マルガリータのつぶやき

フォトジェニックな「趣味の記録」:マルガリータの庭、国内海外の旅、グルメ、美術・音楽・映画、自分勝手流読書、etc

「この世の春」 宮部みゆき ~読みだしたらやめられない

2017-09-22 19:36:27 | 本 MEMO
ロンドン行搭乗前に羽田の書店で、「この世の春」宮部みゆきハードカバー上下を購入した。
 

旅の間のお楽しみ、という腹づもりだったが、ラウンジで読み始め、機内でもやめられない。
このままいくと<旅>に支障がでる、出発前に買うものではない、なんてぼやきながら、
スーツケースにしまいこんで、一週間封印、
 帰国後、時差で夜中の3時まで読み、2時間後、5時に隣室のアラームで目が覚めてまた続行、
 10分くらいのウツラうつらを繰り返しながらも本にかじりつき、ついに22時に読了した。
「三島屋~百物語」の興奮が再来、
加えて今回は、作者自身も書き終えてから気がついたという<恋愛小説>もからんで、
最後まで、なりゆきはどちらに行くかわからずに、翻弄された。

江戸時代に「心の病い」は憑き物、怨霊のせいと考えられ、若い藩医は現在でいえば「多重人格」を念頭に原因を探っていく。
 宮部みゆきおとくいの<この世の理(ことわり)を超えた現象>で終息するのか、あるいは時代小説に現代精神医学的アプローチでせまるのか。
多紀の慕情の行方は、

ついに読了して「やっぱりこの世の春は訪れた」とつぶやいたら、何も知らないジャスミン様に「きれいな男女の表紙だから、そんなのはわかる」と一刀されてしまった。
たしかに、、









『裸の華』 桜木紫乃;ダンス・ミュージックにひたりながら

2017-03-12 14:02:25 | 本 MEMO
 
 桜木紫乃 『裸の華』2016,6,集英社

 <桜木紫乃の釧路>を離れて、札幌、すすきののディープな世界、
怪我で引退した人気ストリッパーが、デヴューした店の近くに<ダンスシアター>を開く。
 性格が違う二人の若いダンサーに、わけありバーテンダー、
開店から閉店までの半年余り、

<水商売、裏社会>の皆が真面目で必死、真剣勝負ですがすがしい。
日銭勘定のやりくりも身にせまるし、それぞれののっぴきならない恋物語は、
相変わらずの<昭和の気配>を濃厚に、<水もの>顛末記に終わらせない。
筆者が「ストリップ」を愛し、いかにのめりこんでいるか、
長年書きたかったものをここに思う存分書きこんだか、そんな気がしてくるような抜け感だった。

さっと読んだ後、2度目は背景に出てくるミュージックをききながら、
まるで映画を見ているような感覚で、ページをくっていった。
 スタンダードの名曲に女たちの踊りをだぶらせて読む快感に浸り、
桜木のなかでも異色だし、異端の世界への親しい距離感が古来あまたの小説にない新しさだ。
 
<オープン>の夜のナンバー
(1)ヨーヨーマ・リベルタンゴ
   ヨーヨーマ・リベルタンゴ 振り付き
(2)シング、シング、シングSING,SING,SING
(3)ライディングハイ Riding High
(4)フライミー・トゥー・ザ・ムーン
(5)アラベスクーMidnight dancer
(6)ルパン三世のテーマ
(7)HAVANA KENNY・G
   惹かれあう男と女の出会いと別れを「かなしみ」に変換して
   ~イントロは両腕を体にからませ~ 大人の余裕で、7分半
(8)危険な二人 沢田研二

冒頭、札幌大通り地下街で、女性4人組の演奏;
タイムトゥセイグッバイ サラ・ブライトン
クリスマスキャロルのころには
ゲレンデがとけるほど恋したい
クリスマスイブ

