生命哲学/生物哲学/生活哲学ブログ

《生命/生物、生活》を、システム的かつ体系的に、分析し総合し統合する。射程域:哲学、美術音楽詩、政治経済社会、秘教

多数決的で権力的な『科学』

2010年05月04日 21時56分07秒 | 生命生物生活哲学
2010年5月4日-4
多数決的で権力的な『科学』

 要請:科学的真理や科学的推論の妥当性を、多数決や権力で決めてはならない。

  「地球温暖化に関する懐疑論は、海外ではほとんど問題になっていないんです。ダボス会議などの国際会議の場でも、もはや温暖化の事実を前提に「どう対応していこうか」という話し合いしかされていませんよ。日本では懐疑論の本が非常に売れていて、テレビなどでも話題に上っていますが、不思議で仕方ありません。」(小宮山宏・三菱総研理事長(前東大総長)/http://eco.nikkei.co.jp/interview/article.aspx?id=MMECi1000006042009)。

 この言い方は、多数決的および権力的である。気候ネットワーク(編)『新版 よくわかる地球温暖化問題』は、残念なことにIPCCに丸投げである。

 原則を確認すべきである。
 ・現実世界の予測は多数決では決まらない。[法則性を捉えている場合にのみ科学的根拠がある。人間主観では決めないのが規則であり、理論や仮設を経験と照合する(テストして、確証または反確証する)ことが、客観性をもたらすための要請である]
 ・科学的予測の結論を多数決で決めてはいけない。[科学的営為の要請]

  「確かに、「5%の懐疑論」があることは事実です。IPCCも温暖化の人為的影響について「Very Likely」という表現を使っているわけで、温暖化を100%確証されたとしているわけじゃない。でも、人間活動による温暖化を認めているのが95%と大勢を占めているということは、早く認めないといけないと思います。」(小宮山宏・三菱総研理事長(前東大総長)/http://eco.nikkei.co.jp/interview/article.aspx?id=MMECi1000006042009)。
 
  「たいへんありそうである Very Likely」という表現で何を実際に意味しているのか、また90%を越える(very likely - more than 90%)とはどのようにして計算されたのか? 温暖化していても、未来は寒冷化するかもしれないではないか。どうなるかは、予測モデルに依存する。そしてそのモデルは、未来予測しての確証はされていないと思う。

  「懐疑論者は「温度の補正が不十分」とか「温暖化の原因は水蒸気」とか「太陽の活動が活発になれば温暖化する」などと指摘しています。しかしそういったことを科学者たちが考えていないはずがないじゃないですか。全部わかった上での話をしているわけです。」(小宮山宏・三菱総研理事長(前東大総長)/http://eco.nikkei.co.jp/interview/article.aspx?id=MMECi1000006042009)。

 この発言も、権威主義であり、反科学的anti-scientificな態度が伺える。また、政策的結論への過程で誇張、誤記または偽装されたりしたことはすでに、ヒマラヤ氷河ゲート事件によって、明らかになった。

  「私が代表を務めるIR3Sという、大学研究機関をネットワークした組織で、懐疑論に反論する本を5月(予定)に出版します。東北大の明日香壽川教授、住明正教授が中心となって、きちんと反論しています。」(小宮山宏・三菱総研理事長(前東大総長)/http://eco.nikkei.co.jp/interview/article.aspx?id=MMECi1000006042009)。

 その本はおそらく、住明正氏は著者になっていないが、IR3S/TIGS叢書である、明日香壽川ほかの『地球温暖化懐疑論批判』であろう。その議論 31で、「人類社会にとって寒冷化の方が問題である」に対する反論文で、
  「温暖化によるコストとベネフィットは、受益者と被害者がそれぞれ誰なのかという公平性の観点などから十分に検討されるべきである。」

とある。これは反論したつもりではないと思うが、答えにはなっていない(予防原則に逃げ込むのも不可)。しかし、そうならば、北方の住民は温暖化のメリットが大きいので(カナダはさっさと京都議定書から降りた)、温暖化を歓迎すると言いたい。もし本当に温暖化するから、かつそれは不都合だと主張し、ほっとかないで防止に向けて対策するのなら、温暖化防止による逸失利益を支払ってもらいたい。暖房費削減分や生活利便になる分とか。一人当たり年当たり5万円くらいは支払ってもらいたい。

 大きく電気を使うスーパーコンピュータを動かすまでもなく、石油消費文明から脱却すべきことは合意できるならば、石油消費を減らし、危険な核分裂起こしを止めれば良い。
 結果として、『科学的』結論は、排出権取引の商売機会と原発推進に利用されてしまった。

