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てらまち・ねっと



 第3次安倍内閣が誕生した。閣僚も一人以外は留任、というから、やっぱり、何のための選挙だった?? そんな気持ちが改めて湧く。
 そこで、いろいろな意見をみてみた。それなりに面白かった報道から、気になった文脈などを抜き出してみた。2年後の参院選のときに、また解散して同日選挙で衆参とも2/3をとる、それで改憲の実現・・、そために毎日ひたすらアベノミクスと唱える・・・など、これからの安倍内閣の進み方が見えてくる気がしたので、長めの「整理」になった(後に行くほど、印象が強かった順にしてある)。

 ◆毎日新聞 ★≪再来年の参院選などもにらみ、首相が改憲を具体的日程に乗せようとしているのではないか、との見方が政界には根強くある≫

 ◆時事通信 ★≪政治評論家の森田実さんの話 「これで何でもできる」というおごりや緊張感の欠如がにじみ出ている。景気を回復させ、生活をよくするような結果を出せなければ国民の空気は一変し、1年半後の参院選で安倍内閣は吹き飛ぶだろう。経済再生に全力を注ぐのが国民との約束のはずだ。憲法改正や安全保障法制など「戦後レジームからの脱却」は棚上げすべきだ。≫

 ◆時事通信 ★ ≪高作正博関西大法学部教授(憲法学)の話 選挙中は前面に出していなかった改憲への意欲が改めて示された。改憲を「自民党の結党以来の悲願」と言ったが、社会全体の悲願と誤解してはいけない。≫

 ◆ブロゴス 田原総一朗インタビュー/安倍政権が表に出さない「本当の目標」
★≪安倍首相にとって、今度の解散・総選挙の本当の目的は、4年間の時間を確保することだった。いまから次の総選挙まで4年間の時間を確保して、第一次安倍内閣のときからの悲願である「戦後レジームからの脱却」を完成させるのが狙いだ。4つの柱、1つ目は東京裁判の事実上の見直し、2つ目は憲法改正、3つ目は対米従属からの脱却、4つ目が教育基本法の改正。自民党は総選挙で「戦後レジームからの脱却」をテーマにしないで、「経済、経済」で押し通した。そして、その作戦がまんまと成功した。
 衆院選では大勝したが、これからしばらくは、この「本当の目標」を表に出さないだろう。まだ、先に参議院選挙が控えているからだ。参院選で6割以上の議席を確保するまでは、表に出さないと思う。≫

 ◆現代ビジネスの≪「総理が描いていたのは、今回の総選挙では議席数を維持した上で任期を延ばし、次の衆参ダブル選で一気に両院3分の2を取りに行くという計画≫が一番面白かった。
 タイトルは、≪安倍首相「小泉進次郎が邪魔だな」。誰が敵か、はっきりわかった。総選挙内幕レポート「291議席圧勝」の全舞台裏≫

 ★≪安倍総理はもちろん、他の自民党議員を引き離して圧倒的な人気を誇る進次郎氏は、強力な集票マシーンになる。だが裏を返せば、彼の露出が増えれば増えるほど、国民の期待は安倍総理ではなく、進次郎氏へと傾いてゆくのだ。≫

 ★≪そんな総理の「サプライズ」が、あと二つ残っている。一つ目が「2016年7月、衆参ダブル選挙」である。知っての通り、憲法改正発議には、衆参両院の3分の2以上の同意が必要だ。前出の有馬氏が言う。参議院で議席を増やすには、単独選挙では限界。来年4月の統一地方選挙が、この衆参ダブル選の足場を固める前哨戦となる。≫
 ≪毎日ひたすらアベノミクスと唱え、株価上昇に力を注ぎ続けるのも、すべてはこの瞬間のためだ。総理にとって経済政策は目的ではなく、手段にすぎない。≫
 ≪憲法改正を問う衆参ダブル選は、戦後日本最大のバクチになる。それを乗り切れば、安倍総理はすぐさま第二のサプライズ「電撃国民投票」を発動するだろう。国民投票を行い、過半数が賛成すれば憲法は変わる。≫
 ≪もし今後、安倍総理が強引に憲法改正を進めようとするなら、間違いなく進次郎氏は総理に異を唱え、政権に反対する人々の拠り所になるだろう。総裁選、衆参ダブル選の双方で進次郎氏を抑えられなければ、総理の野望は崩れる。≫

