戦を知らない武士の多い天下泰平の世の中、妻子の治療三両の為、狂言切腹を竹光で狂気の切腹!義父の市川は井伊家に乗り込み武士として温情がないのかと正し、80人相手に竹光で立ち廻り最後は両手を上げて斬らせる。




どう見ても狂言で切腹と云う下劣で卑怯な事と思われたが、そこに至る迄の貧しい武士の実態が浮き彫りに・・・天下泰平だからこそ、武士の必要性が薄くなる時代で武士と云う名前だけが妙な誇りと共に残ってしまう時代でもある。
武士とは何ぞやと云う問い掛けの映画だけど、井伊家の毅然とした武士の筋を通した態度が逆に波紋を呼ぶ結果に・・・井伊家と云えばあの大河ドラマの直虎でしょうね。
狂言切腹と云うやり方ではなく、他の手立てはなかったのかと思われるが、妻は吐血して寝込み、赤ん坊も虫の息で、義父の市川は瑛太に何とかならんのかと右往左往する。
医者代に三両が必要と妻満島に言われ、切羽詰まりアテがあると家を飛び出す。
その頃の風潮で、狂言切腹が流行り、温情を与える武家も多く、雇い入れる所もあった。
しかし、井伊家は武士たる者、「武士に二言はない」という誇りを重んじ、竹光だと知りながら斬らせる。
しかし、竹光なので中々腹に突き刺さらず、大声で叫びながら狂気の沙汰で腹を斬ろうとする瑛太を皆が止めずに見守っている。
普通なら、竹光が腹に刺さり、血だらけになっている処で「もうよい!」っと心意気だけ認める処が、介錯者はじっと見守り、瑛太が早く介錯をして欲しいと目くばせするが、介錯役はまだまだ、もっと引き回せ(腹を斬れ)と言う。
もう見るに見られない状態で、役所が飛び出して来て一気に介錯をする。
竹光なんかで斬れるはずがないのだが、身体の体重をかけて何度も突き刺すシーンは壮絶!斬れる刀よりエグイ!この映画の一番印象に残るシーンである。
市川は、井伊家の介錯者3人を待ち伏せ、同じ竹光で斬りかかり、3人のマゲを切り懐へ・・・市川は、3人の名前を挙げ、介錯者を指名・・・しかし、3人は行方不明と家臣が役所に・・・市川は3人のマゲを放り出し、恥ずかしいので隠れているのだろうと言った。
役所の顔色が変わり、皆に斬れと命ずる・・・
大立ち回りが始まるが、市川はあくまで竹光で相手をかわす・・・
額に竹光が見事ヒットして、額に竹光の跡の筋が残る・・・倒れて尻餅をつく驚く家臣・・・
本当だったら、頭を斬られ割られている処である。
たぶん、この侍は自分の武士としての生き方を考える事でしょう・・・
マゲを取られ、さんばら髪の3人は、辱めを受けたと思ったのか、自ら切腹をしてはてる・・・
役所にとっても、竹光と云う馬鹿にされ、しかも80人もおって、中々勝負をつけて殺せない家臣の腕の低さに愕然とするだろう・・・
最期は、無抵抗な者によってかかって斬りつける・・・
これが、武士なのかという問いも含まれていて、武士って何なんだと言っている。
その後の井伊家の家臣や役所の動揺と、どうこの事件を整理したいのか見たいものですね。
いずれにせよ、竹光で切腹と云う斬新なアイデアが面白い処ではないでしょうか?
歴史上本当に、狂言切腹って流行ったのかどうかは定かではないみたいですね・・・