その他、印象的な選曲;
Bon Jovi It's My Life
CHICAGO キャサリン・セタ・ジョーンズ
コーリング ユー
ボラーレ ジプシー・キングス




 




<桜木紫乃>初体験:氷の轍、凍原、水平線、ホテルローヤル、起終点駅・ターミナル

2016-11-26 10:21:38 | 本 MEMO
11月5日放送のテレビ・スペシャルドラマ「氷の轍」(柴崎コウ)は良くできていた。
松本清張ばりの「昭和」を久しぶりに見た。
瀧本智行監督が「私たちの飢餓海峡をめざした」と言うのを知ってから、なお確信を深めた。



直木賞作家<桜木紫乃>はまったくの初めてで、映像と原作は違うだろうからと、
しばらく、原作にあたるのを躊躇していたが、
新作のハード・カバー本は、高田馬場の大型書店で平積み2列、売れている様子。
文庫も5,6冊買って、

まずは「凍原」から、
舞台の釧路周辺は、何回か白鳥を求めてドライブしていたあたり、
それでも、鮮やかで生々しい描写を読むと、極寒の時期にまた行きたくなる。

「氷の轍」をついに読む。
「東京の11月の雪」に閉じ込められて読書の加速も上がった。
~短編「水平線」「ホテルローヤル」の表題作を読み込んで、<桜木紫乃>にひたる。
硬質な文章でここまで艶を出せる女流は、いままでいただろうか。

「起終点駅・ターミナル」はDVD(佐藤浩市、本田翼)から、
 

少しまどろっこしい、すぐに原作にあたった。
初期の作品にさかのぼって作者の原風景にふれた感じだった。

≪MEMO≫
「マルガリータのつぶやき」 過去ブログから
2010'12'12「釧路川紀行より」
2012'12'1「十勝川、オオワシ、オジロワシ
2014'9'19 「釧路空港~タンチョウ園

ぎっくり腰に即効腰痛ユーチューブ発見~

2016-07-04 17:54:14 | 本 MEMO
先日の「10年ぶりの蔵書棚卸整理」2016/6/23 は、その後も勢いがとまらずに、
またまたダンボール19個に資源ごみに、
計算したら、ダンボール57こ×15キロ強で、やく1㌧、
資源ごみも同じくらい、で都合2トン!
これを書棚からおろして、荷造りして、2階から階段を下ろして、
腰への疲労が蓄積していたようで、

6月30日(木)の資源ごみ回収場所に台車で運ぶ段取りを終えて、
ホット一息、ベッドに腰掛けて、足元の何かを取ろうとして腰をかがめて手を伸ばした瞬間…
腰がギクッと延びた感じ、ヤバッ、とは思いましたが、
「軽いぎっくり腰」ときづかずに、
シップに、ファイテン、箱根の湯、と、ところが日増しにつらくなって、
椅子から立ち上がるとき、ベッドから降りるとき、車から降りるとき、腰が伸びない…

  

一昨日の7月3日(日)夜中の1時に目が覚めてしまって、ところがちょっとした動作も痛くて動けない、
ベッドから降りるのも何段階もの動作で大変、
そこでやっと、ネットの「ぎっくり腰」検索に思い当たり、
 動画付きの「自分で治すぎっくり腰体操」を見つけ、2種類の初歩の運動をやって、
さて、そろそろとベッドの端に移動、そうしたら痛みもなく、すんなりと立ち上がっているではありませんか、

ブログや庭仕事の中断や、
以前に書いた夏樹陽子「椅子が怖い」2010/9/14を思い出したり、
本当に怖い思いをしましたが、
今朝からは、すっかり本復、ご安心ください。



10年目の棚卸~ブックオフ宅本便38箱~断舎利中

2016-06-23 22:38:30 | 本 MEMO
我が家も築10年、来月にも施工会社が「10年点検」に来るらしい。
あらためて「10年」の感慨にふけった後は、
「マルガリータの本だな」も10年点検、とばかり、ついに<大整理>にとりかかった。

