羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

うしおととら 1

2015-12-26 19:21:38 | 日記
「あぁ退屈だったぜっ!」とらは白面擬きを投げ飛ばし、電撃を撃ち込んだ。感電して動きを止める白面擬き。「白面くせぇ化け物だぜ」「とら君!」瓦礫の下の麻子を振り向くとら。「遅ぇよっ! 忘れたのかと思ったぜ」軽く瓦礫を除けて言うとらに麻子は苦笑した。「ケッヘヘヘっ! 潮、いい様だな!」ボロボロの潮を面白がるとら。「うるせぇ! もっと早く助けに来やがれっ!」「なんで喰いモンをワシが助けるんだよ? ワシはっ、暴れてぇだけだぜぇッ!!」気合いを入れるとら。3博士達はとらのキルリアン反応値の急上昇に目を見張った。
とらが麻子に中にバルトアンデルスがいると止められながら白面擬きと交戦する中、一連の戦闘の衝撃で施設内に実験用の有毒ガスが充満し始めた。3博士は現状にさっさと見切りをつけて、撤収しようとした。「おいっ、オッサン達。どーするんだよ、この始末はよぉ?」潮は麻子に抱え起こされながら3博士を呼び止めた。「幸いにもとら君が時間を稼いでくれている」施設を閉鎖して爆破するという。「仲間はどうするんだ? 逃げられないやつだっているだろう?!」「仕方無いな。白面からの被害を最小限に止める為だ。さぁ行こう、急ぎたまへ」「いい加減にしろっ!」「いい加減にしてっ!」怒る潮と麻子。
「全部、テメェの頭でケリがつくと思ってやがるッ! 使い捨てられていいヤツなんざ、死んでいいヤツなんざ、この世にぜってぇいねぇんだよっ!!」潮の一喝に女の博士はハッとした。「自分の家族や友達がそうされて、笑って許せるの?!」麻子も訴えた。(自分の、家族)女の博士は考えていた。とらは電撃で白面擬きの足から通電させ、頭を除いた全ての部位を打ち砕いた。「どーでぇ?! あっ?」一瞬、勝ち誇ったが、すぐに異変に気付くとら。白面擬きは頭から取り込んだ妖怪達の足を出して起き上がり、突進してきた。
     2に続く

うしおととら 2

2015-12-26 19:21:28 | 日記
「バルちゃん」バルトアンデルスの足に気付く麻子。
「麻子! 俺はやってやるッ!」潮は石喰い、人鬼、鏡魔、の時と同じようにしてバルトアンデルスを救うと宣言し「槍が、信じろと言っている!」白面擬きに突進して行った。「おいっ、とら! 取り込まれた化け物助けるぞ!!」「ムチャクチャなことぬかすんじゃねぇッ!」言いつつ、白面擬きを蹴り上げるとら。「いつものことじゃねぇかっ!!」「違ぇねぇぜッ!」二人掛かりで白面擬きとに対応し始めた。「ヘレナ、あれを見たまえ」3博士の一人がヘレナという名らしい女の博士に呼び掛けた。
白面擬きが生やした『足』に注目する3博士。「あなた、聞きなさい。化け物を止めることができるかもしれない」ヘレナが麻子に言い、3博士の残りの二人は白面擬き本体にキルリアン振動器は無効だったが、取り込んだ妖怪達にはこれまで効いていた。足を狙って振動器を使えば止められる可能性があると説明した。「ただし、オペレーションルームはあそこよ」部屋の上部に見える部屋を示すヘレナ。ガスが充満しつつあり、作業に当たるということは極めて危険だった。「それでも彼らを助けたいの?」「やり方を教えて」「ついてきなさい」ヘレナは案内し出した。「なぜ君がそんなことをするのだ?」戸惑う残り二人の博士。「さぁ、なぜかしらね?」ヘレナは笑みを浮かべて振り返った。
紫暮が厚沢に連れられ、自衛隊のヘリでハマーの施設に急行する中、潮ととらは、バルトアンデルスを露骨に盾に使い出すようになった白面擬きに手こずっていた。麻子とヘレナはオペレーションルームに入ったが、メイン電源は落ちていた。予備電源に切り替える作業を始める二人。「ヘレナ! 聞こえているか?!」地上へ逃れた他の二人の博士の一人から動画で通信が入った。「情報を送るわ、しっかり記録しなさい」
     3に続く