 ところで、今日は自宅仕事をこなし、あと午後4時の名古屋高裁の判決言渡を受けてくる。 (23日のブログ ◆選挙ポスター水増し詐欺・住民訴訟 結審直前に300万円自主返還/12月25日16時 名古屋高裁判決

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●社説:第3次安倍内閣 異論に耳傾ける政治を
      毎日新聞 2014年12月25日
 第3次安倍内閣が発足した。衆院選で与党が3分の2以上の多数を制した安倍晋三首相は長期政権をにらみ、新たなスタートを切った。

 「経済」を争点に掲げ選挙を戦った以上、首相は政権の使命をはき違えず着実に国民に成果を示す必要がある。2年にわたる政権運営で生じたひずみの点検も欠かせない。1強構図を強める首相と緊張感を持ちつつ対峙(たいじ)できるか、政党もまた与野党を通じ力量が問われよう。

 17閣僚が再任され、継続性を意識した布陣となった。あえて衆院解散で民意を問い政権を維持しての組閣だ。自民党1強の下、首相の力が一段と強まる構図と言える。

 ◇政策のひずみ検証必要
 それだけに、経済政策で決め手を欠いていた成長戦略は今度こそ中央官庁のタテ割りを排し、農業などの構造改革に本腰を入れる時だ。首相は記者会見で経済を最優先する姿勢を強調した。新たな民意の負託で得た力を注いでもらいたい。

 一方で避けられないのは、2年にわたる経済政策の検証である。確かに株価は上昇したが、頼みのアベノミクスも実際には成果どころか、国内総生産は2四半期連続でマイナス成長を記録、円安に伴う物価上昇など負の側面も目立ち始めている。

 とりわけ、格差の固定化が社会をむしばむ現実を直視すべきだ。国民の貧困率は過去最悪の水準で、生活保護受給者も200万人を超す。母子、単身、高齢世帯が置かれる状況はことのほか厳しい。「富めるものが富めば、富はしたたり落ちる」というトリクルダウン理論に基づく政策が本当に成長をもたらすか、冷静に再考すべき段階だろう。

 首相の1強構図がもろ刃の剣であることも指摘したい。

 昨年の参院選で衆参のねじれが解消したことを境に、安倍内閣は国政選挙の公約で自民党が正面から掲げなかった政策を遂行するケースが目立ってきた。特定秘密保護法制定や、集団的自衛権行使を可能とする憲法解釈の変更などは今も国民の幅広い理解が得られたとは言えまい。

 だからこそ衆院選で主要争点として問わなかったことに首相は慎重でなければならない。自身が悲願とする憲法改正について首相は記者会見で国民投票による実現に向け「国民的な理解を深める努力」を改めて強調した。再来年の参院選などもにらみ、首相が改憲を具体的日程に乗せようとしているのではないか、との見方が政界には根強くある。

 だが、改憲のテーマすら収れんしない中、早急にテーブルに載せる環境が整うかは疑問だ。首相が積極的だった96条改正による改憲手続きの緩和論議も沈静化した。憲法を論じることは大切だが、内外の課題が山積する中でいたずらにエネルギーを費やすべきではあるまい。

●憲法改正、国民投票を重視=社会保障削減やむを得ず—安倍首相
      ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 2014 年 12 月 24 日 22:50 [時事通信社]
 安倍晋三首相は24日夜、第3次内閣の発足を受けて首相官邸で記者会見した。憲法改正について「大切なことは国民投票で過半数の支持を得ることだ」と指摘した上で、「どういう条文から国民投票を行うのか、その必要性等について国民的な理解を深める努力をしたい」と述べ、在任中の改憲に強い意欲を示した。

 改憲に関し、首相は「そう簡単なことではない」と認め、「まず3分の2の多数を衆参両院でそれぞれ構成する必要がある。その努力を進める」と表明。その上で、国民投票について「ここがまさに正念場であり、これこそが憲法改正の一番大切なポイントだ」と強調した。

