羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

ルパン三世 1

2015-12-18 20:41:25 | 日記
「めちゃくちゃな文章だな」奇書の解読に苦戦しているルパン。項を捲り「とんだラビリンスだぜ。あんたスゲェよ俺様のハートに火を点けちまった」ルパンは笑った。別室のレベッカは「コウ」呟いていた。「さすがに、一晩じゃ無理じゃない?」「賭けるか?」不二子と次元は話していた。「無理よ」「煙草1カートンだ」煙りを吹かす次元。「よーし、乗った」不二子は受け、賭けは成立した。
「ようこそ、イタリアの夢へ」ルパンが奇書のメッセージを読み解き文字を書き込むと、その文字は色を変えて浮き上がり始めるように見えた。「入るぞ? おいっ、ルパン」「ほーらね」次元と不二子が部屋に入ると、ルパンは眠っているように見えた。「ありえねぇ、なんだこりゃ?」寝たまま話すルパン。「寝言? ルパンは夢を見ないんじゃ?」不思議がる不二子。ルパンは奇妙な夢の中に居た。あちこちに文字や数字の書かれた迷路の様な街。スフィンクスに出会うと食べられそうになるルパン。逃れて自分に気付かない学生のレベッカとすれ違う。レベッカの後を追う奇妙な虫。「おうっ、やってるやってる。お酒と煙草、買っといたよぉ」学生のレベッカは奇書を書いている途中の眼鏡を掛けた男の元へ来ていた。
後から男に抱き付く学生のレベッカ。「ワイン、開けちゃおうか?」「だめだ」「私、もう大人だよ? リベルタスに生きろって言ったの、コウじゃない」「そんなワイン、お前には似合わない。お前が始めて呑むのは、最高の赤ワインじゃないとな。いつか二人で呑もう」「うん!」学生のレベッカが頷く、屋根裏から天井に聴診器を当てていたルパンも頷いた。(あいつがレベッカが愛したって男かぁ)「リベルタスってさぁどういうこと?」「作られた世界に自由は無い。自分の手で世界を作る自由。それがリベルタスさ。例えば赤ワインだ。葡萄の産地や品種を選んで、
     2に続く

ルパン三世 2

2015-12-18 20:41:14 | 日記
0から作る。まぁ、そういうことかな?」コウはそう言い、煙草に火を点けた。「俺と、夢を叶えよう」「夢ってなんの?」「感じるんだよ、世界を作る、スリルと感動を」コウは学生のレベッカの鼻筋をスッと撫でた。「世界を作る、それが夢?」「ああ、イタリアの夢だよ」学生のレベッカ頬を赤らめた。
「世界を作るだって? どうやらとんでもない世界に迷い込んじまったらしいぜ」聴診器を当てていたルパンが呟くと、虫の一匹が体液を掛けてきた。悲鳴を上げるルパン。「どうかしたの?」気付かない学生のレベッカ。「今日はもう遅い、家に帰りなさい」促すコウの頬にキスをしたレベッカ。「バイバイ! また明日っ!」レベッカは笑顔で駆けて帰って行った。現実の世界では延々とうなされているルパン。「そんなことしちゃいやーん」ちょっと喜んだりもするルパン。「待っていたよ」「そいつはどうも」ルパンはコウと対面していた。
「あんたのなぞなぞ、中々面白かったぜ? 天才科学者の」「ウラガ・コウしがない研究者さ。お前は?」「俺はルパン三世。世界をまたにかける天才大泥棒にしてレベッカの未来の旦那さ。あんた、俺を待ってたって言ったよな? どういう」「この本には、俺自身の脳の記憶や、人格を構成するデータを書き記してある。暗号を解読した人間には、脳内に俺の人格を一時的に植え付けることができるんだ」「ようこそ、イタリアの夢へってのは?」「深層心理に作用するトリガーだよ」「俺は夢の中であんたの人格と話してるって訳か」「俺はレベッカに託したんだけどなぁ」「なんでそんな本、書いた?」「俺は狙われている」「誰に?」「影人間。俺の研究を真似て人体実験をしている奴らだ」誘拐されかけたブリジットが「イタリアの夢」と口にしていたことを思い出すルパン。
コウは影人間に悟られずに自分の存在を残す為に
     3に続く

ルパン三世 3

2015-12-18 20:41:07 | 日記
奇書を書いていた。「いいのか? そんなこと、ベラベラ喋っちまって」「レベッカには男を見る目はあるからな」「まあな」「で、俺はどうなった?」自殺したとされたことを告げるルパン。「殺ったのは影人間、いやイギリスの情報機関、MI-6」「ルパン、お前に頼みたいことがある」コウは願いを語った。
やがて奇妙な街の影から影人間が姿を現し、体を伸ばし、コウの隠れ家を銃撃し始めた。「これもお前が本に書いたのか?!」「違う! お前と会ったことで俺の世界が動き始めたんだ」ルパンは影人間達に発砲した。
「おい、どうした?!」コウは逃げようとしない。「無駄だ」「やってみなきゃわかんねぇだろ?」「あいつは、アインシュタインってきっと寂しがりやね、って言った」「え?」「だって相対性理論って相手がいないと成り立たないもん、ってさ。ホント変なヤツだよなぁ」「ウラガっ!」「お前と会えてよかった。同じ女を愛する男にな。レベッカを頼む」コウは影人間達に撃ち殺された。影人間達はコウの死体を椅子に着かせ、薬を机に散らし、自殺した姿にした。そこへ学生のレベッカが忘れ物を取りに帰ってきた。「こう、ダメだよそんな格好で寝たら。コウ?」脱力して机に突っ伏すコウの死体。「ほらっ、コウ、起きて、こんなのダメだよ! こんなのダメだよ!!」コウにすがり付くレベッカ。ルパンは全て見ていた。
ロブソンはルパンに頼まれていたという物を持って現れた。「ヤツはまだ夢の中だ」言った傍から「おはよう次元」「ルパン?!」起きたルパンに驚く次元。「ルパン、いずこへ?」身支度を整えた出掛けのルパンに問う五ェ門。「ワイフとデートさ。ちょっくら行ってくる」去るルパン。「死ぬなよルパン」五ェ門は呟いた。ルパンは車で移動しながら助手席で奇書を抱えるレベッカにコウの話をした。「信じられない」「お前が赤ワイン呑まない訳、
     4に続く

