ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

蛙を睨む蛇

2017-04-08 07:10:01 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「ワイセツ教員の指導力」3月31日
 『女児の服脱がせ教室で撮影容疑 29歳教諭逮捕』という見出しの記事が掲載されました。記事によると、『教室内で女児児童のズボンと下着を脱がせ、ビデオカメラで撮影した』との容疑です。とんでもない教員です。懲戒免職という行政罰だけではなく、刑事罰が科されるのは当然だと考えます。
 しかしそのこととは別に、この教員の「指導力」について考えておきたいと思います。世間一般の認識では、この教員はいわゆるM教員、問題教員となります。M教員というと指導力不足というイメージをもつ人が多いですが、この教員はある意味では指導力不足どころか大変強力な指導力をもっているといえます。
 それは、記事を読む限り、この教員が物理的な力を行使して力ずくで無理矢理女児の服を脱がせたのではなく、女児に服を脱ぐよう命令して撮影に及んでいると解釈できるからです。通常、小学生とはいっても、女児に服を脱げといって素直に脱ぐことはありません。仮に保健室で体重測定や胸囲の測定、脊柱湾曲検査などの「正当な」ケースであっても、「えーっ」「どうして?」「やだー」「すけべ」などの声があがるのが普通です。まして下半身の下着を取らせるなど、女性の養護教員であっても不可能です。
 それなのにこの29歳の教員は、言うことを聞かせているのです。もちろん、教室に教員と2人きりだという状況はあったにしろ、大声を上げて助けを求めたり、走って逃げたりすることは可能であったはずです。しかし、女児はそうはしていません。おそらく、「蛇に睨まれた蛙」状態に陥ってしまったのでしょう。
 そしてより重要なのは、この教員が事前にビデオカメラを用意して撮影を意図していたと思われることです。つまり、この教員は女児に対して自分の「脱げ」という命令が有効であると確信していたはずだということになります。逃げられたり大声を上げられたりして自分の行為が発覚すれば、馘首され逮捕されることは十分に理解していたはずですから、よほどの確信がなければ、こうした「冒険」はできません。
 要するに、この教員は、「自分は子供に対して、どんな無理な命令でも従わせることができる」という自信をもった、つまり子供を思うままに動かすことを指導力と呼ぶのであれば、自分の指導力に自信をもっていたということなのです。決して「指導力不足教員」などではないのです。
 私たち教員の処分に関わる職務を担当していた者の中では、こうした教員を「指導力過多教員」と呼んでいました。問題教員にはこういう奴もいるのです

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする