最近のロシアでソ連時代の独裁者スターリンが起した犯罪の一つに第二次大戦後に60万人もの旧満州にいた日本人を強制連行して、違法に強制労働させるためシベリアに抑留させた問題をテーマにした演劇が今年の夏に初演されるそうです・・・
この脚本を執筆したのは、シベリア・イルクーツク在住の作家でネリ・マトハノワさんとの事です。日本人の抑留問題を知って、脚本を書いたのですが・・資金難で中々実現しなかったようです・・・
ところがシベリア・クラスノヤルスク州の国立ミヌシンスク劇場がこの台本に強い関心を抱いて同州から上演資金援助を得たことから急に話が進み、今年6月19日から3日間、同劇場で公演が行われることが出来た言うことで、私もいつか可能なら見てみたいと強く希望します・・・
この劇中に貫かれているのは・・「極限状態でも人間の尊厳を保つことの大切さを訴えたい」との思いがこの作品から感じられ、それの感動した多くの人の協力によって・・・実現にこぎ付けられたそうです。この作品には日本人の俳優も出演を予定しているそうで、関係者らは、これが日露の和解と協力の出発点になればと願っているとの事です・・・今回初演されることが決まったのは「シベリアに桜咲くとき」と言う演目との事です。
この事は日本人なら多くの人が知っている事であり、戦後とはいえ、このように強制的にソ連の地に連れて行かれる理由もないのに・・・どんなに多くの日本人がソ連の横暴を恨んだ事でしょう??・・・と言うのは、ソ連は終戦後、シベリア鉄道建設や森林伐採などの重労働の科すために、このような強制労働に日本人を従事させるために・・・このような戦後になったのに強制連行というあってはならない違法を科した国です。
しかもそこは・・・氷点下40度にもなる酷寒の地で重労働を科せられ・・・そのために、飢え、病などに苦しみながら、その約1割に当たる約6万人が帰らぬ人となった事を、日本はもっと後世の日本人のためにも伝えて欲しいと願ってました・・・
しかも、日露とは平和不可侵条約を結んでいたのに・・日本の敗戦が色濃くなる中で突如、一方的の条約を破り、大軍で旧満州に侵入して日本人居住地を襲ったのです・・敗戦国の日本は当時何ら発言権もなく、これらの事も時間の経過の中で埋もれようとしておりました・・・この事は完全な捕虜の保護に関するジュネーブ協定違反だという事すら言う事ができなかった日本側の悲哀を感じます・・・
この作品には、そんな極限に近い過酷な状況の中、帰国の夢を捨てずに励まし合う日本人抑留者たちの姿や、ロシアの女性と恋に落ち悩みながらも居残った若者の決断など、実話に基づいた抑留者たちと現地人たちの物語が描かれているそうです・・・
同劇場のスムイチェンコ代表は「どのような厳しい状況にあっても人間はその尊厳を保ち続けることが必要であると訴える作品には、心を打たれる。それが悲劇であっても上演する意味があると思った。シベリアでの抑留を体験した日本側とともにこの舞台をつくりあげたい」と日本側に協力を要請したそうです。この真摯な態度こそ人間を打つ大きな要素を感じます・・・
そのため・・日本側から舞台俳優8人やシベリア抑留径験者も監修役として参加するとの事です。この事に、日本側で協力している神奈川大学の中本信幸名誉教授(75)は今回の演劇について「ロシア人の手によって書かれたシベリア抑留の物語が、シベリアで初演されることに大きな意味がある。これを契機に、シンポジウムや展示会も開催し、この問題へのロシアの関心や世論を喚起して双方が協力して(補償問題などの)解決に当たることが必要ではないか。日本公演も実現させたい」と話しているそうです・・・私もその点では同感です。
日本では当時の参戦国である米国に対しては相当厳しい論調が目立ちますが・・・このソ連が犯した上記のような問題にはどうした事か??あまり大きな声をあげる人が少ない事を悲しく思ってました。所がロシア側の良識ある方々がこのような形で演劇にして当時の事を発表してくれる事に・・・ロシア人の中にも良識が生きているのだと感じられ・・大変嬉しく思います・・・・
産経新聞記事引用)