福島原発で東京電力の下請け会社の社員が強い放射能のある水に浸かって被爆障害を受けました。下請け。水漬け。緊急入院。このような言葉に憤る人も居ると思います。特に放射能測定器をもった東電の社員が引率していなかったのです。無責任きわまりない復旧作業と非難されても仕方がありません。被爆した3人へ心からのお見舞いの気持ちと同情をお送りします。軽い症状で終わることをお祈りいたします。
さて今回の事故にはとても危惧すべき事がありました。それは炉心格納容器内ではなく、そこから離れて独立して建っている大型発電気のある建屋の中で起きた事です。それも水の放射能は炉心や貯蔵プールにある核燃料棒のウラン酸化物に含まれている種類の放射性元素だったのです。
この事実は炉心圧力容器へ繋がる数多くの配管が発電機建屋に繋がっていて、そこから強い放射能を持つ水が漏れたのです。東電はその可能性が大きいと昨日、発表しています。これは聞くと衝撃的な事のようですが、私は昨日の新聞、今日の新聞を総合的に見て安心しました。理由は以下の3つです。
(1)文部科学省は毎日東北地方の放射線量を発表しています。昨日と今日の東北地方各地の放射能は変わりなく、安全圏内です。福島市の4.15、いわき市の1.15マイクリ・シーベルト/hour と少し高いのはいつもの通りですが、他は全て安全です。青森市、盛岡市、秋田市、山形市、仙台市、水戸市、宇都宮市、さいたま市、長野市、甲府市、東京・新宿、千葉・市原市、などなど東日本の諸都市の放射線測定値にはここ数日変化がありません。
(2)考えて見ると、大型発電機建屋の燃料棒の成分を含む水が溜まったのは過去にも有ったに違いありません。しかし原発正門わきの放射能の強さはゆっくりですが減少方向へ推移しています。原発工場では危険な現象がつぎつぎ起きていたのです。
やっと復旧体制が出来てきて、その危険な現象に気がつき出したという事だと理解できます。それと同時に復旧に日夜従事する人々の危険がどういう所にあるか分かりだした事になります。復旧作業は命懸けです。戦場と同じです。一番重要なのは小隊長です。小隊長、中隊長の指揮系統がこんどの不幸な被爆事故で出来あがると思えるのです。
(3)文部科学省は大気中の塵、土壌、雨、大気そのものの放射能を精密に測定し始めました。それもヨウ素131とセシウム137の別々にわけた測定値を発表しているのです。けさの読売新聞の30ページに測定値の表が掲載してあります。
その表は単位の表示も明確で、測定値の最高値と最低値の両方が記載されています。この表は科学的に明快な、そして厳密なものという印象を与えます。表の中の数値の意味は私には厳密には理解できませんが、ベクレル/kg やベクレル/(1立方米当たり) をマイクロ・シーベルトに換算してみるといずれも大変小さな値になるのです。
ようするに文部科学省が本気で放射能汚染を測定しはじめたという事が分かり、非常に安心しました。
以上の3つの理由で、私は福島原発は大局的には収束方向へ推移していると信じています。なお完全な安定冷却機能の復旧にはまだまだ紆余曲折があるとは思います。しかし復旧作業に従事している方々の献身的な働きがあるので必ずや完全に収束すると信じています。
福島の人々が一日でも早く安心の出来る平穏な生活に戻れますようにお祈り致します。藤山杜人