高橋洋一ツイッター(10月7日)
>内部留保課税はこの程度の話だが、賃金を上げたければ、もっと金融緩和をして、失業率を構造失業率(オレの推計では2%半ば)まで下げればいい。そうなると、半年から1年後に賃金は急上昇する。
【党首討論会詳報(6)】安倍晋三首相、加計問題で朝日新聞に皮肉「加戸守行前愛媛県知事や八田達夫氏の証言をもう少したくさん載せてほしい」(産経ニュース 2017.10.8 18:23)
>「基本的に金融政策についてはですね、2%という物価安定目標については、私と(日銀総裁の)黒田(東彦)さんで政策協定をしておりますが、どのような手段を使ってそれを達成し、その後出口戦略に向かっていくかという中身については、当然世界的な常識でありますが、日銀の中央銀行の総裁に任せているということでございます」
安倍首相と高橋洋一氏がどれだけ話をしているか知りませんが、高橋洋一氏は安倍首相の経済政策のブレーンの一人ですよね?二人の発言をつきあわせてみると、どうも安倍政権は物価目標に関しては中央銀行の領分で今のまま、あるいはもっと金融緩和しようとしているということになります。高橋氏はより積極派ですが、安倍首相は総裁任せと言っており黒田総裁が最近それほど強気でないことを考えると、あるいは安倍首相は高橋洋一氏ほど強気ではなく、物価はそうそう上がらないと考えているように見えなくもありません。今度の選挙でアベノミクスの看板を少子高齢化に持ってきたことからもそれが伺えます。
高橋洋一氏の経済政策はこれまで見たところ、日本はそれほど特殊でなくもっと世界標準の考え方を日本に適用していこう派ですね。世界の常識=金融緩和で雇用確保・賃上げ・物価上昇の図式は正しく、上手くいかないならもっとやれと考えているように見えます。
先日本屋で見かけて経済の本「東京五輪後の日本経済 元日銀審議委員だから言える」(小学館 白井さゆり教授)を買ったのですが、大分、日本特殊論で金融緩和を一定程度評価するものの、金融緩和を続けても物価目標の達成は難しいという意見のようです。まだ金融緩和関連のところを見ただけでこの本の一部しか見ていない訳ですが、日本は人口構造的に今のままでは厳しいのではないかという意見のようですね。黒田総裁はどうもこうした意見に傾きつつあるように見えなくもありません。
筆者はどちらかと言えば白井氏よりかもしれませんが、どちらの意見も大事なことを見落としているように思っています。賃上げを決断するのは結局は経営者だと思うんですが、日本の経営者のマインドの問題が抜け落ちてないですかね?白井氏の本を読むと日本の経営者は消費者の行動を見て合理的に判断していることになっているように見えます。筆者に言わせれば果たしてそうだろうか?ですね。
これは筆者の個人的な体験ですが、時間が来たので仕事を切り上げようとしたところ、上司に混雑時にお客様の目の前で仕事を切り上げようとするのはお客様目線を忘れていると指摘されました(客商売です)。なるほどそれは正論です。だがちょっと待ってほしい。これからは残業代出ないって話をつい先日されましたよね?更に言えば、筆者が疑問に思って確認したところ、年末の繁忙期も残業代出ないよ宣言をして、筆者は特に抗議はしませんでしたけれども、率直に言って背筋が寒くなりました。今の上司は今までの上司と違うところを見ていて(客商売だからお客様目線を大事にしている)、優秀なところがあると思いますが、とにかくお金の話に関して判断・考えが最悪だなと正直思います。会社の上層部の指示があるから仕方ないっちゃ仕方ないと思いますが、仕事をふって金を払わないという指示が眉ひとつ動かさずに出せるところが鬼畜やなと思わざるを得ません。過労死の話やサービス残業の話、賃金が上がらない話は日本の何処にでも転がっていますから、まぁ日本の会社あるあるなんでしょう。