ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

「一緒にやりませんか」

2017-12-02 08:40:25 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「薦める?」11月27日
 『採用は社員の紹介で』という表題の特集記事が掲載されました。リファラル採用が拡がっていることを報じる記事です。記事によると、リファラル採用とは、『広告や人材紹介会社を通さずに社員を知人に紹介してもらう手法』のことで『米国で導入が進み、日本でもヤフーなどIT企業を中心に積極採用の動きがある』とのことです。なお、いわゆるコネ入社とは違うものです。
 記事の中で気になる記述がありました。『リファラル採用』が成り立つには、社員が会社の社風・理念に共感していることが前提。そうでなければ、積極的に外部に自社をアピールしたい気持ちにならないからだ』という部分です。
 公立学校の教員は地方公務員ですから、リファラル採用は不可能です。しかし仮に、教員採用においてもリファラル採用が可能だとして、現職の教員の何割くらいが、知人や友人を教委に紹介するだろうか、という疑問が浮かんだのです。
 ここ数年、教員採用試験の倍率は低下傾向にあります。背景には、MPの問題、部活に象徴されるようなブラック企業並みの過重労働の問題などがあることは確かだと思われますが、それだけではないような気がしています。それは、「リファラル採用」の必須条件である、「社風・理念」という面から、教職の良さが語られることが少ないという点です。
 私が教委で「指導力不足教員研修」を担当していたとき、対象となった教員たちと面談し、教職志望の動機を尋ねたことがありました。回答は多様でした。収入と身分の安定を挙げる者、女性であることが不利にならない、教員向きと言われた、担当している教科が好きなどの回答もありましたが、恩師に影響されて、家族が教員、教育実習の体験でなど、多少ニュアンスは異なりますが、記事の言う「社風・理念」型の回答の方が多かったものでした。彼らの多くが経験20年以上のベテランでしたから、彼らが採用された今から35年ほど昔ならば、「リファラル採用」も機能したと思います。
 でも今はどうなのでしょうか。私自身、20代の若者に「教職の理念」を魅力的に語ることができるかといわれれば、自信はありません。語っても、「でも残業代も出ずに休日も部活にいかなければならないじゃないですか」と反論されたら、それ以上は言葉に詰まってしまうかもしれません。
 アラサーの教員の皆さんは、自分の後輩に「リファラル採用」で声を掛ける気になりますか。

 

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