羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

ルパン三世 1

2015-12-04 20:42:21 | 日記
レベッカのグラスに白ワインを注ぐルパン。二人は昼間の明るいレストランに居た。「やったぁ! 朝から撮影続きで喉カラッカラっだったんだよねぇ」一息に呑むレベッカ。「で、用っていうのは?」ルパンは面倒そうに聞いた。別の夜、ルパンは同じ様に不二子に呼ばれ、バーで赤ワインを不二子のグラスに注ぎつつ、やはり用件を聞いていた。「用がなきゃ誘っちゃいけない?」「いや、不二子の誘いなら大歓迎さぁ」ワインの香りを楽しむ不二子。「イタリアの太陽の匂いがするなんて、いい樽よね」不二子は言っていた。
「ワインの匂いの例えって意味不明、美味しけりゃそれでOKじゃんねぇ!」ワインの当てにチープなカップケーキをかじり出すレベッカ。「んなことはどうでもいいからっ、そろそろ話せよ?」「女子を急かしちゃ、ダーメっ!」鼻を指で弾かれたルパン。不二子には頬をつねられていた。「イテテテっ!」「今、違う人のこと考えていたでしょう?」「まさかぁ!」「ま、いいわ」不二子は1通の招待状を差し出した。『マカルマン伯爵を偲ぶ サンマリノワインのしらべ』と書かれていた。
レベッカにも全く同じ物を差し出しされるルパン。「たまには夫婦らしくいいでしょ?」招待状にキスしたレベッカ。「あっ」この時、マズいことになったと理解したルパン。「今夜のあなたを、私にくれない?」不二子にそう言われ「ええーっ?!」大喜びしていたルパン。「あたしと」あっけらかんと誘うレベッカ。「デートしましょ?」微笑んでウインクした不二子。
パーティーは『カップル限定』のオークションで、生前ワイン狂いの伯爵が収集したワインを売り捌く主旨らしかった。「で、どっちにするんだ?」サンマリノの当座のアジトで、次元が呆れ気味に聞いてきた。「同じ時間、同じ場所じゃ、どっちか断るしかねぇだろ?」「そりゃ決まってんだろぅ?」
     2に続く

ルパン三世 2

2015-12-04 20:42:10 | 日記
白いそれらしい背広に着替えたルパンは帽子を被り、笑ってみせた。
ヘリでレベッカと一緒に会場となるマカルマン伯爵の館に来たルパン。ロビーでウェイターに早速白ワインを渡され、軽く呑む二人。待ち構えていたマスコミがレベッカにインタビューを始め、ドレスを自分でデザインしたことや「あたし白ワインしか呑まない」等とレベッカが答えていると「ん? あれ?」いつの間にかルパンは姿を消していた。ルパンは帽子を落としながら、大慌てで走って離れた廊下で待っていた不二子の元へ向かい、到着するとウェイターから白ワインのグラスを取った。「やっと登場?」不満顔の不二子。「待ち合わせジャストだぜぇ?」グラスを渡すルパン。
「女を待たせたら、その時点で遅刻なの」ワインを軽く呑む不二子。「こんな廊下で待ち合わせなんてっ」「お前を連れて歩く姿を他の奴らに見せびらかしたくてねぇ」廊下の先でウェイターから白ワインを受け取り呑み出した男達を指差すルパン。「何だよあんな猿顔男とっ」「勿体無い!」悪態ついてくる男達。頭にきたルパンだったが不二子に宥められ会場へと入って行った。「ヴィンテージワインばっかりだなぁ」「いるだけで酔っ払いそう」二人で話していたが、ルパンは飾られた花に目を止め、一掴み程度手に取ると、駆け出した。
レベッカが会場に並んだパーティー然とした料理にうんざりしていると「お前の好みは、こっちだろう?」ルパンはフライドポテトの皿を差し出した。「もうっ、どこ行ってたの?!」「カメラに映る訳にもいかねぇし、これが似合うと思ってな」ルパンは先程手に取った花をレベッカの髪に差した。「あたしにファッションのアドバイス?」「滅相もない」ポテトの皿を渡すルパン。「白でよかったよな?!」ルパンは大急ぎでその場を離れた。不審げに見送るレベッカ。
     3に続く