ですが、お客様目線が重要だから残業代を払ってでも接客を重視するとか、繁忙期(稼ぎ時)だからみんなに働いてもらってその分給与を出そうなら分かりますよ?あるいは残業代を出したくないから少々お客様目線は犠牲にしてもいいとか、繁忙期に仕事のクオリティを保たないでいいから残業代は出さないよならまだ分かります(仕事の総量が増えてクオリティを保ち労働時間を一定に収める方法はこの世に存在しません)。一体全体この会社の経営方針はどうなっているんだ?ですよね。必要な仕事を保つために賃金が払えない経営者がこの日本に多いとすれば、幾ら金融緩和しても中々効果でないナ~となるに決まってますよね。それだけが原因でもないんでしょうが、サービスを価格に転嫁できない経営者が多いことか思うように日本の賃金が上がらない原因ではないでしょうか?うちだけサービス価格を上げたら~と考えるのは無理もないですが、いや業界皆似たようなもんでしょ?としか言いようがありませんよね。まぁ筆者もこれが仕事だ!と思ったらサービス残業をもりもりする一種の社畜脳ですから、サービス残業は敵だ!みたいなことを言う資格もないんですが、兎に角、こんな経営判断がまかり通るようでは、金融緩和もロクに効かんよと指摘せざるを得ませんね。人口構造もあるでしょうが、日本の特殊構造は経営判断にもありそうです。働き方改革で仕事時間を常識的にするのはまぁいい(みんな定時じゃたちまち日本の活力は無くなると思いますが)。でも結果は、合理的に考えて必要な仕事を残して不要な仕事を切るとか、サービス残業を撲滅して総所得が増えるというような方向に進まないかもしれません。必要な仕事を残して残業代は払わないか、必要な仕事を切って残業代を払わないかどちらかになるかもしれませんよね。何が収益を生む労働で何が収益を生まない労働なのか日本の経営者は考えていない人が多いのかもしれません。筆者がこれは儲かるだろ?クオリティを保つために必要だろ?みたいな仕事をしてもその部分が評価されていないことに驚くことがあります。働き方改革も過渡期で最終的に落ち着くところに落ち着く可能性はありますが、ひょっとして分かってないんじゃないの?気付いてないなら分かった上でもう一度考えて欲しいと思った次第です。
高橋氏も白井氏も経営者の話を聞いたりはするんでしょうが、人は自分に都合の悪いことはわざわざ話さないんでしょうし、民間企業で働いた経験がないようですから、こういう発想が抜け落ちるんでしょうね。政治家も官僚も大学教授も経団連のお偉方もエスタブリッシュメントのお偉方はわりと似た経歴になるんでしょうから、こういう盲点に気付かず、何時までも明後日の方向に向かって議論して成果でないな?と言っているように見えなくもありません。
経営者が朝早く来て掃除の類の話も考えてみれば全然美談じゃないですからね・・・。ましてや従業員にちょっと早くこさせて始業前に雑用をやらせるの類の話も問題でしょう。掃除はお金を払って掃除屋に頼むか、給与を払って従業員にやらせるかしかありません。給与の高い職業は前者、給与が低い職業は後者もありでしょう。隙あらばタダ働きさせようなんて経営者がいるからホワイトカラーエグゼンプションガーの話も出るんですが、じゃあみんな定時がいいかというと、突発的な仕事に残業代も出せない?繁忙期に残業代も出せない?ってなります。
ガラパゴス経営で技術を開発したはいいが収益に結び付けられなかったの話も技術を金にどう結びつけるか考えていなかったんでしょうし、経営者がどう儲けるか総合判断できないと危ういぞって思いますね。経営者が収益の源泉は何か考えて考え過ぎることはないですよね。そこが分かれば、その源泉を維持発展するためどうするか分かって、必要な人を集めよう、集まらないなら賃金を上げようとなると思います。
