ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

1年間だけやってみれば

2016-10-15 07:46:51 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「発想の転換」10月8日
 『「脱いじめ」の現在』という特集記事の第2回、『教員多忙 対策おざなり』という見出しの記事が掲載されました。その冒頭に『「いじめを定義通りに認知し、膨大な数を報告することに意義があるのか」「小学校低学年では毎日1クラスで10件以上のいじめが発生していると言える」』という現場教員からの、調査報告についての不満が紹介されていました。
 教員多忙という見出し通りに、忙しい中、いじめ防止対策推進法に基づく調査報告の問題点を指摘する声です。現場を知る者として、そしてこのブログで「軽微ないじめは全国で年間100万件を超える」と指摘してきた者として、教員たちの不満については、十分理解できます。
 しかし私はあえてここで「逆転の発想」を勧めたいと思います。学校の実情をよく知らない教育評論家たちが、いじめ問題について様々な暴論を吐いてきています。曰く「いじめは犯罪」、曰く「いじめ加害者には強制転校等の厳罰を」、曰く「いじめは教員や校長の指導力不足、認識不足による」などです。
 こうした間違った認識が広まることにより、学校や教委はかえってその対策に多大な労力を費やさなければならなくなってきているのです。教員や学校に原因を求める発想は隠蔽を生む土壌になりますし、いじめ犯罪論は99%を占める「よくある軽微ないじめ」への対応を難しくするのです。そして一律的な加害者厳罰論は、加害者とされた子供と保護者を過剰に防衛的にさせ解決を遠ざけるのです。
 こうした世間の誤った認識を是正させるために、法の定義に基づきどんな小さな「いじめ」も報告するのです。年間数百万件、一校で1000件以上といういじめ発生件数を見て、世間の人は、どうやら自分のいじめに対する認識は間違っていたらしいぞ、と気が付くはずです。そして、99%のいじめと犯罪と呼ぶべき1%以下の重篤ないじめとを分けて対策を考える必要があるということに気づくのです。それが本当のいじめ対策のスタートになるのです。
 このように述べると、私がいじめ問題を軽視しているという批判があるかもしれませんが、私の今までの主張を読んでいただければ、私は常に「子供がいじめられたと訴えた場合、すべていじめがあったのではないかと疑う立場で調査し指導に当たるべき」という立場を支持し、教員として、教委幹部として対応してきたことがご理解いただけるはずです。
  全国の教員の皆さんには、大変でしょうが、一年間、杓子定規に法を解釈して、世間の目を覚まさせてほしいと思います。

 

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