=220,第4高調波周波数/2=220,... となるはずで,これがグラフの点線だが,実測点は次数があがるにつれて右上がりになる.

聞いてみると水平線より右上がりが良いという結果になるそうだ.著者は,平均律の弱点がカバーされるためかもしれないし,単にわれわれが慣れているためかもしれない,と書いている.

Y 氏はご自宅のピアノで同様な測定をされた.基準となる音が高いほどこのずれ方も大きくなる傾向があるとのこと.またスチール弦のギターにもこの傾向があるが,ずれ方ははるかに小さいとのことである.

アマゾンの LOOK INSIDE! でかなりの部分が立ち読み可能.ご覧のように,スタインウェイにわざわざ 1 章を割いているが,スタインウェイってそんなに偉いの?


コメント (2)
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