華為技術40万の話がありましたが、外資は日本市場でも日本企業より出す傾向にあるんですよね?日本もやってやれないことはないはずです。外資相手に日本が優遇制度を設けているとは聞きませんから、完全にこれは経営判断の問題です。
更に指摘すれば、終身雇用制度と少子高齢化の相性が悪い。市場が縮小することが分かっていて雇用を維持しろとなれば、誰だって給与出せないぜってなりますよね。この辺は経営者に大いに同情しますが、残念ですけれども、この日本的慣行は曲がり角ではないですか?少子高齢化が明日解消することはないですからね。市場の縮小にあわせて柔軟に人を減らせることが可能であれば、何も内部留保をためたりする必要もなくなりますし、人が募集して来ないなら仕事を畳むかに歯止めが効きます。仕事があるなら給与を上げて人を呼び、仕事が無くなれば解雇して縮小していく。これができることが予測されていれば、不合理過剰に賃金上げを渋ることが無くなってくるのではないでしょうか?ただこれも過渡期かもしれませんね。給与上がりすぎで再雇用みたいな動きは結構進んでいるみたいですから、ただそれだけだとどうも気分が縮小気味になります。給与ガクっと下がるぐらいなら、活気のある別業界に移るものありかと(同業界だと解雇された人がより高い条件でって話はまずないでしょうから)。その辺の話も終身雇用制神話が崩壊しないと進まない可能性もあります。会社で身に着けた技術でベンチャーを立ち上げるの類の話も終身雇用制が崩壊した方がやりやすい。末端がこれいいだろ?っと思っても中々上層部まで話はいかないんでしょうし、ハイリターンがないベンチャーというのも???でしょう。兎も角市場が縮小することが分かっていて人減らしができない前提は上手くいかないと思いますね。市場の縮小にあわせて給与が縮小する以外答えがありませんから。これが市場の縮小にあわせて人員の縮小ができるだと変わってきます。だって一人当たりの給与下げなくていいですもんね。勿論解雇された人は大体給与は下がるんでしょうが、経営者が給与下げる以外ないと判断していることが問題です。儲かっていても賃金上げられないマインドこそが金融緩和の後押しがあっても賃金上がらないの一因ではないですか?
もうひとつ指摘すれば、以前指摘した人手不足すぎる業界ですよね。この辺は批判はありますが、外国人労働者がいれば仕事を畳まず経営を続ける経営者が出てくる可能性は結構あると思います。給与上げで対応したら市場が縮小する中、破綻すると判断して金がある内に守りに入って畳んでしまうと、良い投資先も無い日本では結局死んだ金が増えるというのがこれまでの流れなのではないですか?外国人労働者じゃなくてもIT教育の推進でIT技術者を増やせば人手不足は解消されていきます。そのためには企業の待遇改善をセットにする必要もありますよね。しつこいようですが、華為技術が40万で人を募集できるなら、日本企業ももっと良い待遇で人を募集できるはずです。また終身雇用神話が無くなって、転職市場が活性化すれば、人手不足業界に少なからず人が流れるでしょう。募集をかけても人が来ないなら総所得が増える道理がありません。
アメリカは今結構好景気(経済成長とかまだ力強い)ですよね?日本より少子高齢化は進んでいないのも一因でしょうが、それだけではないと思います。労働者の権利が強くサービスの対価が払われているとか、終身雇用制がなく市場にあわせて経営ができることもその原因であるように思いますが、如何でしょうか?
まだ論点はあるんですが、本日はここまでとします。政治の領分じゃないですし、まぁいいかでわりと細かく書いてしまいましたね。これは一例ですが、こんな感じで安倍政権信任後に経済政策の記事を増やしていくつもりです。明日からは外交安全保障や選挙に戻りたいと思っていますが、思いついたら思いついた時でもうちょっと寄り道もするつもりです。現在4時になってしまいました。頑張りすぎですね。それでは。