ー『無垢なる証人』(クロックワークス公式)
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の脚本家、ムン・ジウォンさんのデビュー作であり、『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の原型であるとされる本作。
ー「第2の「イカゲーム」? 自閉スペクトラム症の主人公が弁護士に…“ヒット要素なし”と言われた異色ドラマが、大ウケの理由」(文春オンライン)
映画の中で主人公の少女ジウは、「私はたぶん弁護士になれないと思う。自閉症だから」(映画『無垢なる証人』)と話しており、韓国ではこのジウが成長した姿がウ・ヨンウではないかとも囁かれた。『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』は、ドラマの監督が脚本家のムンへ、「ジウの続きを書きませんか」と提案したことが始まりだったそうで、ただ、ムンは記者懇談会(7月26日)で「ウ・ヨンウとジウは別の人物」として、こう語っている。
(上記より一部引用)
文春オンラインからの孫引きとなりますが、韓国国内での記者会見で脚本家のムン・ジウォンさんは『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の監督から「(『無垢なる証人』に登場する自閉症のキャラクター)ジウの続きを書きませんか」と提案したことが『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』が生まれた始まりだと答えているようで、『無垢なる証人』の高校生ジウが『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』のヨンウの原型であることが明言されています。
『無垢なる証人』予告編
長年人権団体の弁護士として活躍したものの、父親が連帯保証人となってしまった借金を弁済するため、大手法律事務所に移籍しバリバリ働くヤン・スノ。スノの有能さを買っていた弁護士事務所の代表は、社会貢献の一環として刑事事件の無料弁護を依頼する。
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の脚本家、ムン・ジウォンさんのデビュー作であり、『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の原型であるとされる本作。
ー「第2の「イカゲーム」? 自閉スペクトラム症の主人公が弁護士に…“ヒット要素なし”と言われた異色ドラマが、大ウケの理由」(文春オンライン)
映画の中で主人公の少女ジウは、「私はたぶん弁護士になれないと思う。自閉症だから」(映画『無垢なる証人』)と話しており、韓国ではこのジウが成長した姿がウ・ヨンウではないかとも囁かれた。『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』は、ドラマの監督が脚本家のムンへ、「ジウの続きを書きませんか」と提案したことが始まりだったそうで、ただ、ムンは記者懇談会(7月26日)で「ウ・ヨンウとジウは別の人物」として、こう語っている。
(上記より一部引用)
文春オンラインからの孫引きとなりますが、韓国国内での記者会見で脚本家のムン・ジウォンさんは『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の監督から「(『無垢なる証人』に登場する自閉症のキャラクター)ジウの続きを書きませんか」と提案したことが『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』が生まれた始まりだと答えているようで、『無垢なる証人』の高校生ジウが『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』のヨンウの原型であることが明言されています。
『無垢なる証人』予告編
長年人権団体の弁護士として活躍したものの、父親が連帯保証人となってしまった借金を弁済するため、大手法律事務所に移籍しバリバリ働くヤン・スノ。スノの有能さを買っていた弁護士事務所の代表は、社会貢献の一環として刑事事件の無料弁護を依頼する。
金持ちの老人が家政婦に殺害されたとされる事件の被告弁護人となったスノは、今回の逮捕が唯一の目撃証言のみによって逮捕されたことを知る。その証言者は15歳の自閉症の女子高生だと知り、自閉症者の証言を法廷で陪審員の前でさせれば証言の信用度が下がると考え、その自閉症の女子高生、イム・ジウに接触していくが…
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』が話題になってきたあたりから、本作のイム・ジウの「私は自閉症だから弁護士に成れない」と言うセリフが引用され、うっすらと本作のジウがヨンウのモデルだと認識してはいましたが、ジウに限らず『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の要素の原型と思われる描写が至る所に散らばっており、ニヤニヤしながら面白く視聴しました。
まず、主人公ヤン・スノの設定が『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』を第12話まで観ていると非常に興味深い設定だと感じました。『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』のヨンウは大手弁護士事務所のハンバダで倫理的に問題があるような案件も担当し、その度に葛藤を抱いていました。第5話「ドタバタVS腹黒策士」のATMメーカーの実用新案にまつわる裁判や第12話「ヨウスコウカワイルカ」での女性差別的な解雇を行った生命保険会社の裁判がそれです。特に第12話では企業側やそれを主導したハンバダへの複雑な思いを抱えており、更には原告側の弁護士から事務所移籍を誘われるようなシーンまで。
本作のヤン・スノのウ・ヨンウと真逆の設定は『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の第13話以降の物語を暗示しているように感じます。
真実に気付いたスノが弁護人の利益と反するような尋問を証人であるジウにすると、事務所の代表が弁護士の義務に反するような行動を取るスノを責めます。するとスノは「弁護士も人間です」と応じます。このセリフ、つい先日聴いたぞ?となりました。
