つめたい空気に
あなたは触れた
あなたの触れたわたしの頬に
淡色の雪は水と炎に溶けて透明の
瞳をおおった涙に似ている
涙あらざる海の色
波音の白さに寒さを増して
なおもて氷らぬあなたの意思と
深い深いかなしみを底に沈めた
それに希望と名付けた明日は
海の端(は)に触れてまた日は昇る
届かぬ光に感謝を述べた
暗闇は静かに朝を迎えて
泡沫(うたかた)は儚き思いを乗せ水面を目指した
あなたに触れたその瞬間に
歳月はさらさらと水に流れた
ぱちんとはじけた遠い海の記憶に
あなたと出会った
つめたい冬の日にわたしはひとり海を見る
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