郷土教育全国協議会(郷土全協)

“土着の思想と行動を!”をキャッチフレーズにした「郷土教育」の今を伝えます。

土方与志と梅子 (小石川・子ども風土記ー2)

2017年12月26日 | 機関誌


 明治31(1898)年、小石川林町(今の千石3丁目)の土方邸で、一人の男の子が誕生しました。名は久敬(後の与志)、父はドイツ帰りの将校・土方久明、そして祖父は維新の元勲・土方久元でした。
 この男の子は、長ずるにおよんで一人の女性と出会いました。日銀総裁・三島弥太郎の娘・梅子です。
 二人は若くして共同生活を始めると同時に、ひとつの行動を起こしました。それは、日本に新しい演劇を創り上げることでした。

 自宅の西洋館に舞台を作り、若き研究者たちと演劇研究会を持ち、さらに小山内薫らとともに「築地小劇場」を設立・運営へと発展させました・・・。

 二人はこの行動に全てをかけることになりました。さしもの広大な土方邸の西洋館・日本館、そして敷地までも手放し、さらには貴族としての称号・爵位も剥奪されてしまいます・・・。

 しかし、二人の跡には「日本の民衆演劇」の輝かしい遺産とともに、メーテルリンクの「青い鳥」という子どものための演劇文化が残されていました・・・。


◇参考文献
 ・なすの夜ばなし  土方与志著 河童書房
 ・土方梅子自伝   土方梅子著 早川書房
 ・築地小劇場五〇年展目録 渋谷西武百貨店

◇挿絵 
 ・青い鳥(画とお話の本6)
楠山正雄著・岡本帰一絵
     冨山房・大正一五年


(月刊「郷土教育702号」より)

          

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