集歌二〇八二
原文 天漢 河門八十有 何尓可 君之三船乎 吾待将居
訓読 天つ川川門(かはと)八十(やそ)あり何処(いづく)にか君しみ船を吾(あ)が待ち居(を)らむ
私訳 天の川に渡し場はたくさんある。その、どの渡し場で、愛しいあの人の大切な船を私は待っていましょうか。
集歌二〇八三
原文 秋風乃 吹西日従 天漢 瀬尓出立 待登告許曽
訓読 秋風の吹きにし日より天つ川瀬に出で立ちし待つと告げこそ
私訳 秋風が吹き出した日から天の川の瀬に家から出て来て立って貴方を待っていますと、彦星に告げて欲しい。
集歌二〇八四
原文 天漢 去年之渡湍 有二家里 君将来 道乃不知久
訓読 天つ川去年(こぞ)し渡瀬(わたりせ)荒れにけり君し来まさむ道の知らなく
私訳 天の川よ。去年に渡って来た瀬は荒れてしまった。愛しいあの人がやって来るでしょう、その道が判らない。
集歌二〇八五
原文 天漢 湍瀬尓白浪 雖高 直渡来沼 時者苦三
訓読 天つ川湍瀬(せせ)に白浪高けども直(ただ)渡(わた)り来(き)ぬ待たば苦しみ
私訳 天の川のその急流に白波は高いけれど、そのまま押して渡って来ました。白波が収まるのをまっていると、その待つ時間が辛くて。
集歌二〇八六
原文 牽牛之 嬬喚舟之 引綱乃 将絶跡君乎 吾久念勿國
訓読 彦星(ひこほし)し嬬(つま)呼ぶ舟し引綱(ひきつな)の絶えむと君を吾(あ)く念(も)はなくに
私訳 彦星の妻が、その彦星を呼び寄せる舟の引き綱のように、貴方との仲が切れてしまうとは、私は少しも思ったことはありません。
原文 天漢 河門八十有 何尓可 君之三船乎 吾待将居
訓読 天つ川川門(かはと)八十(やそ)あり何処(いづく)にか君しみ船を吾(あ)が待ち居(を)らむ
私訳 天の川に渡し場はたくさんある。その、どの渡し場で、愛しいあの人の大切な船を私は待っていましょうか。
集歌二〇八三
原文 秋風乃 吹西日従 天漢 瀬尓出立 待登告許曽
訓読 秋風の吹きにし日より天つ川瀬に出で立ちし待つと告げこそ
私訳 秋風が吹き出した日から天の川の瀬に家から出て来て立って貴方を待っていますと、彦星に告げて欲しい。
集歌二〇八四
原文 天漢 去年之渡湍 有二家里 君将来 道乃不知久
訓読 天つ川去年(こぞ)し渡瀬(わたりせ)荒れにけり君し来まさむ道の知らなく
私訳 天の川よ。去年に渡って来た瀬は荒れてしまった。愛しいあの人がやって来るでしょう、その道が判らない。
集歌二〇八五
原文 天漢 湍瀬尓白浪 雖高 直渡来沼 時者苦三
訓読 天つ川湍瀬(せせ)に白浪高けども直(ただ)渡(わた)り来(き)ぬ待たば苦しみ
私訳 天の川のその急流に白波は高いけれど、そのまま押して渡って来ました。白波が収まるのをまっていると、その待つ時間が辛くて。
集歌二〇八六
原文 牽牛之 嬬喚舟之 引綱乃 将絶跡君乎 吾久念勿國
訓読 彦星(ひこほし)し嬬(つま)呼ぶ舟し引綱(ひきつな)の絶えむと君を吾(あ)く念(も)はなくに
私訳 彦星の妻が、その彦星を呼び寄せる舟の引き綱のように、貴方との仲が切れてしまうとは、私は少しも思ったことはありません。