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231221 冬至、筑紫野初雪!!小津安二郎と斎藤高順、世界史上No1映画「東京物語」!

2023年12月21日 | 旧暦のある暮らし

 時節は冬至。古代では1年の始まりだったとか。1年で最も昼が短く夜が長い。これから日が伸びてゆくので1年の始まりと言うわけ。寒波襲来で当地、初雪、寒い。メダカの鉢に発泡スチロールをまきつけ寒さ対策。

BS1チャネルで金曜日までの毎日、13時から懐かしの映画が放映されている。ヒマなシニアが時間つぶしと若き時代の思い出に浸る時間として活用しているようだ。

 

たまたま新聞のテレビ欄をみると「東京物語」とあったのでテレビのスイッチをいれた。小津安二郎監督作品「東京物語」(公開70年)家族と人生のリアル抒情詩!!感銘!

以前に当ブログでDVDの小津安二郎大全集を紹介した記憶がある。だから東京物語も見るのは2回目だ。老いた父親役の笠智衆の淡々とした演技にひかれる。老夫婦が子供たちの住む東京や大阪の大都会に尾道から旅に出る。子供たちは表面上はよく来たと歓迎するがそれぞれの生活に追われて実際ははやく帰ってもらいたいという気持ち。十分接待できないものだから熱海の温泉を押し付ける。ひなびた温泉ではなく俗世界の見本みたいな温泉。

父親は旧友と再会。杯をかわすにつけ男たちは子供にたいする愚痴をこぼし始める。どこも同じ。所詮親子関係などはかないもの。一番親身に世話をしてくれたのは戦死した息子の嫁典子(原節子)、いわば血のつながっていない女性が一番親身だった。帰路に就いた老夫婦、途中老母が寝台車でたおれ次男のいる大阪で一休みし尾道にかえる。

帰ったそうそう老母がたおれ危篤の知らせが子供たちにとどく。長男の医師、手の施しようがない。大阪の次男は帰ってこない。その夜老母はなくなる。長女の美容店店主は母親の大島紬の着物はわたしに頂戴と言って葬儀あとそそくさと帰ってしまう。死に目に会えなかった大阪の次男も長男の医師も皆帰り、老親と一緒に住み地元の学校の教師をしている次女と戦死した息子の嫁のみががのこる。所詮子供たちは独立して世帯をもてば親のことなどかまっておれない。これは世の中の真理。次女は冷たいとののしる。典子は「これが人生、世の中というものよ」となだめる

たまたま夕刊をみると小津安二郎生誕120年、小津安二郎と斎藤高順、映像と音楽の美しき結合と言う記事。英国映画協会の「サイト&サウンド」誌が2012年、世界の著名な映画監督358人がえらぶ史上最高の映画ベストテンでなんとこの「東京物語」が堂々の1位をとったというのだ。

物語の冷徹なリアリズムに抒情性すら感じさせるのは笠智衆や原節子の名演に加え、場面を静かに支える高純度の映画音楽の効用だという。その音楽を提供したのが小津と同じ江東区出身の28歳の音楽家、斎藤高順。小津は当時49歳、以後の作品のほとんどを斉藤が担当したという。なるほど映画をみていて場面場面でしっくりしていて全く違和感を覚えなかったね。

懐疑的な敗戦、終戦のわずか8年後に公開、静かなタッチの中に家族と人生のリアルを叙情的に描き切った小津安二郎の隻眼には感銘の念を禁じ得ない。現代にもまったく色あせない世界一の映画ですね。


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