ルパン三世 3

2015-12-04 20:41:59 | 日記
不二子の所に息を切らせて走り込んできたルパン。「どうしたの? 酷い顔よぉ」「それ、いいかぁ?」ルパンは不二子の持っていた赤ワインの入ったグラスを取り、がぶ飲みした。「同じのでいいか?」「いいけど?」ルパンは再び大慌てで走り去り、グラスに『赤』ワインを注いでポテトを食べていたレベッカの所へ来てしまった。「『白』じゃないじゃん?」「悪ぃ悪ぃ」「始まっちゃうよ? オークション」話していると、レベッカの後方に不二子が現れた。
「うわっ?」焦ったルパンはレベッカを抱き寄せてレベッカの体で身を隠そうとした。「おおうっ?」驚くレベッカ。何とか不二子はやり過ごせた。「急に何?」「いやぁ、ちょっとこの辺太ったかなぁって」レベッカの体をクルリっと反転させ、脇腹の辺りを撫でるルパン。「え?」一瞬、間を置いて、レベッカはルパンにビンタを喰らわせた。一先ず退散し、白? のワインボトルを探すルパンに近寄る者がいた。
「一人、二役でお相手中か?」振り替えると痩せた男が意地悪そうに笑っていた。「二兎追う者は、って諺知らないのか?」「おたくは一兎にも逃げられたクチか?」「男女の繋がり程脆いモノは無い」痩せた男は去った。と、照明が落ち、ステージが照らされ、オークションの前口上が始まった。伯爵は集めるだけで封は開けずにワイン庫に厳重に保管していたという。「本日の目玉は、勿論これ!」ステージの大画面に裸の豚の格好の女のラベルが貼られたワインボトルが映される。「グイドワイナリーの幻の貴腐ワイン『恋煩い豚』っ!」会場から歓声上がる。
恰幅のいいオーナーのグイドと、妻でバイオ工学者ミミの仲睦まじい写真が映し出され「この二人だからこそ、恋に落ちるワインが作り出されたのかもしれませんねぇ」解説が続くと痩せた男は苦々しい顔をした。ルパンは「恋に落ちるワイン?」
     4に続く

ルパン三世 4

2015-12-04 20:41:49 | 日記
離れた場所でそれぞれニヤリと笑うレベッカと不二子の顔を見比べた。『恋煩い豚』を呑んだカップルは必ず結ばれるという噂があった。しかし10年前、ミミが失踪したのを機会に、ワイナリーは倒産し『恋煩い豚』は生産されなくなり、今ではボトル数本しか存在しないとされているという。「その『恋煩いの豚』が『樽』ごと手に入る! こんな機会、2度と訪れませんよぉっ!」煽る司会の男。伯爵が保管している『樽』は倒産直前の物だという。
「狙いはコレか?」不二子に耳打ちするルパン。「やっと気付いた?」「恋に落ちるワインに興味があるなんて、ロマンチックじゃなぁい?」「だって、高く売れそうじゃない?」「え?」不二子は『媚薬』効果を調べようとしている者達に売り付けるつもりでいた。「ロマンより金か」ルパンはレベッカの元にも向かい、聞いてみた。「お前も金が目当てな訳?」「『も』って何?」切り返しに慌てるルパン。レベッカはスイス銀行以上というワイン庫のセキュリティを突破してみたいだけだった。「金よりスリルな訳ねぇ」呆れるルパン。
照明が付き、オークションが始まった。「どっちもオークションで真っ向勝負するつもりは無い」ルパンが呟くと「そういうこと」レベッカと、気付かぬ内に来ていた不二子がルパンを挟む格好で同時に言った。それから会場のソファに座った3人。真ん中にはルパン。「不二子、こちらがレベッカ」「知ってる」「ああ、そうかぁ。レベッカ、こちらが」「女泥棒、峰不二子」「あーらぁ、私のこと知ってるのぉ?」「勿論、泥棒の大先輩だもん」「えーとぉ、お二人さん?」動揺するルパン。「ダブルブッキングなんて、酷いことするのね?」見てくる不二子。「あたしが気付かないとでも思ったぁ?」そっぽ向くレベッカ。笑うしかないルパン。
「でもまぁ、あなたのおかげで会場に入れたし」
     5に続く

ルパン三世 5

2015-12-04 20:41:22 | 日記
立ち上がる不二子。「ルパンはあなたに譲るわぁ」「え? 別にいらない!」レベッカもソファから立った。「お前らぁ、この俺をダシに使ったのかぁ?!」堪らず自分も立つルパン。「どっちがゲットしても、恨みっの無しだから!」「ええ、あなたもね?」不二子は腕を組んで歩き去った。「ウフッ! 燃えてきたぁーっ!!」レベッカは小走りに去った。置いてきぼりにされたルパンを、わざわざ寄ってきたらしい痩せた男が嘲笑って去って行った。「笑いたきゃ笑え!」やけくそなルパンだった。
レベッカはドレスを脱ぎ捨て、動きやすい格好に変わって、地下ワイン庫への入り口に立った。ルパンから貰った花飾りは頭に付けたままにしている。サングラス型端末を掛けるレベッカ。赤外線センサーが見えるようになった。不二子はウェイターの男を誘惑し始めていた。センサーの通っていないシャンデリアに跳び付き、通路沿いのシャンデリアからシャンデリアへと跳び移って進んでゆくレベッカ。不二子はウェイターをすっかり骨抜きにして、相手がキスしようとしてくると、香水に瓶に仕込んだガスを吹き付けて昏倒させ、懐からIDカードを盗み出していた。
ルパンがまだ居た会場で、ルパン以外のカップル客達が妙にイチャ付き始める中、レベッカは不二子に先行する形で軽快にシャンデリアを伝って移動を続けていた。しかし「えっ?」跳び移った拍子に髪に差していた花飾りが取れ、赤外線センサー上へと落ちて行った! 不二子の方はIDカードでセキュリティ自体を解除し、スカートの裾を上げてサクサクと階段を降り、あっさりとワイン庫の前にたどり着き、ワイン庫のドアのダイヤル錠を笑って弄ぶように指でなぞっていた。
落ちた花飾りをシャンデリアに足を掛け、逆さになってセンサーに触れる前にキャッチしたレベッカ。一息ついていたが
     6に続く