ルパン三世 4

2015-12-18 20:41:00 | 日記
知ってるぜ。あいつと約束したんだろ? 二人で呑もうって」「ルパン?!」「ゴシップクィーンを演じるのも、盗みにスリルを求めるのも、あいつの望んだ、リベルタスに生きる為」「サンマリノに行くのは?」「あいつにちいっと、頼まれちまってな」レベッカは泣いた。一方、ずっとルパンを追っていたニクスは専用車がルパンの位置を特定すると、車を反転急停止してドリフトさせ、反対車線に走り込んで行き「ニクスが動いた。ヤツの暴走を止めろ!」上官は命じていた。
ルパンとレベッカは以前、特定したレベッカが連れ去られた小屋に来た。「こんな所に何が」「鍵がいるのさ。あいつがお前に残した言葉へ、イタリアの夢だ」「イタリアの夢」釣られてレベッカが呟くと壁が動いて入口が開いた。「お前の声が、鍵だったのさ」隠し部屋の中は資料で雑然としていた。「まるでヤツの頭ん中だ。お前の写真もあるぞ?」ルパンはランプを掲げ、壁に多数貼られた学生のレベッカの写真を示した。残された資料から、コウが他人の脳内に別の人格を植え付けることに既に成功していたことが改めてわかった。「イタリアは愛の国なんだろう? 愛する人が去っても、夢の中で会える。ウラガってヤツは本当にロマンチストだよなぁ」ルパンは部屋に油を撒き始めた。戸惑うレベッカ。
「燃やしちまう。あいつに頼まれたんだよ。この研究を利用すりゃあ、人の記憶や考えを自由に操れちまう。道理でMI-6が欲しがる訳さ。遅かったなぁ、ニクス」出入り口にニクスが来ていた。「ルパン三世、貴様が逃げられる可能性を算出した。0%だ!」「そいつは困ったなぁ」ランプを落とし割り、部屋に火を放つルパン。「貴様っ!」「大切な研究資料が燃えちまうぜ?」ルパンはレベッカと共に、ニクスを素通りして部屋から走り去った。部屋に残り、顔中に血管を浮き上がらせ、壁に貼られた資料を見るニクス。
     5に続く

ルパン三世 5

2015-12-18 20:40:51 | 日記
減速した時の中で詳細に記憶し始めるニクス。
ルパン達は車で走り出した。「あいつはお前のこと、変なヤツだってさぁ。アインシュタインは寂しがり屋なんだってなぁ」「ばか」話しながら街の坂道を上ってゆくと、後方からニクスの専用車が追ってきた。「もう、追い付かれた」ニクスは車窓から銃を持った左手を無造作に出し、距離と発射角を呟き、正確にルパンの車両のタイヤを撃ち抜いた。車はコントロールを失い、壁にぶつかって止まった。「レベッカ、歩けるか?」車から出たルパンはレベッカの手を引いて走った。
「しつっこい野郎だぜ」ルパンは物陰に隠れ、銃を取り出した。「足、大丈夫か?」レベッカは負傷しているらしかった。「あいつからのもう1つの頼みだ。その本を燃やしてほしいってさ」驚くレベッカ。「お前が愛した男の本だ。お前に任せる」「ルパン」「さぁ、逃げるぜ? ニクスは俺が」「あたしのことはいいから」「バカだなぁ、愛するワイフを守るのが、旦那の務めなんだぜ?」「ホントは婚姻届け、出してないよ」「あら~?」ガックリするルパン。「ただ、あなたをその気にさせたくて」「こいつはやられたぜ。『やるじゃないかレベッカ。リベルタスな女になれよ』」ルパンとコウの姿と声が重なっているように感じたレベッカ。
ルパンはコウのようにレベッカの鼻をスッと撫でた。「うん」瞳を潤ませるレベッカ。「あそこまで走れるか?」「楽勝よ!」ルパンはレベッカを連れ、物陰から出て冊の方まで走り出した。ニクスが姿を現す。ルパンはネクタイを解き、小型射出機からワイヤーを飛ばし、ロープウェイ? のケーブルに絡めた。レベッカの腕に射出機と一体にしたネクタイを絡めるルパン。「飛ぶぞ?」「うん!」一緒に走り出したが、レベッカだけ冊の向こうに投げるルパン。「ルパン?!」レベッカは一人、ケーブル伝いに下方へと
     6に続く