白(っぽ)い壁に白を重ねて

2010年05月04日 21時01分08秒 | 美術/絵画
2010年5月4日-3
白(っぽ)い壁に白を重ねて

 海岸通ギャラリー CASOに急遽行くことにした。全室で展示があった。
 少し興味を持ったのは、<中尾暢明 "wall - white">。7枚のステンレススチールの板の上に40から50層に白の油絵具を装置を作って塗り重ねたもの。1枚が50kgを越えるという。
 しかし、特に効果があるわけではないだろう。横を見れば、何層にもなっているのがわかるが、正面の表面は白く、つるつるの面やあちこち浅く丸く凹んだ面になっていたりする。それはしばし見れば飽きる。(少し嫌なにおいもした。)ごくろうさまですが、対費用効果がきわめて悪いし、作品としてたいして面白くない。むしろ、画像でみると、前の作品の色彩のあるほうが面白そう。
  「私が取り組んでいる絵画における「存在」と「空間」をテーマに探求したものです。私にとって、画家の絵画への取組みは、表層として見えているものとその内側にあるものの両方を感じるところから始まっています。」
とか、
  「空間と緊密に響きあい、張り詰め、清浄されたものを作ることであり、もしそこに「存在」と「空間」の気配が感じられれば、」(http://www.cwo.zaq.ne.jp/caso/top/top1.html)

とあるが、わたしには感じられなかった。たとえば、背後の壁面に布を全面に張ったらどうだろうか。
 また、表面しか見えないのだから(透明性は感じられなかった)、内側は軽くすればよいだろうに。むろん、結果として効果が際立つならば、苦労することは意味がある。

 2階の休憩室は、A室の2階部分とは開放されていて、けっこういやな(おそらく画材に起因する)匂いが漂っている(前回来たときは問題なかった)。そそくさと昼飯して撤退した。

Zero Library 2j

2010年05月04日 11時07分31秒 | 生命生物生活哲学
2010年5月4日-2
Zero Library 2j

[A]
アトキンス,ピーター.2003.(斉藤 隆央訳 2004.12).ガリレオの指:現代科学を動かす10大理論.早川書房.[Atkins, Peter. 4152086122]


[B]
バロウ,ジョン.1994.(松田卓也訳 1996.2).宇宙が始まるとき.草思社.[Barrow, John D. 4794206844]


[C]
カルヴィン,ウィリアム・H. 1996.(澤口俊之訳 1997).知性はいつ生まれたか.草思社.[Calvin, William H. 4794207883]


[D]
デイヴィス,ポール.1994.(出口修至訳 1995.11).宇宙 最後の3分間.草思社.[Davies, Paul. 4794206712]

デネット,ダニエル・C. (山口泰司訳 1998.1).解明される意識.青土社.[Dennett, Daniel C. 4791755960]


[H]
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ヘイズ,ハロルド・T.P. (秋葉忠利・三浦賢一訳 1985.2).時間の三層:ビッグバンから生態学的危機まで.蒼樹書房.[Hayes.1040-01038-4256]


[I]
市川伸一(編).1996.2.認知心理学〈4〉思考.東京大学出版会.[Ichikawa.4130151045]

池谷仙之・山口寿之.1993.8.進化古生物学入門:甲殻類の進化を追う.東京大学出版会.[Ikeya, N.4130631438]

乾敏郎(編).1995.11.認知心理学〈1〉知覚と運動.東京大学出版会.[Inui.4130151010]

[K]
北川修.1991.1.集団の進化:種形成のメカニズム.東京大学出版会.[Kitagawa.4130631365]

クーン,トーマス・S.1977.(安孫子誠也・佐野正博訳 1987.9).本質的緊張:科学における伝統と革新〈1〉.[Kuhn, Thomas S. 4622016915]

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クーン,トーマス.1962+.(中山茂訳 1971.3).科学革命の構造.みすず書房.[Kuhn, Thomas S. 4622016672]


[L]
ラロンド,ブリス ほか.(辻 由美訳 1982.3).エコロジストの実験と夢.みすず書房.[Lalonde et al. 4622005972]

リーキー,リチャード.1994.(馬場悠男訳 1996.2).ヒトはいつから人間になったか.草思社.[Leakey, Richard. 4794206836]


[M]
マッカーサー,ロバート H.(巌俊一・大崎直太監訳 1982.11).地理生態学:種の分布にみられるパターン.蒼樹書房.[MacArthur, Robert H. 4789120333]


[O]
大津由紀雄(編).1995.12.認知心理学〈3〉言語.東京大学出版会.[Ootsu.4130151037]


[S]
シュナイダー,スティーヴン・H. 1997.(田中正之訳 1998.4).地球温暖化で何が起こるか.[Schneider, Stephen H. 4794208103]

重定南奈子.1992.10.侵入と伝播の数理生態学.東京大学出版会.[Shigesada.413063142X]

高野陽太郎(編).1995.10.認知心理学〈2〉記憶.東京大学出版会.[Takano.4130151029]


[V]
フォン・ベルタランフィ,ルートヴィヒ.(長野敬・太田邦昌訳 1973.1).一般システム理論:その基礎・発展・応用.[von Bertalanffy, Ludwig. 4622025221]


[Z]
ザイマン,ジョン.(村上陽一郎・川崎勝・三宅苞訳 1995.12).縛られたプロメテウス:動的定常状態における科学.シュプリンガー・フェアラーク東京.[Ziman, John .4431706895]