 首相は、消費税率10%への引き上げを2017年4月に延期する方針を決めたことに関し、「社会保障の充実を可能な限り、予定通り実施する」と述べ、財源不足から社会保障サービスの削減はやむを得ないとの認識を示した。 

●集団自衛権も民意?=第3次内閣発足で識者に聞く
       時事(2014/12/24-22:59)
 第3次内閣を発足させた安倍晋三首相は24日、集団的自衛権の行使を可能にする安全保障法制を整備する考えを改めて強調し、悲願の憲法改正について「公約に明記した。国民的理解を深める努力をしていきたい」と意欲を示した。経済政策「アベノミクス」の成果を掲げた衆院選では与党が圧勝したが、国論を二分する憲法問題でも民意を得たと言えるのか。識者に聞いた。
 
◇首相の姿勢、当たり前
 漫画家の黒鉄ヒロシさんの話 集団的自衛権行使のための法整備や憲法改正を目指すのは当たり前のことで、安倍首相は変なことは言っていない。異論を唱える余地がない。自民党は結党以来、憲法改正を党是としてきた。その党に多数の票が入ったのだから、そういう方向に行くのは自然なことで、粛々と進めてほしい。応援してあげたらどうか。これまでの日本が普通の国のスタンスからずれていた。明治以来の独立自尊に戻るだけだ。

◇経済再生に専念を
 政治評論家の森田実さんの話 安倍首相の表情や発言内容から、「これで何でもできる」というおごりや緊張感の欠如がにじみ出ている。自民党は、経済政策を積極的に主張しなかった野党の自滅で勝利しただけだ。景気を回復させ、生活をよくするような結果を出せなければ国民の空気は一変し、1年半後の参院選で安倍内閣は吹き飛ぶだろう。経済再生に全力を注ぐのが国民との約束のはずだ。憲法改正や安全保障法制など「戦後レジームからの脱却」は棚上げすべきだ。
 
◇改憲進めるには謙虚さを
 高作正博関西大法学部教授(憲法学)の話 選挙中は前面に出していなかった改憲への意欲が改めて示された。確かに景気回復に対する有権者の期待はあったが、その他のテーマへの関心の薄さが低投票率となって表れており、民意という正当性を得たわけではない。衆院で3分の2の議席を得たからこそ、安倍内閣には異論に真摯(しんし)に向き合う謙虚さが求められる。改憲を「自民党の結党以来の悲願」と言ったが、社会全体の悲願と誤解してはいけない。改憲論議を進めたいのなら、情報公開した上で自由な議論が不可欠だ。

●安倍政権が表に出さない「本当の目標」~田原総一朗インタビュー
            ブロゴス 田原総一朗2014年12月24日
 衆議院総選挙は、自民・公明の与党の圧勝に終わり、安倍内閣が引き続き政権を担うことが決まった。田原総一朗さんは今回の選挙をどう見ているのだろうか。衆院選後にインタビューして、分析してもらった。【大谷広太(編集部)、亀松太郎】

総選挙の目的は「4年間の時間」を確保すること
今度の総選挙は、野党もマスコミも、安倍首相の作戦にまんまと乗せられた。

安倍首相は衆議院を解散するとき、来年10月から実施する予定だった消費税の増税を18カ月先延ばしにするのはとても大事な問題なので国民に信を問う必要がある、と言った。

そのため、野党もマスコミも、今度の総選挙は「アベノミクスの成果」を問う選挙だ、となった。その結果、選挙の争点は「経済、経済」となったが、これは、安倍首相の作戦に乗せられたということだ。その作戦は成功して、自民党は291議席という、ほぼ狙い通りの議席を獲得できた。

安倍首相にとって、今度の解散・総選挙の本当の目的は、4年間の時間を確保することだったと思う。いまから次の総選挙まで4年間の時間を確保して、第一次安倍内閣のときからの悲願である「戦後レジームからの脱却」を完成させるのが狙いだ。

実は、第二次安倍内閣になってからは、「戦後レジームからの脱却」と言わなくなった。なぜかというと、それには国家の問題や安全保障の問題、憲法の問題がからんできて、こういうことを言い出すと支持率が落ちるからだ。

