竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻15 歌番号1075から1079まで

2024年03月27日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻15
後撰和歌集 現代語訳 原文付 巻15
原文 止遠末利以川末幾仁安多留未幾
読下 巻十五

原文 久左久左乃宇多比止
読下 雑歌一

歌番号一〇七五
原文 尓武奈乃美可止左可乃於保武止乃多女之尓天
世利可八尓美由幾之多万比个留飛
読下 仁和帝、嵯峨の御時の例にて
芹河に行幸したまひける日

原文 安利八良乃由幾比良乃安曾无
読下 在原行平朝臣

原文 左可乃也万美由幾堂衣尓之世利可八乃知与乃布留美知安止者安利个利
和歌 さかのやま みゆきたえにし せりかはの ちよのふるみち あとはありけり
読下 嵯峨の山行幸絶えにし芹河の千世の古道跡は有りけり
解釈 嵯峨の山、その嵯峨の帝のゆかりの地への行幸が絶えてしまっていたが、その嵯峨の山の芹河の野は千歳にも変わらぬ古き路の跡が今もあったことです。

歌番号一〇七六
原文 於奈之飛堂可々比尓天加利幾奴乃多毛止尓
徒累乃加多遠奴日天加幾川計多利个留
読下 同じ日、鷹飼ひにて狩衣の袂に
鶴のかたを縫ひて、書きつけたりける

原文 安利八良乃由幾比良乃安曾无
読下 在原行平朝臣

原文 於幾奈左比飛止奈止可女曽可利幾己呂毛遣不者可利止曽堂川毛奈久奈留
和歌 おきなさひ ひとなとかめそ かりころも けふはかりとそ たつもなくなる
読下 翁さび人なとがめそ狩衣今日ばかりとぞ田鶴も鳴くなる
解釈 鷹飼の役に相応しくなく、いかにも翁のような人だと、あれこれ言わないでください、狩衣を着る今日だけだと、ほれ、この通り、袖の田鶴も鳴いているでしょう。

原文 美由幾乃万多乃飛奈无知志乃部宇堂天万川利个留
読下 行幸の又の日なん致仕の表たてまつりける

歌番号一〇七七
原文 幾乃止毛乃利満多徒可左堂万者良左利个留止幾時
己止乃徒以天者部利天止之者以久良者可利尓可奈利奴留止
止比者部利个礼者与曾安万利尓奈无奈利奴留止毛宇志个礼八
読下 紀友則まだ官たまはらざりける時、
ことのついで侍りて、年はいくらばかりにかなりぬると
問ひ侍りければ、四十余になんなりぬると申ければ

原文 於久留於保萬豆利古止乃於保萬豆岐美
読下 贈太政大臣

原文 以末万天尓奈止可波者奈乃佐可寸之天与曽止世安万利止之幾利者寸留
和歌 いままてに なとかははなの さかすして よそとせあまり としきりはする
読下 今までになどかは花の咲かずして四十年余り年ぎりはする
解釈 今までどうして栄達の花が咲くことなく、四十年余りも、実が実らないだったのだろうか。

歌番号一〇七八
原文 可部之
読下 返し

原文 止毛乃利
読下 とものり(紀友則)

原文 者累/\乃加寸者和寸礼寸安利奈可良者奈左可奴幾遠奈尓々宇部个无
和歌 はるはるの かすはわすれす ありなから はなさかぬきを なににうゑけむ
読下 はるばるの数は忘れず有りながら花咲かぬ木を何に植ゑけん
解釈 四十年余りの遥かな年の数は毎年に忘れることなくありながら、実を付けるための、その花が咲かない木を、どのような理由で貴方はそばに植えたのでしょうか。

歌番号一〇七九
原文 曽止乃川可比尓志波/\満可利安利幾天止乃宇部於利天
者部利个留止幾加祢寸計乃安曾无乃毛止尓遠久利者部利个留
読下 外吏にしばしばまかりありきて、殿上下りて
侍りける時、兼輔朝臣のもとに贈り侍りける

原文 多比良乃奈加幾
読下 平中興

原文 与止々毛尓美祢部布毛止部於利乃本利由久々毛乃三八和礼尓曽安利个留
和歌 よとともに みねへふもとへ おりのほり ゆくくものみは われにそありける
読下 世とともに峯へ麓へ下り上り行く雲の身は我にぞ有りける
解釈 その時の中で峯へとまた麓へと下り上り行く雲、その雲の姿は、ちょうど、地方と都とを下り上りする私の身の上だったのですね。

コメント
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