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』が話題になってきたあたりから、本作のイム・ジウの「私は自閉症だから弁護士に成れない」と言うセリフが引用され、うっすらと本作のジウがヨンウのモデルだと認識してはいましたが、ジウに限らず『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の要素の原型と思われる描写が至る所に散らばっており、ニヤニヤしながら面白く視聴しました。
まず、主人公ヤン・スノの設定が『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』を第12話まで観ていると非常に興味深い設定だと感じました。『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』のヨンウは大手弁護士事務所のハンバダで倫理的に問題があるような案件も担当し、その度に葛藤を抱いていました。第5話「ドタバタVS腹黒策士」のATMメーカーの実用新案にまつわる裁判や第12話「ヨウスコウカワイルカ」での女性差別的な解雇を行った生命保険会社の裁判がそれです。特に第12話では企業側やそれを主導したハンバダへの複雑な思いを抱えており、更には原告側の弁護士から事務所移籍を誘われるようなシーンまで。
本作のヤン・スノのウ・ヨンウと真逆の設定は『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の第13話以降の物語を暗示しているように感じます。
真実に気付いたスノが弁護人の利益と反するような尋問を証人であるジウにすると、事務所の代表が弁護士の義務に反するような行動を取るスノを責めます。するとスノは「弁護士も人間です」と応じます。このセリフ、つい先日聴いたぞ?となりました。
そう『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』第12話でリュ弁護士がヨンウを呼び止め話しかけます。「依頼人の権利を守り、損失を防ぐことが仕事です」とあくまで弁護士の義務を語るヨンウに対して、「でも弁護士は人間でしょ。判事や検事とは違います。判事と検事の”事”は”仕事”だけど弁護士の”士”は人でしょ。(中略)私たちは人として…1人の人間として依頼人の隣に座るんです。”あなたは間違っていない応援している”そう言って手を握るのも大切なことなんです。そのためには誰の見方につくべきかちゃんと判断しないと。自分にウソはつけないでしょ。」とリュ弁護士はヨンウに語り掛けます。スピリットが同じです。
二審の前日、スノの誕生日を祝うスノの父親からのスノへの手紙は便箋が『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』第5話「ドタバタVS腹黒策士」で被告側ATMメーカーの社長がヨンウに宛てた手紙と同じ便箋だったり、利益よりも弁護士倫理を優先すべきと背中を押す内容が共通していて、ここでも『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』のオリジンを感じられました。そしてこのシーンがめちゃくちゃ良い…スノの父親がめちゃくちゃ良い味で。
証言者となるイム・ジウは自閉スペクトラム症であり、高い知能を持った少女として描かれます。またお母さん特製の表情を解説した表が自室に貼ってあったり、弁護士に成るのが夢だったりとヨンウのオリジンであることを感じさせます。
証言者となるイム・ジウは自閉スペクトラム症であり、高い知能を持った少女として描かれます。またお母さん特製の表情を解説した表が自室に貼ってあったり、弁護士に成るのが夢だったりとヨンウのオリジンであることを感じさせます。
また、閉症特融のふるまいの為、学校では陰湿ないじめにあいつつも、唯一の友人であるシネがジウを守っています。この関係性も『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』のヨンウと唯一の友人であるトン・グラミの関係を思い起こさせますが、本作では実はジウへのいじめをかばった為に逆にいじめのターゲットになったシネが裏でジウをいじめていると言う辛いシーンが描かれます。ジウとシネがこう言う辛い関係性だったからこそ、シネと異なりグラミは”サイコ”とあだ名される奇人で孤高の存在であり、どんな状況にあってもヨンウの友達であり続けた設定になったのではないかと思わざるを得ません。ありがとう、グラミ…
ヤン・スノの大学時代からの友人で人権派弁護士であるスイン。友人以上恋人未満的な関係性で描かれますが、大学時代の友人で弁護士と言う関係性が、ヨンウの父グァンホとヨンウの実の母テ・スミや大学時代の後輩でハンバダの代表であるハン・ソニョンとの関係を思い起こさせると感じるのは深読みのし過ぎかもしれないですが、そう感じてしまいます。
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の原型としても興味深く、1作の映画として、ミステリとして非常に面白い映画でした。気になったのは原題と日本語タイトル。韓国での公開タイトルは『証人』だったそうです。翻って日本での公開タイトルは『無垢なる証人』です。証人であるジウが自閉症だからこんなタイトルなんでしょうが、韓国のタイトルと比べると、日本人が自閉症≒無垢と考えていると配給会社は考えているのかと思えて、日本と韓国では映画会社・配給会社と観客との間に信頼関係が異なるんだなぁ、日本の映画会社・配給会社は日本の観客を馬鹿だと思っているし、日本の観客も馬鹿なのかもと更に悲しくなりました…
ヤン・スノの大学時代からの友人で人権派弁護士であるスイン。友人以上恋人未満的な関係性で描かれますが、大学時代の友人で弁護士と言う関係性が、ヨンウの父グァンホとヨンウの実の母テ・スミや大学時代の後輩でハンバダの代表であるハン・ソニョンとの関係を思い起こさせると感じるのは深読みのし過ぎかもしれないですが、そう感じてしまいます。
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の原型としても興味深く、1作の映画として、ミステリとして非常に面白い映画でした。気になったのは原題と日本語タイトル。韓国での公開タイトルは『証人』だったそうです。翻って日本での公開タイトルは『無垢なる証人』です。証人であるジウが自閉症だからこんなタイトルなんでしょうが、韓国のタイトルと比べると、日本人が自閉症≒無垢と考えていると配給会社は考えているのかと思えて、日本と韓国では映画会社・配給会社と観客との間に信頼関係が異なるんだなぁ、日本の映画会社・配給会社は日本の観客を馬鹿だと思っているし、日本の観客も馬鹿なのかもと更に悲しくなりました…