ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

些細な気遣いが

2016-10-09 07:48:37 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「もっと基本を」10月2日
 金沢赤十字病院副院長西村元一氏が、『信頼関係高める場を 医師と患者・家族の関係』という表題でコラムを書かれていました。その中で西村氏は、昔を振り返り、『医師と患者とのコミュニケーションが完全だったかどうかは分かりませんが、今よりは両社が信頼関係で結ばれていた』と書かれています。その上で「説明用紙」の在り方に触れていらっしゃいますが、私の感じ方は違います。
 私は、『患者一人一人に応じて説明用紙を作成』するか、『あらかじめきちんと細かく内容が書かれたものが用意されており、その一部に「( )」が入っていて、患者の状態に応じてカッコの中を埋めて使う形』というような部分よりも、医療スタッフの日常的なふるまいを見直すことが重要なのではないかと感じているのです。
 実は今私の母が入院しています。1か月以上にわたる長期の入院なので、看護師や介護職員などを含め多くのスタッフと接します。ある看護師は、母の検温や血圧測定、脈拍や血中酸素濃度を測るとき、「はい、138、変わりないですね」というような声を発します。一方で、何も言わず用紙に記入して立ち去る人もいます。私は、前者のような看護師の対応を目にすると、ほっとします。患者や家族は、容態を気にしています。そこで「変わりない」と知らされると安心するのです。黙って立ち去られたのでは不安が増すばかりです。
 また、私から看護師さんに声をかけることもありました。「今朝は薬飲めたのですか」と訊くと、「はい」と言って踵を返し立ち去ろうとします。私はあわててもう一つの質問をします。「あと、この口のかさぶたなんとかならないでしょうか」と。もちろん、「担当が薬を塗って対処しています」と答えてくださいます。
 しかし、このとき、「はい」ですぐに踵を返すのではなく、「はい」と言って一瞬しっかりと私の顔を見て、私がほかにも聞きたいことがあるのか待っていただけると、もっと話しやすいのです。時間にすれば1秒にも満たないくらいでいいのです。
 もちろん、看護師さんが多忙であることは分かります。甥の配偶者も看護師ですし、常識として分かっているつもりです。しかし、仮に1人の看護師が30人の患者を担当していたとしても、上記の私が望む対応をしたとして、5分と違わないのも事実なのです。
 私は看護師さんを責めているのではありません。看護師さんに対して私が望んだことは、子供や保護者が教員に対して臨むことを同じだということを言いたいのです。机間指導でただ見ているだけでなく、「きれいに書いてるね」「はやいね。もう終わったの」「これはどういう意味?」など一声かける方が子供は嬉しいものですし、見守られているという安心感、信頼感をもつでしょう。
 「~ですよ」と子供の問いに答えた後、1秒間、子供の顔を見つめ、「分かったかな?」「ほかには聞きたいことない?」というニュアンスを漂わせるだけで、子供は自分の思いを吐露しやすくなるでしょう。
 こうした日々の小さな言動が、両者の信頼関係を作る、それは患者と医療スタッフ、子供と教員、どちらにも言えることだと思います。

 

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