よみびとしらず。

あいどんのう。

小雨

2022-11-01 17:30:09 | 散文
水溜まりに 
水紋すらうつらないような
淡い雨が降る
ちりちりと
わたしの足先は少し震えて
ちりちりと鳴る
そのわずかなわずかななき音は
通りすがりの車の音に消されていった
耳には届かぬ祈りのような
冷たい雫はあなたに触れて
その痛みの熱は解かれていく
柔らかなる雲の流れは
遠い海とはかたちを変えて
思いは絶えず伝わらないまま
誰かの深い悲しみにも似た
優しい小さな雨は、降る

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