今週は、いわゆる「旅」では有りませんが、いま急速にフランスの社会の様相を変えつつ有る、一つのシステムをご紹介しよう。
『カー・シェアリング』
実はここ5~6年、全国の主立った町で「共有自転車システム」が開始された。
町中に、無数に有る「駐輪所」に於かれている数十台の自転車を、自由に使えるシステムである。
一日、七日、一年という会員契約(それぞれ1ユーロ70、9ユーロ、19~35ユーロ)をすれば、30分間無料でそれ以後は15分刻みで僅かな料金が派生する。
何処の駐輪所から乗って、何処の駐輪所に置いて来ても良い。
ベルギーやドイツ、更には北欧諸国と違って、フランスは自転車は「スポーツ」用の道具であり、日常の足とは見なされていなかった。
道路状況も、自転車で走るにははなはだ不便に出来ていた。
しかし、この『Vel'ib(ヴェリッブ)』の登場で、フランスのあちこちの町中を、自転車で走り回る人々が急速に増えて来た。
その「自転車」での成功により、2年程前から「電気自動車」を使った、同じ発想のシステムが始まった。
名付けて『Autolib'(オートリブ)』
パリ市の行政サービスの一環である。
100%電気で走る車で、なんと「ピニンファリーナ」のデザインなのです。
ピニンファリーナ二よるデザインの『オートリヴ』専用車
料金体系は、自転車と同じ様に会員登録料と、時間に因る課金システムで、自転車との違いは「最初の30分無料」と言うのは無い。
利用料金は、1日会員では10€+1分0,23€(30分で約7€)
1週間では登録料15ユーロ+1分0,23€、
1ヶ月(これは今年から)30ユーロ+1分0,20€(30分6€)、
1年会員は144€+0,17€(30分5€)となっている。
フル充電で250km走行が出来て、パリ首都圏47自治体での離発着ガ可能。
2011年12月5日サービス開始後の1年間で、54500会員数を獲得し、750カーパークに3台から5台ずつ程、およそ4千台ほどが利用されているらしい。
その後の半年で、台数も利用者数も増えている筈。
まず、会員登録が必要であります。
パリのオペラ座近くにショールームがあり、そこでも登録出来るが、町の要所要所に「登録用ブース」がある。
ショールームでもブースでも、専用端末でテレビカメラに映るオペレーターとやり取りして、登録する手順は同じである。
登録用ブース
登録の手順を示す案内板
登録用端末で、左側のスクリーンのオペレーターの指示のもとに、免許証をスキャンされる。
登録用端末
運転免許番号、住所氏名等を打ち込み、利用の際に必要な暗証番号を登録し、クレジットカードで登録料を払い込むと、その場から利用出来る。
1週間程で、「会員カード」と説明書が送られて来る。
会員カード
説明書(表)
説明書(裏)
それでは、実際に利用してみよう。
勿論直接でかけて行っても良いのだが、パソコンやスマホで、最寄りのカーパークに車が有るかどうか、確認する。
PC画面上のパリ市内図
最寄りの地区に拡大
数字は利用可能台数である。
そのまま、利用可能な車が有る一番便利なカーパークに、予約する事が出来る。
予約すると、30分間はその車はあなた専用で、他の人は利用出来ない様にブロックされる。
もし、30分経っても利用開始していなければ、登録してある自分のスマホか携帯にsmsで、使うのか使わないのか連絡が来る。
そのまま、利用しなければブロックされていた車は、他の誰でも使用可能になり、あなたへのキャンセルチャージ等は一切無い。
カーパーク
まずカーパークで、端末に自分のカードを接触させる。
カーパークの端末
矢印部分が「非接触型ICチップ」の読み取り口
画面のヴァーチャル・キーボードで登録されている「暗唱コード」を打ち込む。
キーボード
免許証が有効である、アルコール飲料を接種していない、など3項目の確認項目にタッチして確認する。
確認項目
それが済むと、予約してあれば「何番の車」と指示が出る。
予約していなければ、利用するかと言う確認が出て、確認すると利用可能な車の位置を示す充電ポスト番号が表示される。
車の充電ポスト
02番の車が割り当てられたら、その番号の充電ポストに繋がれている車の、運転席側の参画窓の青いランプの位置にカードを接触させると、ドアのロックが外れる。
ドアのロック解除の位置表示の青ランプ
次に、その充電ポストの上部の矢印部分にカードを接触させる。
そうすると、上蓋が開くので車の後部窓の横の充電コードのプラグを外して、ポストの中に収納する。
コードのソケット
コードは、電気掃除機のコードの様に、やや引っ張るとひとりでにポストの中に引き込まれて行く様になっている。
コードを収納させてソケットを所定の位置に置く。
充電ポストの中に納まったコードとソケット
次にドアを開ける乗り込むと、ハンドルの横から「キー」がぶら下がっているので、キーを差し込んでひねる。
ぶら下がっているキー
二度ひねるとエンジンがかかる。
しかし、電気自動車なのでアイドリング音が一切しない。
ダッシュボード上に有るスクリーンに「発信可」と表示が出れば、エンジンがかかっている。
スクリーン
スクリーン部分
この写真で、上部の表示は左が時刻、右は外気温。
中段左の大きな「N」は、ギアがニュートラルで有る事、車のデザインの中の表示は「エンジンをかけて下さい」「発進可能です」の表示。
右は充電状態。
中央下段の左は、その車のこれまでの利用回数、右は走行距離。
更に、コンソールの下に別のスクリンが有り、キーをひねると「利用者」の名前が表示され、ナビが現れる。
ナビ
ただ、このナビゲーターは道案内はしてくれないが、走って行く方向の地図が表示され、進行方向の最寄りのパークに「駐車スペース」が何台分有るかが表示される。
前もって、自分の目的地にもよりのパークに駐車スペースが有るか確認し、予約しておく事も可能。
その場合は、あなたの専用スペースが1時間キープされ、その間は他の人がその場所に車を返そうとしても、ポストが受け付けない仕組みになっている。
走行中のフロント・ヴュー
車は、ツードアの四人乗り。
内装は布張りバージョンと革張りとが存在する
内部
前席
ちなみに、トランクルームはハッチバックで、結構な容積を持っている。
折り畳み自転車を収納したトランクルーム
トランスミッションはオートマのみで、「ノーマル」「氷上走行」というモードを選択出来る。
雪のスリップし易い日には、パワーに難の有る「電気自動車」にとって、大切な装備です。
利用の最後は、目的地の最寄りの、駐車スペースのあるパークに車を乗り捨てる。
手順は、借りる時の逆。
カードでドアロック。
ポストにカードを接触させて上蓋を開け、コードを引っ張り出して車の所定の場所に差し込む。
そして、ポストの上蓋を締めると、ギリーンのランプになり、レンタル終了となる。
半ドアだったり、手順が違っていると、上蓋の上のランプが赤の点滅になる。
なにか問題が起これば、所定の番号に電話して、遠隔操作で解決してもらえる仕組みとなっている。
終了とほぼ同時に、携帯にsmsで「利用時間」と「料金」の知らせが来る。
料金は、銀行口座から自動引き落とし。
ちなみに、1年会員の登録料は、12分の1ずつ毎月引き落とされる。
smsで送られて来た利用時間と料金(この画面は二回分)
最初の利用は54分で、8,44ユーロ。
二回目は、43分で6,83ユーロでした。
途中駐車している時も料金の対象にはなる物の、タクシーより圧倒的に安い。
どうです、便利でしょう。
近くにパークが有れば、そして目的地の近くにパークが有れば、実に便利です。
1時間の利用で10ユーロ行かないのですから。
私も、多いに利用してます。
自分の車を駐車場から出して、帰って来た時に駐車スペースが有るかどうか悩まなくてて済むので、頻繁に利用し、お陰でタクシーの利用が大幅に減りました。
確実にタクシーより安いのですから。
この制度は、ドイツから始まりほぼ直後にフランスでも開始されて、各都市に広がっています。
車社会の現代において、車に対する価値観が変わりました。
カーパーク
『カー・シェアリング』
実はここ5~6年、全国の主立った町で「共有自転車システム」が開始された。
町中に、無数に有る「駐輪所」に於かれている数十台の自転車を、自由に使えるシステムである。
一日、七日、一年という会員契約(それぞれ1ユーロ70、9ユーロ、19~35ユーロ)をすれば、30分間無料でそれ以後は15分刻みで僅かな料金が派生する。
何処の駐輪所から乗って、何処の駐輪所に置いて来ても良い。
ベルギーやドイツ、更には北欧諸国と違って、フランスは自転車は「スポーツ」用の道具であり、日常の足とは見なされていなかった。
道路状況も、自転車で走るにははなはだ不便に出来ていた。
しかし、この『Vel'ib(ヴェリッブ)』の登場で、フランスのあちこちの町中を、自転車で走り回る人々が急速に増えて来た。
その「自転車」での成功により、2年程前から「電気自動車」を使った、同じ発想のシステムが始まった。
名付けて『Autolib'(オートリブ)』
パリ市の行政サービスの一環である。
100%電気で走る車で、なんと「ピニンファリーナ」のデザインなのです。
ピニンファリーナ二よるデザインの『オートリヴ』専用車
料金体系は、自転車と同じ様に会員登録料と、時間に因る課金システムで、自転車との違いは「最初の30分無料」と言うのは無い。
利用料金は、1日会員では10€+1分0,23€(30分で約7€)
1週間では登録料15ユーロ+1分0,23€、
1ヶ月(これは今年から)30ユーロ+1分0,20€(30分6€)、
1年会員は144€+0,17€(30分5€)となっている。
フル充電で250km走行が出来て、パリ首都圏47自治体での離発着ガ可能。
2011年12月5日サービス開始後の1年間で、54500会員数を獲得し、750カーパークに3台から5台ずつ程、およそ4千台ほどが利用されているらしい。
その後の半年で、台数も利用者数も増えている筈。
まず、会員登録が必要であります。
パリのオペラ座近くにショールームがあり、そこでも登録出来るが、町の要所要所に「登録用ブース」がある。
ショールームでもブースでも、専用端末でテレビカメラに映るオペレーターとやり取りして、登録する手順は同じである。
登録用ブース
登録の手順を示す案内板
登録用端末で、左側のスクリーンのオペレーターの指示のもとに、免許証をスキャンされる。
登録用端末
運転免許番号、住所氏名等を打ち込み、利用の際に必要な暗証番号を登録し、クレジットカードで登録料を払い込むと、その場から利用出来る。
1週間程で、「会員カード」と説明書が送られて来る。
会員カード
説明書(表)
説明書(裏)
それでは、実際に利用してみよう。
勿論直接でかけて行っても良いのだが、パソコンやスマホで、最寄りのカーパークに車が有るかどうか、確認する。
PC画面上のパリ市内図
最寄りの地区に拡大
数字は利用可能台数である。
そのまま、利用可能な車が有る一番便利なカーパークに、予約する事が出来る。
予約すると、30分間はその車はあなた専用で、他の人は利用出来ない様にブロックされる。
もし、30分経っても利用開始していなければ、登録してある自分のスマホか携帯にsmsで、使うのか使わないのか連絡が来る。
そのまま、利用しなければブロックされていた車は、他の誰でも使用可能になり、あなたへのキャンセルチャージ等は一切無い。
カーパーク
まずカーパークで、端末に自分のカードを接触させる。
カーパークの端末
矢印部分が「非接触型ICチップ」の読み取り口
画面のヴァーチャル・キーボードで登録されている「暗唱コード」を打ち込む。
キーボード
免許証が有効である、アルコール飲料を接種していない、など3項目の確認項目にタッチして確認する。
確認項目
それが済むと、予約してあれば「何番の車」と指示が出る。
予約していなければ、利用するかと言う確認が出て、確認すると利用可能な車の位置を示す充電ポスト番号が表示される。
車の充電ポスト
02番の車が割り当てられたら、その番号の充電ポストに繋がれている車の、運転席側の参画窓の青いランプの位置にカードを接触させると、ドアのロックが外れる。
ドアのロック解除の位置表示の青ランプ
次に、その充電ポストの上部の矢印部分にカードを接触させる。
そうすると、上蓋が開くので車の後部窓の横の充電コードのプラグを外して、ポストの中に収納する。
コードのソケット
コードは、電気掃除機のコードの様に、やや引っ張るとひとりでにポストの中に引き込まれて行く様になっている。
コードを収納させてソケットを所定の位置に置く。
充電ポストの中に納まったコードとソケット
次にドアを開ける乗り込むと、ハンドルの横から「キー」がぶら下がっているので、キーを差し込んでひねる。
ぶら下がっているキー
二度ひねるとエンジンがかかる。
しかし、電気自動車なのでアイドリング音が一切しない。
ダッシュボード上に有るスクリーンに「発信可」と表示が出れば、エンジンがかかっている。