第二次安倍内閣では、こういうことを言わないで、もっぱら「経済、経済」「景気、景気」と言ってきた。これは菅官房長官らの作戦だったと思うが、それが成功した。

「戦後レジームからの脱却」の4つの柱
では、「戦後レジームからの脱却」とはなにか。僕は4本の柱があると思う。

1つ目は、東京裁判の事実上の見直し。東京裁判は、日本の昭和の戦争が侵略戦争だったと決めつけ、A級戦犯を逮捕・起訴し、裁いた。その結果、7人が処刑された。この東京裁判で作られた「東京裁判史観」を変えたいというのがある。

なぜこれを変革したいかというと、靖国問題に結びついているから。安倍首相やその周辺の人々は靖国参拝を正当化したいのだが、そのためには、東京裁判史観を変えるしかないということだ。

2つ目は、憲法改正。いまの憲法は1946年、日本がまだ占領下にあったときに作られたが、安倍首相は「米軍が作り、押し付けた憲法だ」と考えている。

この憲法には、日本の「民主化」と「弱体化」という2つの狙いがあった。言論・表現の自由や結社の自由、宗教の自由といった基本的人権の尊重や、主権在民、男女同権を明記し、日本の「民主化」を進めたのは良かったが、日本の「弱体化」というのは問題だった。その根本として、憲法9条がある。

憲法9条は、日本が軍隊を持たないことを前提にしているが、その後、日本は自衛隊を発足させた。その結果、いまの憲法下では、自衛隊が非常にあいまいな存在になっている。この憲法9条を改正して、日本を「戦争のできる国」にする。それが安倍首相の目指すところだ。

3つ目は、対米従属からの脱却。いまの日米安保条約は片務条約で、日本が危機に陥ったときにアメリカが日本を救うことになっているが、逆にアメリカが危機に陥ったときに日本は何もしないというルールだ。

そのため、戦後の日本はずっと対米従属でやってきた。つまり、アメリカの言うことは何でも聞き、主体的な外交戦略をもたないというスタイルだ。これを変えて、日本とアメリカを対等に近い関係にしたい。そのためには、憲法を改正して日本をもう少し強い国にしようというのが、安倍首相の考え方だ。

4つ目が、教育基本法の改正。これも、憲法と同じく、占領下の日本にアメリカが押し付けた法律という側面がある。そして、その内容は、国民の権利や自由が強調されていて、国家や家庭に対する義務や責任が希薄という特徴がある。この辺を作り直したいということだ。小中学校での道徳の正式教科化はその一貫といえる。

「本当の目標」を前面に出すと、国民に受け入れられない
このような4本の柱からなる「戦後レジームからの脱却」。これを本格的にやるために、安倍首相は4年間の時間を確保することに成功した。

今回の総選挙では、この「戦後レジームからの脱却」とほぼ同じ内容を正面から訴えた「次世代の党」が惨敗した。やはり、この問題を前面に出すと、国民には受け入れられないということだ。

だからこそ、自民党は総選挙で「戦後レジームからの脱却」をテーマにしないで、「経済、経済」で押し通した。そして、その作戦がまんまと成功した。

衆院選では大勝したが、これからしばらくは、この「本当の目標」を表に出さないだろう。まだ、先に参議院選挙が控えているからだ。参院選で6割以上の議席を確保するまでは、表に出さないと思う。

野党やマスコミは相当しっかりしないと、安倍政権にしてやられてしまう可能性がある。 

●安倍首相「小泉進次郎が邪魔だな」。誰が敵か、はっきりわかった。総選挙内幕レポート「291議席圧勝」の全舞台裏 
        現代ビジネス 経済の死角 2014年12月24日(水) 週刊現代
目立ちすぎる、人気がありすぎる、しっかりしすぎる
進次郎が喋れば喋るほど、国民の注目が集まり、自民党の好感度は上がる。しかし、安倍総理はどんどん霞んでゆく。このジレンマをどうするべきか—今回の選挙で、総理はひそかに決意した。

アイツは「両刃の剣」 「国民から信任を頂いた」
衆院選の開票が進み、大勢が判明した14日深夜。安倍総理は自民党本部に詰めかけた記者たちの前で、こう述べて満面の笑みを浮かべた。すべて、総理の目論見通りに事は進んだのだ。
・・・・・・(略)・・・
しかし開票の夜、党本部の開票センターで安倍総理や谷垣禎一幹事長が当選者の名前にバラをつける傍らで、安倍総理に近いある自民党ベテラン議員は、こうつぶやいていた。

