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「おまえさん、あんまりおまえさんが
だれかを崇拝したら、
ほんとの自由はえられないんだぜ。
ぼく、よく知ってるがね」
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スナフキンは、こういって、はらをたてて考えました。
─なぜみんなは、ぼくをひとりでぶらつかせといてくれないんだ。
もしぼくが、そんな旅のことを人に話したら、
ぼくはきれぎれにそれをはきだしてしまって、
みんなどこかへいってしまう。
そして、いよいよ旅がほんとうにどうだったかを思い出そうとするきときには
ただ自分のした話のことを思い出すだけじゃないか。
そういうことを、どうしてみんなは、わかってくれないんだ、と。
『ムーミン谷の仲間たち』(講談社文庫)/ヤンソン
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以前、ある女優さんがこんなことを言ってた。
「写真を撮るのが趣味だったんですけど、
写真を撮ることにばかり夢中になっていると、
自分自身がほんとうに“体験する”ってことが
できなくなっている気がして最近は撮ってないんです。・・・」
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