男は星を取りに行って猪に当たりけり
種を蒔く女は傷だらけの男を介抱した
夜には姿を見せない女の
素性も名も知らず男は女に惚れこんで
自身の思いに酔いしれた男は声高らかに女へ言い放つ
「あなたは星よりも素晴らしい!」
男の声に女は絶句した
決して耳にしてはならないその言葉から
種を蒔く女の身体は発芽して
深い深い緑の幹は女を硬く閉じ込めた
女から伸びた緑は天まで届き
驚いた男は必死に駆け昇る
その先にあるのはキラキラと輝く天の川
星の瞬きに男は自身の役割を思い出し
男はいくつもの星を手に入れた
そして時折り首を傾げて
男は思い煩(わずら)う
いつかその昔に出会ったはずの
星よりも美しいものの正体を
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