学問修行2018年1月23日(月)-1:島崎邦彦さんからの忠言
さつきのブログ「科学と認識」
島崎邦彦さんからの「研究の面白さに,はまってしまった人」への伝言
2017/11/20(月) 午後 8:55
「
(略)ここで、ご自身の経験が語られる。
この間少なくとも三度,おかしいと思ったことがある.
最新の例でいえば,2011年3月9日(東日本大震災発生前2日)の地震調査委員会,貞観地震の調査結果に基づく長期評価改訂案の承認は,議題が多いので4月に延期して欲しいと事務局に言われて了承した.ところが,その議題が多いはずの委員会はいつもより早く終了した.重要な議題の延期は,電力会社への内容説明(3月3日)後の修正のためと後に判明(東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会事務局による聴取結果書110別紙12;橋本他,地震学会モノグラフ「日本の原子力発電と地球科学」p.34-44, 2015).
最も古い例は,2002年7月10日の地震調査委員会のことである.内閣府の防災担当から圧力が加えられ,「三陸沖から房総沖へかけての地震活動の長期評価について」の公表が月末まで遅れた.発表時の表紙には,「防災対策の検討など」には「地震の規模」の「誤差」に「十分留意」を含む一段落が突然事務局により加えられた.
もう一つの例は地震調査委員会の外で起こったが,上述の「三陸沖から・・・長期評価について」に関連している.2004年2月9日の中央防災会議日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に関する専門調査会(島崎,科学,2011年10月号,p.1002-1006).また,私が司会を務める長期評価部会開催中に開かれた2005年6月22日同専門調査会,会議後,中間発表の記者会見が行われて確定という手回しの良さ.
これらはいずれも,福島県を含む太平洋岸の津波と地震に関する「不都合な真実」を覆い隠そうとする意図によるものだと思われる.東日本大震災が発生して福島第一原発で重大事故が起こった結果,国会や政府等の事故調査委員会により明らかにされた事実に基づく推論である.
未来ある人々に知って欲しい.科学的におかしなことが大手を振っている場が存在することを.社会の役に立ちたいというnaiveな思いが全く通じない場があることを.こちらが研究者仲間と思っていても,上司の命に逆らえない立場もあることを.練達の行政マンにとって,世間を知らない研究者を操ることは容易だ.
島崎さんの結論は、こうだ。
未来ある人は,そのような場を避ける知恵を持って欲しい.
(略)
しかし,社会に役立ちたいと真摯に思うなら,私は,外からwatchすることをお勧めする.そして科学的におかしなことがないのか,何が正しいのか,見張ること.外からでは十分わからないことも多い.しかし,焦ることはない.報告書などをじっくり吟味することが重要だ.そしておかしなことは,科学の場で,学会で,批判せよ.◯◯委員となるより,ずっと重要な社会への貢献だと思う.
科学的におかしなことは,科学の場で,学会で,批判せよ.」
(https://blogs.yahoo.co.jp/satsuki_327/43484398.html[受信:2018年1月23日。])