NOTEBOOK

なにも ほしがならなぁい なにも きたいしなぁい

太った俳優

2009-10-16 | 休み
「空中ブランコ」(フジテレビ)

テレビドラマになって、映画になって、舞台にまでなった伊良部一郎サーガがついにアニメ化、しかもノイタミナでアニメ化です。伊良部一郎シリーズは何故だか原作通りに映像化されないことでも有名で、原作では白くてかなり太っていたのがテレビ版は阿部寛さん、映画版は松尾スズキさん、舞台版が宮迫さんと原作とは異なる配役でした。今回ももちろんの如く、熊の着ぐるみ、子供、女性?が入れ替わるヘンテコ仕様。

原作が好きな人間からすると、何故こうも外した配役ばかりされるのだろうかと疑問やら何やら。特に今回のアニメ版はかなりケレンが効いているというか、ケレンしかない感じに。それだけアレンジがいのある題材ということなのかも知れませんが、原作を読んでいると、白デブでキモい。中身は悪い意味で子供という奇人変人でした。奇人変人だけど、白デブで中身は子供という人物類型が普通の奇人変人には無い魅力を与えてたような。

精神科という日本人は躊躇してしまう場所に待っているのが、すごく太っていて白くておまけにキモい中年。そしてあけすけでぶっきらぼうな子供のようなしゃべり方で気を使うことなくずけずけ入ってくるという奇人変人というギャップこそが、そして丸々と白く太った中年と子供のような内面というギャップこそが、伊良部一郎シリーズの面白さの根幹と考えているので、ドラマも映画も合いませんでした。そしてアニメも。

―「空中ブランコ PV」(Youtube)

アニメは本当にケレン味溢れるというかケレンしかなく、背景や小道具などは蛍光色をベースにどぎつい配色。キャラクターもアニメだけではなく実写を組み合わせた中尾浩之さんみたいな演出やペラペラの紙みたいなモブキャラなどなど。伊良部のキャラクターも熊と子供と女性という全く異なる造詣をシーンごとに使い分けたり見た目には面白いですが、物語としてみると原作の良さは皆無ですし面白くない。電気グルーヴのPVとして観るのが良いのかも知れません。


それにしても太ったキャラクターというのは映像化される際に、普通の人にされる傾向があるのかもしれません。『チームバチスタの栄光』シリーズも原作では白デブで気持ち悪い容姿という設定だった厚労省の官僚、白鳥圭輔(スーツがアルマーニという点でも共通)も映画版はこれまた阿部寛さんでテレビドラマ版は中村トオルさんがそれぞれ格好良く演じていましたし。個人的には昔の岡田斗司夫さんがどちらも一番ピシッとくるのですが、俳優じゃないですしそもそも今はやせているということで、主役級の良い感じの太った俳優さんが居ないなぁ。