スクリーン
スクリーン部分
この写真で、上部の表示は左が時刻、右は外気温。
中段左の大きな「N」は、ギアがニュートラルで有る事、車のデザインの中の表示は「エンジンをかけて下さい」「発進可能です」の表示。
右は充電状態。
中央下段の左は、その車のこれまでの利用回数、右は走行距離。
更に、コンソールの下に別のスクリンが有り、キーをひねると「利用者」の名前が表示され、ナビが現れる。
ナビ
ただ、このナビゲーターは道案内はしてくれないが、走って行く方向の地図が表示され、進行方向の最寄りのパークに「駐車スペース」が何台分有るかが表示される。
前もって、自分の目的地にもよりのパークに駐車スペースが有るか確認し、予約しておく事も可能。
その場合は、あなたの専用スペースが1時間キープされ、その間は他の人がその場所に車を返そうとしても、ポストが受け付けない仕組みになっている。
走行中のフロント・ヴュー
車は、ツードアの四人乗り。
内装は布張りバージョンと革張りとが存在する
内部
前席
ちなみに、トランクルームはハッチバックで、結構な容積を持っている。
折り畳み自転車を収納したトランクルーム
トランスミッションはオートマのみで、「ノーマル」「氷上走行」というモードを選択出来る。
雪のスリップし易い日には、パワーに難の有る「電気自動車」にとって、大切な装備です。
利用の最後は、目的地の最寄りの、駐車スペースのあるパークに車を乗り捨てる。
手順は、借りる時の逆。
カードでドアロック。
ポストにカードを接触させて上蓋を開け、コードを引っ張り出して車の所定の場所に差し込む。
そして、ポストの上蓋を締めると、ギリーンのランプになり、レンタル終了となる。
半ドアだったり、手順が違っていると、上蓋の上のランプが赤の点滅になる。
なにか問題が起これば、所定の番号に電話して、遠隔操作で解決してもらえる仕組みとなっている。
終了とほぼ同時に、携帯にsmsで「利用時間」と「料金」の知らせが来る。
料金は、銀行口座から自動引き落とし。
ちなみに、1年会員の登録料は、12分の1ずつ毎月引き落とされる。
smsで送られて来た利用時間と料金(この画面は二回分)
最初の利用は54分で、8,44ユーロ。
二回目は、43分で6,83ユーロでした。
途中駐車している時も料金の対象にはなる物の、タクシーより圧倒的に安い。
どうです、便利でしょう。
近くにパークが有れば、そして目的地の近くにパークが有れば、実に便利です。
1時間の利用で10ユーロ行かないのですから。
私も、多いに利用してます。
自分の車を駐車場から出して、帰って来た時に駐車スペースが有るかどうか悩まなくてて済むので、頻繁に利用し、お陰でタクシーの利用が大幅に減りました。
確実にタクシーより安いのですから。
この制度は、ドイツから始まりほぼ直後にフランスでも開始されて、各都市に広がっています。
車社会の現代において、車に対する価値観が変わりました。
カーパーク
自転車は相当前から有り、日本から参りましたお友達が、随分利用致しました。しかし車とは・・・、凄く良いアイディアですね。
日本ではガソリンスタンドで、1日(多分)2千円台で貸しております。今の若者は車を購入する人が少ないとか、ドライブしたい時に、借りれば、駐車場の心配もいりませんし、大変便利だ、と思って居りましたら、もっと便利な事が・・・。しかし日本では多分無理ですね。その様な場所が無いと思うのです。タクシー感覚で乗り捨てられるのには、本当に魅力。しかもお安ければ。^^
このシステムは、あっという間に支持されて成功しました。
ただ、日本でやったらもっと奇麗に使うだろうなあ、と言う気がします。
あとは、目的地の近くに乗り捨てられるかどうか、ガ唯一の弱点かも。
でも、概ね上手く機能してますよ。
私も車好きなので、自分の車は手放しません。
特に長距離には、この手の小さな電気自動車は無理ですし、あくまで自転車代わり、タクシー代わり、と言う所です。
東京は町として大きすぎるので、やるなら「区」単位で始めるのが良いかもと思います。
肝心な事は、ステーションを一度に沢山作る必要が有る、と言う事に尽きると思います。
幾ら使用料が安くても、乗り降りの場所が少なかったり不便な場所だったりでは、上手く行かないでしょうね。
車離れが進む
車がただの道具になる
クズだね