ダンボールが山積みされていく玄関前

      
      

各コーナーごとの棚卸、仕分けに、ここ4日くらい没頭していて、、
どのコーナーも、不思議なことに
<本棚に戻す>:<ブックオフ行き>:<資源ごみ行き>:<燃えるゴミ>の割合が、3:3:3:1、
  ~興味がなくなった本、いらなくなった本が、実に6割強! 
  ~反対に、資料扱いだった本に魅力を感じたり
10年たって、成長したのか退化したのか、
<成長した>と言い切れないところがなやましい(笑)

今日の成果、<ブックオフ宅本便>がダンボール19箱、<資源ごみ>が紙袋で同じくらい、
また土曜日に宅本便19箱の集荷予定; それと同じくらいの<資源ゴミ>予想;

そして、ここまででやっと全体の三分の一くらい

『林芙美子の昭和』 川本三郎

2016-03-07 13:10:42 | 本 MEMO
映画から書評から、川本三郎の著作には、「大正」「昭和」が多い。
1944年、昭和19年生まれだから戦後派ということになるが、
川本自身、「あと5年早く生まれて、(ゲーリー・クーパーとか)映画の黄金期をリアルタイムで観たかった。」と以前から書いていたように、
昭和の戦中、戦後を、特に日本人の精神史として書かせたら、まさに独壇場だ。

「林芙美子の昭和」でも、時代の精神に絡め取られた作家論、作品論になっている。

  

特に十九章;『浮雲』おおう「暗さ」の考察には衝撃を受けた。
ゆき子を、戦争から戦後の混乱にどっぷり青春を沈ませるしかなかった時代の申し子ととらえて、
破天荒な行動、戦時中のダラットの思い出を理想化し、幻想に仕上げていくしかない心情も、解き明かしていく。

戦争で青春をうばわれた「ゆき子」と同年輩の女性の怨念、罪としての幻想に、林芙美子は思いを寄せて「浮雲」を書いたのだ。
なんという作家だろう。 
「明るい戦後」に背を向けて2年もの間、こんなに暗い小説を書き続ければ、心臓で早世したのも納得がいく。

林芙美子の作家精神から、戦中から戦後の時代精神の激動をあぶりだしてきて、
マルガリータの母親~「ゆき子」の2歳年下になる~の奇妙キテレツな言動の数々もやっとすっきり理解出来たのだった。

≪MEMO≫ 
マルガリータのつぶやき2011・5・25川本三郎「マイバックページ」

「生きる命 十選」 丸山健二 (日経新聞)

2016-01-20 14:19:48 | 本 MEMO
新春から日経新聞<文化>面で連載中の『「生きる命 十選」掌握の試み 小説家 丸山健二』も今日で8回、
丸山健二が、「危機と緊張感に満ちた生をおのれの本能と才知のみで生きる命」を宿した美術品10種を選び、それぞれを評している。

地に足をおろし<花庭を造り>、書斎に入って<文を創る>、  
どちらも同等に、生死をかけるように真剣に取り組む著者だから、
小編ながら「掌編」、一篇の短編小説風、一字一句おろそかにできない心づもりで読み込んでいる。 
                 マルガリータのつぶやき:『丸山健二の花写真』



不定期なので、この辺でいちどメモッておきます;
≪MEMO≫
1)高村光雲 「老猿」           東京国立博物館
2)森山大道 「三沢の犬」
3)ゴッホ  「種まく人」         オッテルロー クレラー・ミュラー美術館
4)与謝野蕪村「鳶・鴉図」         北村美術館
5)丸山応挙 「百蝶図」          徳川ミュージアム
6)野田弘志 「聖なるもの THE-�」    ホキ美術館
7)竹内栖鳳 「鯖」            前田育徳会
8)川端龍氏 「薄暮」           大田区立龍子記念館 

