NOTEBOOK

なにも ほしがならなぁい なにも きたいしなぁい

舐めてた韓国ドラマが激高クオリティ且つ激高な志を持つドラマだった、ウ・ヨンウ弁護士は天才肌

2022-07-17 | 備忘録
-『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』(Netflix

作詞家の松本隆さんが以下のようツイートをされていて、私はこのドラマに気づきました。




ここで松本隆さんが述べている「ウヨンウ弁護士は天才肌」が一体どんな国のどんなドラマなのか分からず、ただただ面白いクジラのイメージを用いたドラマなのだろう、観てみたいと思って検索したところ、この松本隆さんのツイートの2日前の2022年6月29日に日本ではNetflixで配信された韓国ドラマだと分かりました。

韓国映画は観るものの、韓国ドラマについては門外漢の私は、若干躊躇したものの、まぁファンシーなドラマなんだろうと言った認識で『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』を観始めたのですが…

主人公のウ・ヨンウは自閉スペクトラム症という自閉症を抱えているものの、幼少時からの法律への興味と驚異的な記憶力でソウル大学のロースクールを首席で卒業し、弁護士試験はほぼ満点で合格したものの、ロースクール卒業後半年が過ぎても法律事務所に就職できないでいるという設定。
どうにか就職できた法律事務所でも所内での差別、クライアントからの差別に対峙することになるというなんかよくあるお涙頂戴系の感動系ドラマかよっ!と舐め腐っていたのですが…

実際観始めると、そもそも主人公のウ・ヨンウが可愛い…ウ・ヨンウの親友のトン・グラミが可愛い…ウ・ヨンウに親切にしてくれる弁護士事務所のモテ男のイ・ジュノがウ・ヨンウに振り回されていて可愛い…ウ・ヨンウのロースクール時代の同期で事務所の同期でもあるで優しいチェ・スヨンが可愛い…ウ・ヨンウに当初偏見を持っていたの上司のチョン・ミョンソクも優しく可愛い…同じく同期の腹黒策士ことクォン・ミヌはむかつくけど可愛い…

Kang Tae-oh waltzes his way into Park Eun-bin’s life | Extraordinary Attorney Woo Ep 1 【日本語字幕 CC】


Park Eun-bin pulls out her penguin rap skills | Extraordinary Attorney Woo Ep 3 【日本語字幕 CC】


Park Eun-bin’s friends help with her courtroom skills | Extraordinary Attorney Woo Ep 1 【日本語字幕 CC】


Park Eun-bin gives Ha Yoon-kyeong a special nickname | Extraordinary Attorney Woo Ep 5 【日本語字幕 CC】


ただ、このドラマの真骨頂は可愛いだけではなく、法廷ドラマとしてちゃんと面白い事と自閉症者差別や偏見、家父長制の弊害が脱北者差別、弁護士の職業倫理にまでスポットを当てて、且つ必ずしも主人公たちが正しい選択をすることができなかったり、挫折したりする様子まで描いている点です。

例えば、第3話「ペンスでいきます」では、自閉症の弟が健常者で医大生だった兄を殺害したとされる事件の弁護を引き受けます。上記のラップシーンなど可愛いシーンが盛りだくさんですが、事件の大本は自閉症者への偏見や差別が蔓延している状況が描かれ、さらに射程はナチスによる自閉症者を含む”社会に必要のない人”に安死術を施した件にまで触れます。

自閉症の弟が医大生の兄を発作的に殴り殺したとされる事件の為、ウ・ヨンウは上司のチョン弁護士からウ・ヨンウが自閉症だから被告である自閉症の弟の気持ちが分かるだろうとアサインされます。これ自体も自閉症の方に対する偏見です。理解があるはずのチョン弁護士も偏見があることが描かれます。

また、弁護の中で自閉症による精神衰弱を減刑要因として展開していくと、検事から自閉症であるウ・ヨンウが攻撃にさらされます。

更にその攻撃を目の当たりにした被告の父親からウ・ヨンウを弁護側から外せと言われてしまう始末で終始苦い展開が続きます。でもそこに前述の可愛いシーン、コメディシーンが盛り込まれることでエンタメとして成立しています。

まぁ、ジェットコースターみたいな1話完結の法廷ドラマです。加えて言うと、このドラマ、説明が絶妙です。特に1話で顕著ですが、ほぼほぼ説明をしません。親友のグラミもなんの説明もなく登場し、ヨンウと話をしてドラマに入ってきます。説明台詞が無くても、キャラクターの魅力に引っ張り込まれてみていれば自然と関係性や過去が理解できる構造になっています。

もっと言うと、セリフを用いない映像だけの演出もさらっとやっているのが凄いと感心させられました。ほかのドラマと比べると、視聴者の理解力を信頼している気がします。

更にジェットコースターみたいな1話完結の法廷ドラマに、別軸としてウ・ヨンウの出生の秘密がクリフハンガーとして設定されています。

ウ・ヨンウの父グァンホがソウル大学時代に何かがあったようですが、母親が誰かは濁されています。第6話までのところ、ライバル弁護士事務所の所長で、法務大臣?候補のテ・スミ弁護士がウ・ヨンウの母親ではないかと匂わされていますがまだ未確定です。また、テ・スミには息子がいることが言及さえていますが、その息子がイ・ジュノなのか?と一部でざわついているようです。頼むからそれはやめてくれ…

キャラクターが良いし、演出も良い、扱う事件も興味深く、もう完全にはまってしまった…個人的には『名探偵モンク』に近いものを感じています。あれは主人公のモンクは強迫神経症であり自閉症ではなかったものの、高い知能と本人の強いこだわりとコミュニケーションが苦手な所、相手の感情を読み取りにくい点などは似ていると思いました。

法廷ドラマとして、めちゃくちゃ面白いですが、それ以上にこのドラマのキャラクターたちが大好きになってしまった…来週が待ち遠しい…