「これは、総理にとっては難しくなるな—」
選挙に勝ったとはいえ、これから待ち受ける「政局」で勝てるとは限らないのだ。

とりわけ、党内の「安倍派」が危機感を強めたのが、各局の選挙特番に文字通り「出ずっぱり」だった、小泉進次郎復興政務官の発言の数々だった。

「すでにやってきたことを声高に言い続けるよりも、むしろ(アベノミクスの恩恵の)実感がないという人たちに、何を訴えるのか。アベノミクスの先にあるものは、いったい何なのか」

「福島県内の原発は、全基廃炉にする。これは忘れちゃいけない」

アベノミクスの「功績」ではなく、「その先」を問いかける。安倍総理が、選挙戦の中で決して触れることがなかった原発の問題について、堂々と「廃炉」を口にする—。改めて力を見せつけた安倍総理の意向を、一切関知しない歯切れの良さ。
多くの視聴者は、「自民党をぶっ壊す」と叫んだ彼の父・小泉純一郎元総理の面影を重ねたはずだ。

安倍総理にとって、進次郎氏はいわば「両刃の剣」である。安倍総理はもちろん、他の自民党議員を引き離して圧倒的な人気を誇る進次郎氏は、強力な集票マシーンになる。だが裏を返せば、彼の露出が増えれば増えるほど、国民の期待は安倍総理ではなく、進次郎氏へと傾いてゆくのだ。

織田信長しかり。ユリウス・カエサルしかり。外敵を打ち負かし、強大な力を手にした途端、「身内」に暗殺された権力者は数知れない。警戒すべきは、「遠くの敵」ではなく「近くの味方」であるというのが、古今東西の権力者たちが教訓としてきた真理である。

「進次郎が、邪魔になるかもしれない」
あの満面の笑みの裏で、安倍総理の脳裏を過ったのは、そんな思いだったに違いない。

大過がなければ、'18年までの向こう4年間、粛々と安倍政権が続く。それを最も苦々しく思うのは、野党議員ではなく、むしろ自民党幹部である。

安倍総理の「デジャヴ」
前回、'12年の自民党総裁選で安倍総理と接戦を繰り広げた、総理の「最大のライバル」石破茂地方創生相。進次郎氏は当時、安倍総理ではなく石破氏に票を投じたといわれる。

石破氏は今回の選挙戦の間、穏やかならぬ思いを抱いて地方遊説に回っていた。

「この総選挙は、地方創生選挙なのです」

投票日の直前には、一日10ヵ所近くを回ることもあった石破氏。安倍総理が「アベノミクスの是非を問う選挙です」と連日繰り返しているにもかかわらず、彼は行く先々で総理の言葉を無視し、こう断言してはばからなかった。

・・・・・・・・(略)・・・

だが、今の石破氏らが、単独で安倍総理に対抗できるとは考えづらいのも事実だ。浅川氏が続ける。

「石破氏は地方で人気があるといっても、やはり安倍総理が幹事長や地方創生相のポストに封じ込めたこともあり、十分に力を蓄えられていない。岸田氏は外相を務めて知名度は上がりましたが、次の総理にはまだ早い」

安倍政権の「次のサプライズ」

だからこそ、「ポスト安倍」をめぐる政局の軸は進次郎氏になる。
・・・・(略)・・・

前回の総裁選で石破氏に票を投じた進次郎氏が、「反安倍」に回る可能性は極めて高い。そうなれば、安倍総理はまさに「四面楚歌」と言うほかない状況まで、一気に追いつめられてしまう。前出の浅川氏が言う。

「そうした事態を防ぐために、安倍総理は何とかして進次郎氏を取り込もうとするでしょう。これから焦点となるのは、進次郎氏の入閣のタイミングです」

安倍総理としては、「できすぎる男」進次郎氏に行く手を阻まれるわけにはいかない。「憲法改正」という、祖父・岸信介元総理もなしえなかった偉業を実現するためにも。


この選挙の圧勝で、安倍総理は「向こう4年間の白紙委任を得た」と言われる。だが当の総理には、与えられた4年の任期をフルに使うつもりはないし、その必要もない。なぜなら、「勝負はあと2年以内に決まる」と確信しているからだ。いったい、どういうことか。

