実行委員会の文書非公開処分取消訴訟で最高裁が県知事の上告を棄却決定しました。実行委員会等の文書の公開命令の判決確定は全国初です。
●ひとくちでいうと
自治体が行うイベントなどは、民間や他の自治体と一緒になって、「実行委員会」などの名称の団体を作り、実行委員会が主催する、というパターンが通常です。この実行委員会の経理で裏金の疑惑が報道されて、私たちが詳細を調べようとしたら、岐阜県は、購入や飲食などの「請求書」「領収書」「明細書」などを全て非公開としました。
その理由は、実行委員会は、岐阜県とは違う団体だから、県の情報公開条例は適用されない。よって、県庁の中で県職員が持っているけれども、「県民に公開する条例の対象となる文書は存在しない」という言い分。
ひとくちでいうと、「県職員が、県庁で勤務時間中に実行委員会の仕事をし、各種書類もそこにあるのに、その中身は外部には見せない」、ということ。
●経過
1997年3月、「実行委員会」という団体を構成してイベントなどを行う岐阜県の手法に関して、フライデー(97年3月21日号)が「岐阜県庁“うラ金づくり”の決定的証拠」としてスクープしたことで、実行委員会と不正経理の問題が表面化しました。
県は、これを契機に調査し、他の実行委員会についても不用額は返還等適切に処理させた、としています。私たちは、同様な団体(※)について、独自に調査をしましたが、実行委員会経理の核心部分である領収書や請求書などの証拠書類が、「県職員の机の上に全部ある」にもかかわらず、「実行委員会の管理の書類であるから、県の公開条例の対象ではない」として、これらを非公開にされました。
その経費の100%もしくは大部分を行政が委託料あるいは補助金として提供している実行委員会、行政の隠れみのとも言える要素がある団体ですから、その関係文書を自治体の公開条例に含めるべき事は、全国的な課題です。
異議申し立てが棄却されたので、2000年5月22日に提訴。
岐阜地裁は非公開を是認し原告全面敗訴。
控訴審の2003年12月25日判決では逆転し全面公開判決となりました。
そして、遂に、2005年9月13日付けで最高裁第三小法定から「県知事の上告を棄却する」との決定通知が14日夕方、届きました。
ということで、9月15日(木)午後2時半から、岐阜県弁護士会館で会見しました。
※1996年度 岐阜県が1000万円以上支出した実行委員会についての調査
実行委員会は、県庁30課で63団体(県の支出金総額7億4340万7千円)。
うち県が1千万円以上支出予定したのは22団体(県の支出金総額6億2860万4千円)
●実行委員会の状況
1997年3月25日から、これら22団体に関しての関係資料を公開請求しました。
これらは、団体の事務局が
◇岐阜県にあるのが15団体
◇中間機構にあるのが7団体
・代表者が岐阜県職員であるのは13団体
内訳・知事6 副知事4 企画部長2
県美館長1 中間機構3 民間6
・上記のうち、資料分析から、経理に疑問が特に深いと思われ、かつ、特に県とのかかわりの深い6団体についての非公開処分に関して行政訴訟を提起しました。
●訴訟の争点
岐阜県情報公開条例第2条2項の規定「この条例において『公文書』とは、実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び写真であって、実施機関が管理しているものをいう」という規定をどのように解釈するかが争点でした。
なお、以前から、この種の文書は公開するという自治体もそれなりにありました。
判決文や訴訟の経過など関係資料はこちら
(訴状、地裁判決、報道資料などは、後ほどアップします。)
●振り返ると
なんと、8年前(!!)に遡っての公開が確定しました。
でも、いまさら、8年前の裏金の文書を調べても、ね。
役所のお金のことなどは5年で時効になるし。とはいえ、警鐘のためには調べるしかない。複雑な気持ち。
率直に言って岐阜県知事と関係者は、裏金問題を、関係文書をひたすら隠すことで、結局は逃げとおした、というしかないですね。
ともかく、全国で同じようなことがあり得るし、行政の主導でありながら行政ではないことを装っているこの種の不透明な中間団体たくさんあります。他方、全国の自治体の情報公開条例や国の情報公開法の第2条2項の定めはほぼ同じ。これで、「関連文書はすべて情報公開制度の対象である」ことは確定したといえます。
なんと文書の一部が廃棄されていた。11月29日のこと
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公開するということが念頭にあって支出することが無駄遣いを減らす一つの方法だとも思います
私は自営をしていますがお金を稼ぐことに苦労していますので無駄遣いが出来ません
公的機関の無駄遣いは「税金」という形で安易に収入を得られることにもあるのではないでしょうか?
本当の意味で汗水流して集めたお金なら無駄遣いは出来無いと思うのですが
>・・例え何年前の支出・・・公開するということが念頭にあって支出することが無駄遣いを減らす一つの方法だとも思います
⇒その通ですね。
まさに、情報公開の真の意義の一つがそこにあります。
>・・私は自営をしていますがお金を稼ぐことに苦労していますので無駄遣いが出来ません
⇒民間の皆さんは、そうですよね。
>・・・公的機関の無駄遣いは「税金」という形で安易に収入を得られることにもあるのではないでしょうか?
⇒そういう表現には初めて接します(笑)。が、考えてみると、確かに、基本的に「ひとりでに入ってくる」
のですから、ぴったりの表現かもしれませんね。
>・・本当の意味で汗水流して集めたお金なら無駄遣いは出来無いと思うのですが
⇒的確な指摘だと思います。このブログを見ている公務員の人たちは、そんなことはないんでしょうけど(笑)