よみびとしらず。

あいどんのう。

みずうみ

2022-01-11 15:49:02 | 散文
たくさんの言葉を飲みこんで
吐き出した濁流は海に焦がれた
舟を漕ぎ島を離れてそれからも
水に溺れて呼吸を手放したこの身の姿は
海と相容れないまま大人になった

終わりは何度でもわたしを呼んで
掴みきれない言葉に浮かぶ
救難信号を発する口は
塞がれたかたちで糸を吐く
黒い瞳を見開きて
煙る視界はそれでもあなたの手のひらを知り
その手は逆手に水を求めてつながれた

きっといつもそばにあった潮の香りに
透明な水は染まらずにいる
水の匂いに寄せられて
わたしはいまも冷たいみずうみの淵(ふち)に、立つ

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