NOTEBOOK

なにも ほしがならなぁい なにも きたいしなぁい

02007年012月012日(水)

2007-12-12 | 休み
バイト先の人々は、まぁコレでもかと言うほどに
マンガを読んでいるのだけれど、僕と言えば
ジャンプマガジンの類は一切読むことが出来なくて
アンテナも巡らせてないので、浦沢くらいしか読めず。

と色々残念に思っていたら、先日偶然にオノナツメさんの
存在を知り、『not simple』と『ラ・クインタ・カーメラ』を
ジャケ買いする。ついでに青野春秋の『俺はまだ本気出してないだけ』
とそんで持って『キミキス』を…買ってみる。



…読了。オノナツメさんの『not simple』の重いこと重いこと。
作品内容が絵柄に反して(則して?)内容が重くて暗い。
ありきたりなストーリーテリングではないので面白いけれど。
けれども、やっぱり、どうしようもなく疲れる。疲弊。

その要因は物語自体の重さ、暗さ(ある意味幸福かもしれないけど)
以上にどうも書き方に大きな要因があると思う。全編を通して
”寄り”の多いこと、多いこと。”引き”のコマでもコマ自体が
あまり大きくないから、”引き”でもどうもこ狭しい。

やっぱり”寄り”のコマは登場人物の内面に引き込ませるので
”寄り”が続くと言うことは、ずうっと登場人物の内面に迫らせる
ので、緊張感と言うか切迫感のようなものが続かざるを得ない。
要するにコマが、ひいてはマンガ全体が濃密、過ぎる。

多分これは著者の意図したところだとは思うのだけれど
その後に描かれた『クインタ~』を読んでみると『not simple』に
比べればコマ全体に余裕があり、切迫感のような気詰まりな印象は
少ないが、それでもやはり”寄り”が多い。だから読後感が重い。

癖と言うか、どうと言うかこの人の描きたいという意欲の矛先が
全体としての物語ではなく、無意識のうちに登場人物に向いているから
なのかなぁって思えてきた。『not simple』ならイアンとか皆。
『クインタ~』ならルームシェアをする5人の方に強く意識が注がれてる。


面白いなぁ、マンガって。オノナツメさんの作品群もそうだけれど
青野春秋さんの『俺はまだ~』も駄目人間、それも誰もが少しは
ありそうな駄目さを肥大させてるところが良い。落ちも面白い。
(ネットで散見される「私小説的」と言う感想には疑問がある。
書き下ろしを読む限りどう見ても確信犯だろう、この著者は。)

『キミキス』は同名ゲームのコミカライズだけれども、ゲームを
プレイしていない僕でも十分楽しめた。と言うか身悶えした。
こういうのを読むと、レディコミまがいのうんこみたいな低レベルな
エロスしか無い「別フレ」みたいなものより男マンガのエロスの方が
エロくて、ロマンチック(ご都合主義とも言う)で良いなぁ。