よみびとしらず。

あいどんのう。

めなしどち

2019-02-28 23:09:01 | 散文
かこにもんどりうった亀の背はさかさま
飛ぶように泳いだ海に別れを告げて
さかさまな視界はさかさまなまま
ときの海を渡りつちに棲む

あやふやな眼差しがとらえたものは
赤色とあお色の格子して
ふた色の明かりがともされようとも
わたしはここから離れない

雨のなかで照らされた
あの鏡はわたしをうつすことなく
水はしずんだ
猫はあまやどりして君を待つ

そらにのぼったお月さま
全てをみすえた
見向きもせずに
知らん顔きめこむ祈りをこめて

亀のいる大地にわたしは立つ
雨はやみそらすみわたりて月のぼる
猫はなおも動かずあまやどり
さかさまなそらは何をみたのか
海のない場所に潮騒はこだまし
夜は目を閉じた世界に呼応する

「オニさんこちら 手の鳴るほうへ」

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