<追>
9)熊谷守一 「蒲公英(たんぽぽ)に母子草」 愛知県美術館
10)長沢芦雪 「唐獅子図屏風」        佐賀県立博物館

 9回の 熊谷守一「蒲公英(たんぽぽ)に母子草」で見せる作家はめずらしく率直、
 自らの老い、終焉を語り、
 足もとのありふれた草花を捉えた瞬間、単純で地味なものから得る到達点へ、
 そのもの言いは何度読んでも心に迫る。
 

『仮面病棟』 知念実希人

2016-01-15 21:35:43 | 本 MEMO
昨日、山手線の車内広告で初めて知った著者、
「ベストセラー中」、「一気読み必至の<本格ミステリー×医療サスペンス>」 と自信満々な広告!
  
    

たかが10日足らずの海外だったが、帰国直後の敏感な日本語アンテナ?を信じて、
降りた渋谷ですぐ買って、帰りの車内で読みだしたら、
電車の速度と文体のテンポが相性抜群、家に帰るまでに半分読了してしまった。

残り半分を今朝から読み始めたが、
結末が見えた感じもするし、強引な展開のようにも、
中途でやめようかと、ところが、どんでん返しがあいついでなかなかやめられず、ついに最後まで。
解説も丁寧に読んで、やっと解放された。

やはり、広告とは違う意味で、「一気読み」すべきだった。
著者のテンポに乗って一気に読むのが、この手の本の楽しみ方と思った。
「この手の本」とは、、 若い「本格」志向作者の粗削りながら裏切られない「快作」 といった意味あい、
これ以上はネタバレになってしまうので、今日はここまでで。

≪参考レビュー≫
「リアルとエンタメの融合」;産経ニュースより
 昨年12月刊行の本書が、重版したのは発売から半年を経た夏。著者初の文庫書き下ろしは、昨今流行の「発売即重版!」とはならなかった。
 そんな作品の小さな動きをみつけてくれたのは、地方の販売スタッフだ。「北海道小樽の書店で地道に売れている」「埼玉県三郷でも調子がいい」と。その後、じわじわと火がつき、売上冊数で争われる「2015年啓文堂書店文庫大賞」で第1位を獲得、部数は15万部を突破した。

『下流老人』一億総老後崩壊の衝撃 藤田孝典

2015-12-07 11:25:57 | 本 MEMO
13万部の大ベストセラーになっている「下流老人」朝日新書の警告はとてもわかりやすい。

   
 藤田孝典;生活困窮者支援のNPO法人「ほっとプラス」代表理事

現場からの声で高齢者の貧困問題を伝えて、強いメッセージになっている。
先日のNHKで著者の声を聞いて読み始めたのだが、
具体例から始まって表現もインパクトがあり、類似本の中では群を抜いた大衆性を感じた。

相対的貧困、特に生活保護費に少しみたない年金受給者に問題ありと、
「見えない部分」「わかりにくい部分」に光をあてながら、
もはや、底のあいたボートから浸水する水をかき出している場合ではない、
将来を見据えた国家的施策が急務と説く。

13万部のベストセラーの背景には、
真の困窮者は800円の新書など買う余裕はないだろうから、
うすうす不安を感じ出した平均的サラリーマンの姿が浮かび上がってきていると思う。
 マルガリータのまわりにも将来が心配なパターンの人が何人かおもいあたる。

≪MeMo≫
iRONNA(いろんな)から
◎ 「下流老人」にふるえる日本人 篠田博之の視点
 ワーキングプアと呼ばれる新たな貧困層が社会問題になって約10年、このところ大きな話題になりつつあるのは高齢者の貧困問題だ。週刊誌などでもこのところ、毎週のようにその問題が取り上げられている。

