よみびとしらず。

あいどんのう。

とりたまご

2019-03-03 11:11:22 | 散文
ヒナのこどもは
においおいかけて
生まれおちたかたちに感謝する

とりの羽に似た
飛べないつばさは暗闇に閉ざされカラとなり
とりはふたたび卵のなかへ

からだまるめて岩清水
岩のなく音は誰にも聞こえず
湧水はさやさやとなめらかな肌をただつたう

とりの卵はひとのなか
守り守られ卵は卵
またかえれなかった悲しみも
時のなか巡りてきっとふたたび出会うまで

白いつばさはひとのなか
カラ開くときを待ちわびて
光はあらわれ
さくら色香る季節に君を待つ

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