Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

アメリカ音楽史

2011-06-03 09:33:41 | 新音律
大和田俊之「アメリカ音楽史―ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで」講談社選書メチエ (2011/04)

裏表紙の惹句*****
ロック、ジャズ、ブルース、ファンク、ヒップホップ…音楽シーンの中心であり続けたそれらのサウンドは、十九世紀以来の、他者を擬装するという欲望のもとに奏でられ、語られてきた。アメリカ近現代における政治・社会・文化のダイナミズムのもとその“歴史”をとらえなおし、白人/黒人という枠組みをも乗り越えようとする、真摯にして挑戦的な論考。*****

「他者を擬装する」というのは,ミンストレル・ショーで白人が顔を黒塗りにして黒人を偽装したのが始まりであり,この本はこの「偽装」をひとつのキーワードにしている.音楽は自己表現ではなく,他人に成り済ましたいという欲望から生まれたというのだ.著者はそれは,憎悪と憧憬が入り交じる繊細な欲望であると主張する.

ミンストレル・ショーに関連して,あの「おおスザンナ」のフォスターも登場.

とてもおもしろい.でも,理科系ニンゲンにとっては読みやすい文章ではない.例えば,章とサブタイトルが

第9章 プラネタリー・トランスヴェスティズム - ソウル/ファンクのフューチャリズム
第10章 音楽の標本化とポストモダニズム - ディスコ、パンク、ヒップホップ
第11章 ヒスパニック・インヴェイジョン - アメリカ音楽のラテン化

という調子.これなら英語で読ませてくれたほうが楽と言いたいくらいだ.

著者は慶應義塾大学法学部准教授で,この本は慶應義塾大学法学部における講義がもとになっているとのこと.

巻末に2 段組で 34 ページにわたりびっしりと参照論文がリストアップされている.
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