 生活困窮者支援のNPO法人「ほっとプラス」代表理事の藤田孝典さんが上梓した新書「下流老人」は13万部のベストセラーになっている。また「ワーキングプア」から「無縁社会」、さらに「老後破産」と、格差と貧困を追い続けているNHKスペシャルが「老人漂流社会」と銘打ってこの8月30日に放送した番組は、上半期のNHKスペシャルで最高の視聴率11・2%をはじき出した。昨年の番組を書籍化した「老後破産」も10万部に迫る勢いでベストセラーになりつつある。

 どうして急にこの問題が関心を呼ぶようになったかというと、老後の貧困が一部の特殊な人でなく、平均的なサラリーマン生活を送って来た人にも近い将来現実になりつつあることがわかってきたからだ。


女性が背負う老いの困難 樋口恵子
  ;203X年「大介護社会」ニッポン第二の敗戦 

かるたあそび;「小倉百人一首」の秘密

2015-11-12 14:07:53 | 本 MEMO
いただいた「おかき」のパンフレットを読んで(*_*)、

     

小倉百人一首は歌織物 秘められた水無瀬(みなせ)絵図
と題して、
林直道「百人一首の秘密」等から、抜粋してまとめている。
  
 この百首の歌をある特殊な並べ方をすると、隣り合う歌どうしが上下左右ともに共通語(合わせ言葉)によって、一つの隙間もなくぴったりと結びつく。 
 ~
 合わせ言葉や歌詞で絵になるものを絵に置き換えてゆくと、一幅の山紫水明の絵図が~
 この絵図は新古今のふるさと、水無瀬の里に酷似している~
 ~後鳥羽上皇が水無瀬離宮を建て、~歌会を催した地~

 

 ~この歌織物こそ、孤独と絶望のふちにある後鳥羽院への心を込めた秘かな贈り物であり、
  後鳥羽院讃歌に他ならないのである。

この水無瀬の里は、現在の大阪府三島郡島本町、と京都府乙訓郡大山崎町あたりという。
来週末に京都に行くので、この辺りをあたってみようか。

『パリ 住み方の記』 戸塚真弓

2015-11-07 19:06:19 | 本 MEMO
少し古い話ではあるが、
1986年からの不動産ブームの中で、4年間で3回も引っ越し、
住んでいる家を売り、新しく買った家に移り、
不動産屋を通さずに、自分たちで直接売買して、



その顛末、駆け引きにもハラハラさせられるが、しょせん他人の苦労話と突き放したいと思うそばから、
パリを西へ東へ南へ北へ、

①新婚時代の11区;サントアンボワーズ教会近く
②北の郊外;サン・ルウ・ラ・フォーレ
③1区  レアール通り
④14区 ダンフェール・ロッシュロー
⑤5区  サンジャック通り

右往左往する間に、引っ越し地域の描写や引っ越しの事情、選ぶ理由など、

  太陽の陽射し、
  騒音問題、
  交通の便、
  教育システム、
  トラヴァイユ・ノワール(黒い仕事)、
  老人問題、
  ヴィアジェ(終身年金制度~いまはない)、


しだいに身につまされてきて、
読了するころには、フランス理解が否が応でもすすんでいたという、
愉快な読書体験になった。




『東慶寺花だより』 井上ひさし

2015-11-05 11:04:05 | 本 MEMO
パリから帰って一週間のうちに、パーティー2件、箱根一泊ドライブとこなして、
特に箱根の姥子(うばこ)の湯が極上すぎて湯アタリしたか、ここ2,3日ボーッとして、
人に「疲れてる:ウツに入ってる」といわれてしまう始末。

「ボーッ」として、外出も人に会うのも電話をかけるのもおっくう、で一日かけて読み通してしまったのがこれ、

         

まずは巻末の解説から、はマルガリータの悪いクセだが、けっこうこの手の人もいると聞く。
加えて、著者自身の特別講義まであったのだから「ウツ」気分がほぐれる予感もしてきた。

