カレーなる隣人

カレー(華麗)なる隣人。それは日々街の至るところで出会ってしまう、すくうカレースプーンの先に映る人間像

於:きりん屋

2005年07月21日 | 隣人(カレー)
知り合いに「麻布十番にテイクアウトだけでやっているカレー屋があるよ。あそこがうまいんだ」と教えてもらってから、はや2ヶ月が経過していた。
今回ようやくそのオススメのお店「きりん屋」に行くことができた。

「なんでテイクアウトしかやらないんですか?」
「だってそのほうが回転がいいじゃない、当然でしょ」
回転率のほかに人件費や家賃経費、坪効率といった言葉まで飛び出て、「お~、このおばちゃん、メッチャ商売人や」と思ったが、店のオーナーは誰でもそうかもしれない。

「オーナーはロマンとソロバンをバランスよく持っていなければいけない」

なんでもゆきこさんがお店を始める衝撃を受けたのは、海外での経験からだという。
「ロンドンって、たくさんのカレーをはじめとしたテイクアウトのお店があるでしょ。すごい勢いで売れていくのに感心してしまってっ」
とか、
「マレーシアには私の好きなやきそば屋台があったの。おじさんが一人で手早くやってるんだけど、その味は絶品で常時何人も並んでいるの。それにその人達って1個だけ買って帰るわけではなく、一人が5個、10個と買っていくでしょ。
そのシンプルさ、手早さ、テンポのよさの3拍子がたまらなくて」
「そして近くの住宅地には立派なお家とベンツが止っていて、そしてその駐車場脇には例のボロい屋台があるの。そう、あのおじさんは屋台と中華鍋だけで成功しているのよ。すごいでしょ、中国人」
「私が商売やるならこれだって思った。とにかく単品でも味がよければお客様は来てくれる。思い切って味が全てと言っちゃってもいいかも。もちろん味ではなく雰囲気を重視する人がいるかもしれないけど、やっぱり味よね。私も2万円のフランス料理コースとか食べることもあるけど、たまに『何、この消しゴムみたいに硬い鹿肉?ぜんっぜんおいしくない』」

「それから・・・」と話そうとしたところへ、「チャリンッ」隣人が来た。
「ごめんなさいね、ベラベラと」「いえいえ、また来ま~す」
とは言え、私は一体このテイクアウトしたカレーをどこで食べたらいいのでしょう?

それはさておき、今日の隣人はさっき入ってきたお客さんではなく、この人。
「昔広尾ガーデンヒルズでフレンチ屋台をやって一世を風靡した『よっちゃん』」
ゆきこさんの会話に出てきた幻のフレンチ屋台で、同じ小規模スタートのスタイルに共鳴したと言う。
マスコミにはやされ、大人気になったが、その人気がたたり、うるさくなってしまったのでマンション前から立ち退きを余儀なくされたという。どなたかこの『よっちゃん』の今をご存知の方は教えてください。