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山の麓の小さな酒場に,
一人の猟師が来て飲んでいる。
猟師の下に、猟犬が舌を出して座っている。猟師と犬は、見えない糸で繋がれているようだった。
猟師は洋酒をちびりちびりやっていたが、
犬は何も食べても飲んでもいなかった。
それだけ神経が過敏になっていて、外の異変を嗅ぎ取るようだった。
その犬が、前足をぴたりと床につけた。
「来たか?」
と男が犬を見た。
男の声に、猟犬は確信を得た動きになる。
ドアは閉められたままで、窓など見えない位置だった。
猟師が壁に立てた銃を手にして、出て行った。酒場の客に緊張が解けた。
「撃ちそこなった熊が、あの人を狙って来たのだとしたら、俺たちはその危険の中にいたんだぜ」
「まったくだ」
と別の男が言った。
「今度は、撃ち損なわないように、願いたいもんだ」
窓際の、別の男が言った。誰も外を窺うものはなかった。
四十分ほどして、犬が一匹だけで、酒場に飛び込んできた。キャンキャン哀願する声で鳴いた。
「やられたな、彼」
と一人の酔っぱらいが漏らした。
「救助を願わなければならない。犬はそのためにやって来たんだ」
「銃の協会か、その前に警察か」
一人が、スマートホンで警察に電話をはじめた。酒場のマスターが、不安そうに耳を傾けている。
end
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山の麓の小さな酒場に,
一人の猟師が来て飲んでいる。
猟師の下に、猟犬が舌を出して座っている。猟師と犬は、見えない糸で繋がれているようだった。
猟師は洋酒をちびりちびりやっていたが、
犬は何も食べても飲んでもいなかった。
それだけ神経が過敏になっていて、外の異変を嗅ぎ取るようだった。
その犬が、前足をぴたりと床につけた。
「来たか?」
と男が犬を見た。
男の声に、猟犬は確信を得た動きになる。
ドアは閉められたままで、窓など見えない位置だった。
猟師が壁に立てた銃を手にして、出て行った。酒場の客に緊張が解けた。
「撃ちそこなった熊が、あの人を狙って来たのだとしたら、俺たちはその危険の中にいたんだぜ」
「まったくだ」
と別の男が言った。
「今度は、撃ち損なわないように、願いたいもんだ」
窓際の、別の男が言った。誰も外を窺うものはなかった。
四十分ほどして、犬が一匹だけで、酒場に飛び込んできた。キャンキャン哀願する声で鳴いた。
「やられたな、彼」
と一人の酔っぱらいが漏らした。
「救助を願わなければならない。犬はそのためにやって来たんだ」
「銃の協会か、その前に警察か」
一人が、スマートホンで警察に電話をはじめた。酒場のマスターが、不安そうに耳を傾けている。
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