音楽は聴こえず行進もない
けれども音の満ちた夜に
喉のつぶれた人魚の歌声はこだまする
さやさやと
衣ずれと木々の重なる音は調和して
誰も知らないパレードは続く
音のない夜に
窓をあけると影だけが寝床に忍びこみ
あなたの寝顔を眺めて歌う
音もたてずに
さやさやと
せめて夢のなかで会えますように
起きたら消えゆく泡沫(うたかた)に
思いのすべてを託して歌う
青雲に夜の名残はなく
光に満ちた真昼の空に深海の歌は届かない
それでも耳すますあなたは瞳を閉じた
音の調べのみちしるべ
ただあとを追いかけた 音をかき鳴らしてあなたの元へ
パレードは続く
いつか音のある、彩りに満ちた世界まで
光を越えて あなたの元まで
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