うしおととら 3

2015-12-26 19:21:18 | 日記
一旦通信を切るヘレナ。
白面擬きは短時間で学習、進化し、とらの電撃を吸収し始めた。力を蓄えた白面擬きは触手の突きを乱打してきた。潮達はかわしたが、触手はオペレーションルームも直撃し、ヘレナは背中を抉られた。「おばさんっ!」駆け寄る麻子。「どうしたらいいかっ」動揺する麻子。「しっかりしなさい! ここから先は、あなたがやるのよっ!!」強く促すヘレナ。それから、潮達は引き続き苦戦し、ヘレナはぐったりと椅子にもたれていた。麻子は教わった通りに必死で機器を操作していた。
潮とは幼馴染みと麻子が話すと「どんなことにも恐れずに、立ち向かえる。あの子もあんな子に育って欲しかったわ。小さかった時に、病院で死んじゃったの。あたしは医者だったのにねぇ? それが悔しくて、だからあたしは」白面擬きに追い込まれている潮ととら。振動器に電力が充填された。「今よッ!!」ヘレナの合図でレバーを引く麻子。潮達が戦う部屋に設置された。残存のキルリアン振動器が一斉に白面擬きの足に振動波を放った。動きを止める白面擬き。「よし、行くぜっ、とら!」「うるせぇッ!」と言いながら白面擬きの爪を砕くとら。潮は白面擬きの体に飛び乗り、埋まったバルトアンデルスを槍で掘り起こし、切り離した。
ここで、電力不足で振動器は止まり、再び暴れ出す白面擬きだったが「遅ぇんだよッ!!」手加減の必要が無くなり、白面擬きの体を殴り割るとら。(あれがメタモルフォーゼβ、とら!)砕いた体から飛び出し、とらを襲った触手の突きを槍で払う潮。(あれがメタモルフォーゼα、潮!)余計なことすんなといった態度のとらと揉めつつ、とらと共に白面擬きに攻撃する潮。(ようやくわかったわ、彼らの力の根源が。信頼すべきパートナーと、守るべき者。そして、強大な敵! それら全てが揃った時、彼らは、無敵の力を発揮する!!)
     4に続く

うしおととら 4

2015-12-26 19:21:08 | 日記
白面擬きの最後の欠片を打ち砕く潮ととらを、ヘレナは見届けていた。
麻子は「やったーっ!」単純に喜んだが「見なさい」床で蠢く白面擬きの欠片を示すヘレナ。欠片は集まりつつあった。「このままでは、より強力になって復活するわ」ヘレナは地上に通信を繋いだ。「ニコラス、聞いてる? 記録も取ってるわね?」「何があった?!」ニコラスという名だった3博士の一人は焦っていた。「この場所を爆破してほしいの。10分後、いいわね?」「わかった。君も早く、上に来たまえ!」「ええ」通信を切って、椅子の背に体を預けるヘレナ。
警報が鳴り、警戒ランプが点灯し、避難アナウンスが流れた。「麻子!!」促す潮。「おばさん、行こうっ!」「行けないわ」「え?」「白面の詳しい記録を取らなきゃ」「もういいじゃない!」連れて行こうとする麻子。肩を担ぐと苦痛を訴えるヘレナ。「おばさん?」背に致命傷を受けていた。「わかった? 麻子、科学ってのわね。できることと、できないことがハッキリしてるの。実際、できないことの方がたくさんあるのだけどねぇ。でも、人間はそれが悔しくて、できるようになろうとするの。方法が間違っていてもね。さぁ、行きなさい。今日の犠牲を糧に、必ず白面を倒してね」「でも」「ここまで科学者として生きてきたのよ? 恥をかかせないで」(辛くても人間は、科学は、進歩しなければいけないわ。潮やあなたが言ったように、誰かが犠牲にならぬように)麻子は泣きながら一人で脱出して行った。
麻子はガスの充ちつつある通路を走り、バルトアンデルスを連れた潮ととらと合流した。「連れてこられなかった! おばさんのことっ」麻子はガスに咳き込み、倒れた。「麻子! ぐっ」潮も変化が解け、咳き込んで倒れてしまった。バルトアンデルスも気絶している。「なんだなんだ? この煙のせいか?」
     5に続く