安倍総理は全議員、全国民の裏をかき、解散総選挙で291議席を手にした。誰もが「バカバカしい」と思うことを不意打ちで実行し、確実に勝つ。そんな総理の「サプライズ」が、あと二つ残っている。

一つ目が「2016年7月、衆参ダブル選挙」である。知っての通り、憲法改正発議には、衆参両院の3分の2以上の同意が必要だ。前出の有馬氏が言う。

「参議院で議席を増やすには、単独選挙では限界
があります。参院議員には確固たる支持基盤がなく、有権者は『なんとなく』投票することになる。衆参ダブル選挙にすることで党組織と後援会をフル稼働させなければ、定数の3分の2を超えることは難しい。来年4月の統一地方選挙が、この衆参ダブル選の足場を固める前哨戦となるでしょう」

現在、参院で自民党が占める議席は114。再来年の参院選で、昨年7月に実施された選挙と同程度の票を得れば、130前後まで増える。それでも3分の2にあたる162議席までは、およそ30議席足りない。

「問題は公明党です。おそらく安倍政権が提示する憲法改正案は、自民党の作った草案にまるごと交換しましょう、という形になる。必要に応じて最小限加筆する、『加憲』を掲げる公明党の方針とは相容れません。

そこで『憲法改正の是非を問う』総選挙に打って出れば、公明党のみならず、与野党の全員が踏み絵を踏まされ、憲法改正を軸にした政界再編が起こります。

現状でも民主党の半数近く、維新の党、次世代の党が改憲賛成派。これらが自民党に合流すれば、たとえ公明党が連立を離れても、衆参両院で3分の2は確保できる」(前出・全国紙政治部デスク)

もちろん安倍政権には、国内外からこれまでとは比較にならない激しい批判が浴びせられるだろう。だが、毎日ひたすらアベノミクスと唱え、株価上昇に力を注ぎ続けるのも、すべてはこの瞬間のためだ。総理にとって経済政策は目的ではなく、手段にすぎない。

潰し合いが始まる
憲法改正を問う衆参ダブル選は、戦後日本最大のバクチになる。それを乗り切れば、安倍総理はすぐさま第二のサプライズ「電撃国民投票」を発動するだろう。

国民投票を行い、過半数が賛成すれば憲法は変わる。
あと1年半で国民的議論が進むとは考えづらいが、「外圧」があれば世論は黙る。文化学園大学助教で、著書に『永続敗戦論』がある白井聡氏が言う。

「今回の自民党の獲得議席数では、すぐ憲法改正に進むのは難しい。ただし、例えばアメリカが、イスラム国に地上部隊を投入することを決めたらどうなるか。アメリカの『知日派』が期待するのは『自衛隊のフル活用』です。集団的自衛権の行使容認は、その期待に応えるための手続きだった。

安倍政権は、解釈改憲で自衛隊を戦場に送り込む可能性がある。そうなれば、改憲のチャンスが訪れるのです。なぜなら、『現に戦争している』という状態ができれば、改憲といっても『現状の追認』にすぎなくなりますから」

あと2年耐えれば、使命は終わる。9月の総裁選さえ乗り切れば、いける—。だからこそ安倍総理は、今回の「圧勝」を表面上は喜んでいても、内心では不安に苛まれているのだ。

「総理が描いていたのは、今回の総選挙では議席数を維持した上で任期を延ばし、次の衆参ダブル選で一気に両院3分の2を取りに行くという計画です。しかし、選挙前の293議席から減らしたことで、党内からも批判が出るのは必至です」(前出・自民党幹部議員)

選挙戦が始まる直前、進次郎氏は「有権者は冷めている」「なぜ解散なのか分からない」と繰り返した。もし今後、安倍総理が強引に憲法改正を進めようとするなら、間違いなく進次郎氏は総理に異を唱え、政権に反対する人々の拠り所になるだろう。総裁選、衆参ダブル選の双方で進次郎氏を抑えられなければ、総理の野望は崩れる。

この総選挙が、安倍政権の「終わりの始まり」なのか。結論が出るのは、遠い先のことではない。

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