特別講義で著者は
「アジール」;「聖域」 「自由領域」 「避難所」 「無縁所」 などとも呼ばれる特殊なエリア論から始まって
駆け込み寺「東慶寺」が「夫と別れたい」という女性のための幕府公認のアジールとし、
駆けこみの詳細を説明していき、
「ひょっとしたら、旅も美容院も劇場も映画館も図書館も書店も、もちろん行きつけの飲み屋さんも、それから書物や雑誌も皆アジールの変型…」
 話がむやみに広がったところで終わりにしている。

「夫と別れたい」と決死の覚悟で駆け込み寺にやってきた女たち、
だがその理由はどれもこれも一筋縄ではいかなくて、
小気味よいテンポと筆遣いで結末にはいずれもあっと驚かされて、これぞ「短編の醍醐味」15篇。

我を忘れて、時を忘れて、気持ちは「筋トレ~サウナ~ビール」へウツ全快模様、
「書物もアジール」の実践編さながらだ。

まるで「ミイラ取りがミイラ」の心境、 
”巻末講義から本編コース”で優秀な医者に取り込まれた気分だ。










『シャンソンの風景』歌の訪問者・心象の解読 三木原浩史

2015-10-06 06:20:33 | 本 MEMO
いよいよ秋到来! 三木原浩史の≪シャンソンを読む≫シリーズ最終巻(第5巻)を読みだした。
フランス行きのトランクにはいつも入れていくのだが、いまだ新品のままだった。
読みだしたら気取らない書きっぷり、スイスイと、ユーチューブで再聴しながら、短い秋の一日がしながらあっという間に

          

特に、著者自身「はじめに」で『従来の説をくつがえす「仮説」』という『サン=ジャンのあたしの恋人』のくだりは興味深かった。
『サン=ジャン』を、「聖ヨハネの祝日」ととらえる説に対して、パリの北北東80キロの小村「サン=ジャン=オ=ボワ」ととらえる根拠をくりだす。

 
 

『一路』 浅田次郎

2015-10-04 06:18:31 | 本 MEMO
『時代小説&ユーモア小説』の浅田ワールド全開、
とっつき、「一路」;「いちろ」のいわれから笑わせる
作者の術中にはまるも心地よかろう なんて思ったが最後、上下2巻、息もせずに(ウソ
 
 

 

久しぶりの「浅田次郎」、2013年刊とあるから2年くらい遠ざかっていたことになる。
「浅田次郎はぜ~んぶ読んだ、これから読む人がうらやましい」とかうそぶいて油断していた

とんとん拍子にことがうまくいって「おはなしのよう」なところもあるが、
虚実がどう、時代考証がどう、はともかく、「物語」のすじ道のつけ方に感動、語り口に抱腹、
帯の『感涙、爆笑』、ここに極まる~


『隠蔽病棟』麻野涼;ヒースローで読み上げた

2015-09-23 11:36:15 | 本 MEMO
ヒースロー空港;、レンタカーリターンの場所がわからず(SIXの郵便番号があっていなかった)、グルグル~
せまりくる搭乗時間、あせってスピード違反でパトカーには追いかけられるし(事情を話して放免されたが)
ついに、他社・ハーツの域内に入り込んで車両係を捕まえて、やっと聞き出せた。
   ~マイナーなレンタカーは空港のはずれでヤバイ~ 

ガソリンも入れずに、返却手続きを急いでくれて、ターミナル5まで専用車ですっとばしてくれて、
着いてみればJAL/BA共同運航便、2時間遅れ
気が抜けてしまって、ファーストラウンジのシャンパンものどを通らない(笑)

さて、と、読み残しの『隠蔽病棟』麻野涼30ページ余りに取り掛かるうちに平常心が戻ってきた。
ミステリーっていいですね~

     

実はこの旅中、毎日少しずつ楽しんでいたのです。
医療過誤と民事裁判、東京とブラジル、
本人裁判のいきさつ、エイズ特効薬のジェネリック、
短い章立てで、交互に場面が立ち上がるので、「旅のお供」に最適だったのかもしれませんね。

九十九里上空